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日々のコト♪♪

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隣のシン君からの香りに頭がズキズキする。
シン君の香りじゃない
私とも違う香りが密室の車の中に漂っている


シトラス系の爽やかな香りもし、バニラやフローラル系の甘い香りもして…
複雑で魅惑的な香りの香水
使っている人そのもので…
彼女がまるで一緒に車に乗っている錯覚に陥る。

今夜はスウェーデン大使館主催のパーティーに呼ばれ、シン君と2人で出席したんだ。

そこに彼女・ファン・クムジがいた
王族会の長老の孫娘
私がシン君の許嫁じゃなかったら、間違いなく彼女・ファン・クムジが皇太子妃候補で、きっと…シン君と結婚していたと思う
私がこの事を知ったのは、結婚して間も無く
お妃教育が終わり、チェ参宮お姉さんとと東宮に戻る時…
その日は珍しく順調に終わり、お庭を散歩して帰る事にしたんだ
その時に聞いちゃった王族会の数人の会話ー・・・
「庶民の娘に皇太子妃が務められる訳がない」
「あんな娘がいなければファン長老の孫娘、クムジ嬢がお妃になれるのに」
「クムジ嬢が可哀想だ」
・・・ー
その場から動けなかった
遠くなる会話と共に私の意識も遠くなった
チェ尚宮お姉さんが何か言ってくれて、なんとか東宮に帰ったんだ
その時から、片隅にある名前

ファン・クムジ

王族会の長老の孫娘で
シン君の2つ下の彼女
私がいなかったら、皇太子妃候補だった彼女

会うのは初めて

2年前に、スウェーデンに留学して今も留学中だ
今回、スウェーデン大使館のパーティーの為、一時帰国したと、さっきチェ尚宮お姉さんが言ってた
シン君と会うのは何年ぶりなの?
私の目の端に2人が楽しそうに笑いあっているのか見える
いつもならシン君は、パーティーの時、私を1人にしない
でも今日は…
シン君は彼女と共にパーティーの出席者と会話していて…私は1人だ
「妃宮様」
後ろに控えているチェ尚宮お姉さんが静かに声を掛てきた。
…しっかりしなきゃ。
「大丈夫です。私、ちゃんと笑えてるでしょ?」
笑顔でチェ尚宮お姉さんを見ると、一瞬驚いた表情。
それはほんの一瞬で、周りの人からみたら何も変わらない表情だけど、いつも一緒にいる私には解る。
この状況でプリンセススマイル出来る私にチェ尚宮お姉さんが微笑んだ。
「ご立派です、妃宮様」
私は皇太子妃だもん。
シン君は皇太子。
パーティーで私以外の女性と、会話するなんてよくある事よ。
うん。
よく…あること。
「あ」
小さく声を上げ、グラスを持っている手におもわず力が入る。
シン君がファン・クムジをエスコートしダンスをした。
優雅にダンスする2人から目が離せない
見たくないのに
見ていたくないのに…
ファン・クムジと視線が合う
彼女は優越感のように笑い、シン君の右頬に自分の頬を近寄らせた。

私は彼女の勝気な視線から逃れるように
ギュッと目を瞑った
足元から何かが込み上げてくる
苦しくて腹正しくて…胸を締め付けられる何かが私を侵略していく


ファン・クムジ

綺麗にアイラインを引いた一重の瞳からは意志の強さを感じる
スタイルの良さを強調したホワイトのロングドレスにはスリットが深く入り、私が見ても綺麗な脚線美が見え隠れしている
私より年下なのに…
意思の強さと大人の妖艶さと少女のような可愛らしさ、軽やかに飛ぶイメージの彼女…

彼女を見た時
私の中で何かが鳴ったんだ

彼女は危険…って

シン君に向ける笑顔に
シン君を見つめる視線に
シン君を呼ぶ甘えた声に
シン君の腕に絡める華奢な腕に
…私を見た挑戦的な目に…
私の中で危険だと知らせたんだ


私は気持ちを落ち着かせるようにドレスをキツく握り締めた。
…このドレス、シン君が選んでくれたんだ。


「チェギョン 今夜は背中を露出しないのか?」
パーティーに行く前。
衣装部屋から出て来た私にシン君がからかうように言ってきた。
「シン君意地悪ね。もうあのドレスを着ないって約束したもの」
唇を尖らしてシン君に言うと
「当たり前だ馬鹿」
柔らかい笑顔で額にデコピンしたシン君。

