アルベドさん大勝利ぃ!   作:神谷涼

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 そして、勇気をもって行動に移すモモンガさん。

 明日投稿予定でしたが、短めでちょうど一段落ついたので今日に。


21:違う、そうじゃない

 ナザリック地下大墳墓、第九層。

 至高の御方の執務室。

 モモンガが執務を任せて以来、ここはアルベドとデミウルゴスが使う部屋だ。

 

「……っ……ふ……」

 

 今、アルベドは脂汗をかきながら、執務を続けていた。

 つらい。

 つらすぎる。

 

「っく……ぅ……♡」

 

 幸せだとは思う。

 気持ちがいいのは、間違いない。

 しかし。

 溺れられない。

 つらい。

 

「アルベド様、こちらの書類をお願いします」

 

 ソリュシャンが、書類を渡してくる。

 彼女の目は明確な殺意をこめた、敵を見る目だ。

 仲間に引き込んで、感謝もされていたはずなのに。

 

「っぅ……わかった、わ」

 

 返事するにも息と声を飲まねばならない。

 アルベドとて、気持ちはわかる。

 同じ状況を見たら、自分だって殺意くらい出る。手も出ていただろう。

 シャルティアやルプスレギナも、ここにいたら同様の――シャルティアからは直接攻撃だって受けていただろう。ソリュシャンはただ、アルベドに勝てないと知っているから……手を出さず、視線でのみ敵意を投げているのだ。

 

「他の方は入れないようしますので。せめて匂いだけでも抑えてください」

 

 冷たくぴしゃりと、ソリュシャンが言えば。

 別の意味に捉えたのか。

 ずじゅるるるるるぅっ!と激しい音が響いた。

 

「ち、ちがっ! そういう意味、ではッ~~~~~~~ッッ♡♡♡」

 

 アルベドが突っ伏して、びくっびくっと肩を震わせる。

 腰から生えた黒い翼が、ピンと伸びて……くたくたと脱力した。

 

「……やはり、状況を知っていただくべく、報告の方には入っていただきますね」

 

 冷え切った目で、ソリュシャンが執務机から距離を取る。

 

「えっ、やめ……」

 

 突っ伏したまま、追いすがるように手を伸ばすアルベドだが。

 ソリュシャンはそのまま、執務室を退出した。

 扉を閉じる音さえも、彼女にしては酷く乱暴で。

 その怒りをまざまざと感じさせる。

 

「……っ、はぁっ……も、モモンガ、もう部屋に戻って、いいのよ?」

 

 息を切らせながら、内心で懇願するように。

 アルベドは執務机の下にいたモモンガに、声をかけた。

 

「いいや。今までは一方的に奉仕させてばかりだったからな。夫婦として、お前の仕事を手伝うべく、執務中のお前にしっかり奉仕させてもらうぞ」

 

 机の下、どろどろに濡れ汚れた顔でモモンガが胸を張り。

 ドヤ顔を見せて来る。

 そう。

 モモンガはずっと執務机の下で跪き、アルベドに奉仕していたのだ。

 

「け、けど、そんな机の下に入らなくても……」

 

 アルベドは別に感度が鈍いわけではない。

 実際にはモモンガと大差ない、過敏な体なのだ。

 

「アルベド。さっきも言ったが……私は今まで、想いを抑え、お前のため耐え忍んできた」

 

 それはどうかと……と、思うだけで口にできないアルベド。

 至高の御方たるモモンガの言葉に、どうしてシモベの身で反論できようか。

 

「だから私は、伴侶として仕事中のお前にきちんと奉仕を続けるぞ。そして後で、きちんと腹を割って話し合おう」

 

 にっこりと微笑み。

 モモンガは再びそこに顔を埋めた。

 それに専念する間、アルベドがどれほど声を抑え、絶頂をこらえているか気づかぬままに。

 

 

 

 ヒルマの言葉に、目からウロコだったモモンガは……己を偽らず、言葉で全てを示そうとした。

 だから自分からアルベドに〈伝言(メッセージ)〉を使い。

 仕事中と聞けば、ルプスレギナに案内させて執務室にも来た。

 

 そして、アルベドに何度も愛を告白した。

 シャルティアとソリュシャンとルプスレギナと――ついでにデミウルゴスの目の前で。

 退出しようとする彼らを、モモンガは留まらせ、見届け人とさせる。

 彼らとしては、別に聞きたくなかったのだが……。

 

