韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権に対して、米国のトランプ政権が怒りを露わにしている。米国の要請にもかかわらず、文政権が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄する方針を決めたためだ。ここから米国は、どう動くのか。
トランプ大統領自身が激怒しているのは、フランス・ビアリッツで開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)での発言で明らかになった。
大統領は会議初日の8月24日、外交・安全保障問題を討議する場で「文在寅という人は信用できない。金正恩(キム・ジョンウン=朝鮮労働党委員長)は『文大統領は嘘をつく人だ』とオレに言ったんだ」などと語った。
翌25日夜の夕食会でも、怒りは冷めやらず「なんで、あんな人が大統領になったんだ」と、こき下ろした(産経新聞やFNNなど。https://www.fnn.jp/posts/00423006cx/201908262030_cx_cx)。米国大統領が公の席で同盟国の首脳をこれほど痛烈に批判したのは、まったく異例である。
米国務省の報道官は、ツイッターで「韓国政府がGSOMIAを破棄したことに米国は深く失望し、懸念している」「この決定は韓国防衛をより複雑にして、米軍へのリスクを高めるだろう」と投稿した。私は、こちらのほうがより重大と思う。
文字による米政府の公式見解であるうえ、米国が、GSOMIAの破棄を日韓の防衛問題というにとどまらず「米軍に対するリスク」と認識していることを示したからだ。ここまで言ったからには、米国は問題を放置せず「なんらかのアクションを起こす」とみていいのではないか。
文政権は嘘もついた。大統領府はGSOMIA破棄について「米国の理解を得ている」と説明した。だが、米国は「一度も私たちの理解を得たことはない」と否定した。これまでも文政権の発表を米国が修正した例があったが、これほど明確に否定したのは初めてだ。
トランプ政権は、これからどうするのか。