“一度の合意”で解決しない 日韓問題が“米韓の溝”に
日本と韓国の対立と同時に、アメリカと韓国の溝も深まっている。
そんな中、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、29日も日本を強く批判。
日韓合意でも持論を展開した。
韓国の朴槿恵(パク・クネ)前大統領が、大統領の地位を悪用して財閥企業に働きかけ、親友の崔順実(チェ・スンシル)被告が関与する財団に不正に資金を出させたとして、職権乱用や収賄の罪に問われた裁判。
韓国最高裁・金命洙(キム・ミョンス)院長「有罪部分を破棄し、この部分の事件をソウル高等裁判所に差し戻す」
韓国最高裁は29日、手続きに法的な問題があったと判断し、懲役25年などを言い渡した2審判決を破棄し、ソウル高裁に審理を差し戻した。
同時に、サムスングループのトップ・李在鎔(イ・ジェヨン)被告の審理も差し戻され、今後の裁判では、実刑判決を受ける可能性が高まった。
その朴槿恵前政権が、およそ5年前に日本と交わした日韓合意をめぐって、新たな発言が。
29日の臨時閣議で、文在寅大統領は、「一度反省を言ったので反省は終わったとか、一度合意したからといって過去の問題が、すべて過ぎ去ったのだと終わらせることはできない」と述べた。
一度の合意で、いわゆる徴用工や慰安婦などの歴史問題は解決しないとして、日本をけん制した。
文大統領「日本は、正直でなければならない」
8月15日の演説では、「日本が対話と協力の道に出てくるならば、わたしたちは喜んで手を握ります」と述べ、日本への発言をややトーンダウンさせていた文大統領。
この発言から、わずか2週間で、文大統領は再び強硬姿勢に転じた格好。
菅官房長官は、「韓国の大統領の発言1つ1つにコメントは控えたい」と苦笑いを浮かべて語りつつも、「最大の問題は、旧朝鮮半島出身労働者問題。国際法違反の状態を解決するよう、引き続き求めたい」とくぎを刺した。
なお、いっそう深まる日韓の溝。
同時に今、米韓の溝も深まりつつあるとみられる。
アメリカのシュライバー国防次官補「韓国に、即座にGSOMIAに戻るよう求める」
電撃的なGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄決定以降、アメリカ外交のトップ、ポンペオ国務長官をはじめとするアメリカ政府高官による韓国批判が相次いでいるほか、「文在寅という人は信用できない。なんであんな人が大統領になったのだろうか」と、文大統領のリーダーとしての資質そのものを疑うトランプ大統領の発言も。
29日朝、韓国国防省は、アメリカ国防総省幹部が安全保障の難題について、「文政権は重大な誤った認識を持っている」と批判した発言に対し、「具体的な懸案に対し、緊密に協議をしているので、(米韓の認識に)大きな差があるとはみていない」と反論した。
こうした中、29日、日韓の実務者同士が協議。
事態打開に向けての進展は...。
日韓局長級協議に臨むため、29日にソウル入りした外務省の金杉アジア大洋州局長。
協議終了後、金杉アジア大洋州局長は、報道陣に「今、この瞬間、何か出口が見つかっているということではございません。日韓で協議していく中で、出口を見つける作業をしたいと思うけど、まずは、韓国側に考えてもらう、韓国側にボールがあるということだろうと思う」と語った。