 アルベドは、もちろん嬉しかった。

 御方が愛の言葉を口に出し、熱心に訴えてくれるのは本当に嬉しい。

 最初の一言で、嬉しくて涙が出た。

 ただ、言葉は一言ではまったく終わらなかった。

 元より理性の強いアルベドは、すぐに冷静になる。

 そして……己の置かれた状況にも気づく。

 できれば、同僚の目がない場所でしてほしかった。

 最初はデミウルゴスの咳払い程度だったが。

 次第に嫉妬が高まり、全員が殺意に溢れんばかり。

 だが、それだけなら……まだよかった。

 デミウルゴスは理解していたし、シャルティア達もうすうす感じてもいた愛情だ。

 しかし。

 

「これ以上は仕事中では邪魔だろう。ナザリックの内務と外務において、私はアルベドやデミウルゴスのようにはこなせんからな。せめて、愛する妻には私なりに仕事中の手伝いをさせてくれ」

 

 この言葉に頷いたのが、アルベドの運の尽きだったのだろう。

 ぺロロンチーノから聞いたという“仕事中の奉仕”に、アルベドは顔を青くした。

 シャルティアは知っていたが、至高の御方がすることではないと留め。

 ルプスレギナは、モモンガが仕事してメイドである己たちがすべきでは……と言ってみたが。

 モモンガの意志は、余計な時に固かった。

 

 おかげで、アルベドは手伝いでもなんでもない、仕事中の奉仕を受けている。

 シャルティアとルプスレギナは、怒りに肩を切って去った。

 比較的冷静に秘書を務めてくれていたソリュシャンも、立ち去ってしまった。

 デミウルゴスは、とうに仕事に出て行っている。

 

 もちろん、アルベドとて嬉しくないわけがない。

 プレイとしてなら、至高の御方が己に跪くのもいい。

 だが、ここは職場である。

 真面目に仕事する場所であり、アルベドにとって“切り替えるべき場所”なのだ。

 遠回しに言ってみても、今日に限っては気遣いを放棄したように、ぐいぐい来る。

 

 正直に邪魔だと言いたかったが……。

 そうした扱いは、モモンガを後々なお問題ある状況にしそうで。

 結局言えなかった。

 

 集中すれば3時間程度で終わる仕事が、延びている。

 その間、アルベドはどれだけ絶頂させられただろう。

 途中からモモンガの手は、がっちりとアルベドの尻を掴んで離してくれていない。

 快楽に溺れたかったが、目の前の書類、守護者統括の責任感が、それをゆるさない。

 

 12時間後――アルベドの執務はまだ終わっていなかった。

 労働と快楽の中間の生命体となり、永遠に視線をさまよわせるのだ。

 そして放棄したいと思っても放棄できないので。

 ――そのうちアルベドは考えるのをやめた。

 

 

 

「……文句の一つも言ってやりたかったのだが、その様子では私もかける言葉がないね」

 

 空ろな目で、時折びくびくっと震えるだけのアルベドの姿に。

 デミウルゴスは深々と溜息をついた。

 もっとも、嫉妬の念は変わらずだ。

 パンドラズ・アクターにも伝えたところ、彼は大いに激昂していた。

 おかげで王国での工作は前倒しとなり、書類の数も倍増している。

 見れば、プレアデスやシャルティアによるものだろう。

 本来ならば彼女らが処理すべき書類も大量に積み上げられていた。

 

「まあ、素晴らしい伴侶を得た代償だよ。がんばりたまえ」

 

 一方的にそう言って。

 デミウルゴスは持ってきた大量の書類を、執務机に積み上げるのだった。

 

 72時間後……いくら何でも仕事が終わらなさすぎると、ようやく気付いたモモンガは。

 アルベドの机に積み上げられた書類の山に呆然とし。

 その仕事を分担させるべく、他の者らにも書類仕事をさせるようになる。

 そして、アルベドのナザリックにおける立場は、さらに悪化するのだった……。

 




 この後、腹を割って話あうことも忘れ、結局ベッドに向かいました。

 そう簡単に、初対面の人の言葉で全ては変わらない。
 サキュバスのピンク脳で考えた、精一杯のお手伝い。
 実際、アレは真面目な仕事中にされても邪魔でしかなさそう。
 アルベドさんの性経験値はモモンガさんと同じです。
 転移初キス()の時、アルベドさんは童貞メンタルでしたし!

 そして、実際趣味でやってるので、こんな理由でいろいろ前倒しされる王国!

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