| 「殿下、チェ尚宮から本日のお妃教育が予定より早目に終了したとの報告がありました」 コン内官の言葉に手を止めを顔を上げる 「珍しい事もあるものですね」 僕の言葉にコン内官が柔らかく微笑んだ 「本日の執務は急ぐものはございませんので、殿下もどうかお休み下さい」 予想もしなかったコン内官の言葉に一気に胸が弾むが 悟られないようにゆっくり万年筆を終い椅子から立ち上がる 「急ぎがないのなら僕も休みます」 本当は少しでも急いで執務室を出たいがゆっくりドアまで行き ドアノブに手を掛けて思い出したように振り替えた 「あ、久し振りにこんなに早く休めるのでコン内官、貴方もお休み下さい。夕食の準備を用意したら女官達にも下がるように」 「畏まりました」 一礼したコン内官の言葉を背中に聞き僕は執務室を後にした パビリオンに着くと すでにコン内官が指示したのがチェ尚宮以外の女官達の姿はみえなかった それところがチェギョンの姿も… 「殿下、おかえ」 「チェギョンは何処ですか?」 チェ尚宮が頭を下げあいさつをするのを僕は待てなく 愛しい人の存在を確かめた そんな僕に頭を上げたチェ尚宮は目を一瞬見開いたが すぐにいつもの表情になり 「妃宮様は寝室でございます」 「寝室? 体調が悪いと言う報告は受けてはいないが?」 鋭い視線をチェ尚宮に向けると肩が小さく揺れた 「いえ。体調に問題はございません。妃宮様は高校時代のアルバムを持ち、制服姿の自分達に逢う…とおっしゃられ寝室で過ごしております」 「高校時代のアルバム?」 「はい。殿下、夕食の準備は整っております」 「後は自分達でしますので貴女も下がって下さい」 「畏まりました」 一礼しそのままチェ尚宮はパビリオンから出て行った 静まり返ったパビリオン 僕は寝室のドアをゆっくり回した 寝室に入ると ベッドの真ん中で脚をバタバタさせてるチェギョンが居た おまえ! 今日の服装をわかってるのか? 脚をバタバタさせるたびにふんわり広がったスカートが捲れ 細く綺麗な太腿ははっきり見え 下着まで見えそうだ そんな姿に僕は一瞬クラクラと甘い目眩を覚え ドアに凭れた 腕を組み目を閉じ 昂る呼吸を押さえる まるで高校生だ あんな姿にドキドキし欲情さえしている自分が可笑しくて小さく息を吐いた 結婚して2年も経つのに 僕はまだチェギョンにドキドキさせらて愛しくて堪らないんだ 「本当この頃は子供で俺様のシン君に泣かされてわ」 突然聞こえたチェギョンの声に目を開けた チェギョンは僕が居る事を気付いてなく大きな溜息まで吐いた 「誰が子供で俺様だって?」 低い声でそう言うと チェギョンの割には素早い動きで上半身を起こし振り向いた 驚いてるチェギョンの顔は口を開けたままで大きな目をさらに大きくして なんともマヌケな顔だ 可愛らしいその顔に頬が緩みそうになる のを誤魔化すように片方の口角を上げチェギョンに近付いた ベッドに腰を落とした僕にチェギョンはアルバムを見ていた理由を話し、この頃の僕への気持ちを吐き出した。 「だってだってだって! 私とシン君は3年間同じ高校に居たけど、2年間は他人で全く接点なくて、3年生の時に許嫁って言われて、直ぐに結婚していっぱい嫌な思いさせられて泣かされて…その間の時間はすっごく悲しかったんだから…」 あの頃を想い出し今にも泣き出しそうなチェギョン 僕は堪らず抱き締めた 「確かにあの3ヶ月は酷い事をした。ごめん」 本当にあの時間はチェギョンを苦しめていた 僕が子供だったせいで 人を好きになる感情を初めて知った僕はその感情をどうしたらいいかわからなくて… 思ってもいない言葉を投げ付けてはチェギョンを泣かしてた …いや 泣き顔のチェギョンも可愛くて その顔を見たくて態としたりもした ユルと仲良くしてるのが許せなくて ユルに微笑むのが許せなくて … ……ああ あの頃の僕はチェギョンの言う通り子供で俺様だ 好きなコに意地悪して泣かせてばかりいた もっと早く素直になって気持ちを伝えていたら チェギョンの言うように楽しくて幸せな時間を過ごせたはずだ 制服姿で手を繋いで幸せに笑ってる写真がもっとあったはずだ でも 過去に戻る事は出来ない 皇太子でなんでも出来るってチェギョンに思われている僕にも無理だ だからこれからは 「制服の僕は無理だけど、今はいつでも手を繋いでいてやるよ」 チェギョンをキツく抱き締めて素直に気持ちを伝えた 「ああ僕はチェギョンと手を繋いで居ないと不安になるんだ。あの頃みたいにチェギョンが消えるんじゃないかと思ってね」 もう二度とあんな思いはごめんだ おまえか消えると考えただけで僕は倒れそうだ おまえを何処にも行かせない 僕のそばからいなくなるなんて許さない 胸に強く納めてチェギョンの額にキスを落とした バサッ アルバムが床に落ち2枚の写真が僕たちの目に入った 「この写真」 「制服を着た僕達の幸せな写真だ」 卒業式の朝 寝室で僕が撮った2人の写真 1枚は 左手でチェギョンの肩を抱き寄せ 顔を寄せ合い 右手で持ったカメラで撮った僕たち もう1枚はキスをしてる写真 カメラを構えたままキスをしシャッターを押した 突然の事にチェギョンは驚き 写真を撮ったって言ったらチェギョンは顔を真っ赤にしたんだ 今のように 「もぉ~ シン君なんてしらないっ!」 両手で僕の胸を叩いてるが痛くなどない チェギョンの恥かしがるこの顔も仕草も僕には堪らない こいつ分かってないんだろうな 自分の何気ない表情や仕草が僕をどれだけ煽ってるかってことを この写真を撮った後も僕は真っ赤になったチェギョンに欲情し思わず押し倒そうとしたんだった …この時は学校に行く時間に邪魔されたけれど 今は邪魔されるモノはなにもない 暴れるチェギョンを力で抑え込み 「制服を着た僕たちが一緒の写真は少ないし手を繋いだ想い出も少ないけど、今の僕たちは深く繋がってすごく幸せだ」 「うん。そうだね。いっぱい泣いたし悲しい想い出もあるけど、そのおかげで今があるんだよね。シン君、大好き」 チェギョンが背中に腕を回し甘えるように僕の胸に顔を埋めた あぁ もう無理だ 限界だ 「チェギョンにもっと深い愛を届けて繋がりたいんだが」 「シ、シッ、シン君! だ…」 「OK以外は拒否する」 逃げようとしたチェギョンを逃がさず押し倒した チェギョン 言葉では伝えられない想いを受け止めてくれるよな? おまえの言うように僕は子供で俺様だ 傲慢で我儘な僕の想いを受け入れるのはチェギョン おまえただ1人だけだ 僕の下に居るチェギョンは甘く蕩けそうな幸せな顔 たぶん僕も負けないぐらい幸せな顔をしてるはず 制服を着た僕たちより 幸せな僕たちがここにいる |
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