シン君が選んでくれた、パールピンクの花のようにふんわり優しいラインのフェミニンドレス。

「似合うよ。チェギョン」

そう言ってシン君は優しいキスを沢山くれた。

数時間前の出来事が、まるで随分前のように思える。

「妃宮様、少し休憩致しましょう」
チェ尚宮お姉さんが背中に手を添えこの場を離れるように促す
私はゆっくり小さく深呼吸して
「大丈夫」
プリンセススマイルでそれを断った。
もう一度『大丈夫』と自分に言い聞かせるように小さく呟き、プリンセススマイルを崩すことなくパーティーを楽しんでいる振りをしたー・・・


帰り際、ファン・クムジが
「チェギョン妃殿下。今夜は皇太子殿下を独り占めして申し訳ありませんでした」
って綺麗な作法で一礼した。

「いいえ。久し振りにお会いしたんですから…」
とかなんとか、私は言ったと思けど、覚えていない…

最後にシン君に
「オッパ またね」
甘えたように言った声は、はっきりと覚えている



車の中
私はシン君から出来るだけ離れるように座り、窓から見える景色を見ている。
座席に置いた手にシン君の手が重なる、その一瞬、私は自分の膝の上に移動した。
シン君がこちらを見ているのがガラスに映っているけど、気付かない振りをした。
…今はシン君を見れないし、触れたくない



東宮に車が着き、重い足とりでシン君の数歩後ろ歩いて行く。
部屋に入ると、シン君がいつの間に下がらせたのか、コン内官おじさんやチェ尚宮お姉さんや、女官のお姉さん方の姿はなかった
シン君と2人きり
…一緒にいたくなくて、バスルームに行こうとしたら
「何に機嫌が悪い?」
シン君が私の右腕を強く掴んだ。
…ファン・クムジの匂いが強く香る
「別に機嫌悪くないわ」
「…チェギョン、おまえは本当、嘘が下手だな。全身から不機嫌が出てるの解らないのか?」
抱き寄せようとするシン君におもいっきり抵抗する。
「やだ! 触らないでっ!!」
「チェギョン?」
「今のシン君に触れられたくないの!」
「どうしたチェギョン?」
シン君からするファン・クムジの香りが、私の全ての思考を淫らす
「嫌なの! シン君をオッパと呼ぶ彼女が…
私の知らないシン君を知っているのが
シン君から…」
大声で投げ付けた言葉にシン君は驚いた様に目を見開く
こんな事言ったらシン君に嫌われる…
そう思うのに止まらなく、私は泣きそうになるのをぐっと堪え、全身を侵略していた思いを投げ付けてた
「シン君から…彼女の香りがするのも
シン君が彼女と話をしてたのも、ダンスしてたのも…全部、全部嫌なの!…でもね、もっと嫌なのは、こんなに嫉妬している自分なの…こんなんじゃ、皇太子妃失格だよ…」


「おまえ、ファン・クムジに妬いたのか?」

ほんの数秒の間の後、大きく見開いてた目をふにゃりと下げたシン君が言った
私は小さく頷く
「本当か?」
「何が?」
「本当に妬いたのか?」
疑う様なシン君の言い方にイライラして、私は怒鳴る様に一気に言った。
「当たり前でしょ!! シン君は私の旦那様なのよ! それなのに、私以外の人と楽しそうに会話して、私はほっとかれて、しかもダンスまでしてっ!! それに!」
「それに?」
「『オッパ またね』…て、最後に言った」
「ああ、言ってたな」
「…シン君、彼女と『またね』…が、あるの?」
「…フッ。あるわけないだろ」
シン君が頬を緩ませ言う
「本当に?」
「皇族を嘘はつかないの知っているだろ?」
見上げるシン君は優しい顔なんだけど、頬が緩んでいて…なんだか嬉しそう。
「…シン君、なんだか、嬉しそうだよ?」
「ああ。嬉しいよ。僕ばっかり妬いて、チェギョンは嫉妬しないと思っていたから。僕がいつもチェギョンの周りの男達…アイツやインやファンに…」
「え? イン君にファン君が何?」
「いや、いいんだ。おまえは何も知らなくていい。今夜、チェギョンは嫉妬したんだ?」
「うん…嫌だった。私のシン君なのに。シン君から私以外の人の香りがするの…
すっごく嫌だ…」
今もまだシン君から彼女の香りがまとわりついていて、私を不安にさせる
「シン君、彼女に『オッパ』と呼ばれてるの?」
「あー・・、まぁ」
シン君にしては冴えないものの言い方
「シン君?」
不思議に思い、シン君の眼を下から見上げた。
優しく微笑んでシン君が言う
「チェギョンが嫌がるなら、もう二度と呼ばせない」
「本当?」
「ああ」
「パーティーの時、もう私を1人にしない?」
「ああ」
「ダンスの相手は1番は私よ。それからなら…他の人とダンスしてもいいよ」
「くくっ。他の人とダンスしていいのか?」
「本当は嫌だけど…シン君は皇太子だから…ダンスは許してあげる」
「それは有難い。心が広い妃殿下で僕は幸せだ」
「彼女と本当に『またね』はないの…よね?」
「もちろんだ。僕が信じられないか?」
「ううん。信じれるよ。…シン君、私もね、すっごく独占欲が強いみたい。シン君の事言えないね」
「安心しろ。おまえの独占欲より僕の方が強い。なんせ一国の皇太子だからな」
ニヤッと笑って私を引き寄せようとしたから、私は慌てて逃げた。
「チェギョン? 抱き締めさせてくれないのか?」
「彼女の香りがするからイヤ」
「そこは普通、香りが消えるまで抱き締めさせてくれるもんだろ? 自分の香りで消すとか…色気のある事はできないのか?」
「なに言ってるの?! ありえない!! その香りが消えまるまで、私に触れるのは禁止よ!」
「わかった。今すぐ消してくるから覚悟して待ってろ!」
スーツのジャケットをソファーに投げ捨て
早足でバスルームに行くシン君の背中に

「シン君こそ! 覚悟してね!!」

投げ付けた言葉に
シン君がピタリと止まり振り返る。

「覚悟? 僕が?」
「…今夜はシン君を私の香りでいっぱいにしてあげる…他の人の香りを忘れるほど・・・」
睨むよう、挑戦的に言ったけれど、恥ずかしさで私の顔は真っ赤だと思う
シン君は少しの間びっくりした様に唖然としていたけれど、すぐにニヤリと口元を片方上げた
「くくくっ…それは楽しみだな。早くチェギョンの香りを共用したいよ」
「じゃあ、早くその香り流して来て…。早くシン君に私の香りを…あげたい」
「了解」
妖しく微笑んでシン君がバスルームに消えた



他の人の香りなんて許さない
シン君は私のなんだから
今夜は私の独占欲を教えてあげる
だから、ねぇ、シン君
早く私のところにきてー・・・

2人で香りの共有をしよ
シン君と私しか出来ない
香りの共有をー・・・

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    こんばんは~。ステキなお話ありがとうございます。
    キュンキュンしてしまいました。最近、ときめきがなくて(笑)

    [ まひたんもも ]

    2014/5/15(木) 午前 0:05

    返信する
  • こんにちは^_^
    嫉妬するチェギョンもいいですね。
    また、お話し楽しみにしています。

    [ ちげなべ ]

    2014/5/15(木) 午前 11:52

    返信する
  • 顔アイコン

    のあちゃん こちらにも
    アンニョンで~す♡。.:*・♪(//∇//)。.:*・♪。♡

    ここも舞踏会だ~
    おまけに匂いプンプンのおなごがおる~~~

    そりゃあ 妬くわね
    それをぶちまけたチェギョンさん 偉い

    ♪今日の不満は今日のうち!!♪

    妬いてもらって喜んでるシン君が可愛いわ
    このあと 甘い夜が終わらないんだろうなあ
    むふふ…

    楽しいお話ありがとう
    (^.^/)))

    [ 夢眠 ]

    2014/5/17(土) 午前 10:11

    返信する

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