明日投稿予定でしたが、短めでちょうど一段落ついたので今日に。
ナザリック地下大墳墓、第九層。
至高の御方の執務室。
モモンガが執務を任せて以来、ここはアルベドとデミウルゴスが使う部屋だ。
「……っ……ふ……」
今、アルベドは脂汗をかきながら、執務を続けていた。
つらい。
つらすぎる。
「っく……ぅ……♡」
幸せだとは思う。
気持ちがいいのは、間違いない。
しかし。
溺れられない。
つらい。
「アルベド様、こちらの書類をお願いします」
ソリュシャンが、書類を渡してくる。
彼女の目は明確な殺意をこめた、敵を見る目だ。
仲間に引き込んで、感謝もされていたはずなのに。
「っぅ……わかった、わ」
返事するにも息と声を飲まねばならない。
アルベドとて、気持ちはわかる。
同じ状況を見たら、自分だって殺意くらい出る。手も出ていただろう。
シャルティアやルプスレギナも、ここにいたら同様の――シャルティアからは直接攻撃だって受けていただろう。ソリュシャンはただ、アルベドに勝てないと知っているから……手を出さず、視線でのみ敵意を投げているのだ。
「他の方は入れないようしますので。せめて匂いだけでも抑えてください」
冷たくぴしゃりと、ソリュシャンが言えば。
別の意味に捉えたのか。
ずじゅるるるるるぅっ!と激しい音が響いた。
「ち、ちがっ! そういう意味、ではッ~~~~~~~ッッ♡♡♡」
アルベドが突っ伏して、びくっびくっと肩を震わせる。
腰から生えた黒い翼が、ピンと伸びて……くたくたと脱力した。
「……やはり、状況を知っていただくべく、報告の方には入っていただきますね」
冷え切った目で、ソリュシャンが執務机から距離を取る。
「えっ、やめ……」
突っ伏したまま、追いすがるように手を伸ばすアルベドだが。
ソリュシャンはそのまま、執務室を退出した。
扉を閉じる音さえも、彼女にしては酷く乱暴で。
その怒りをまざまざと感じさせる。
「……っ、はぁっ……も、モモンガ、もう部屋に戻って、いいのよ?」
息を切らせながら、内心で懇願するように。
アルベドは執務机の下にいたモモンガに、声をかけた。
「いいや。今までは一方的に奉仕させてばかりだったからな。夫婦として、お前の仕事を手伝うべく、執務中のお前にしっかり奉仕させてもらうぞ」
机の下、どろどろに濡れ汚れた顔でモモンガが胸を張り。
ドヤ顔を見せて来る。
そう。
モモンガはずっと執務机の下で跪き、アルベドに奉仕していたのだ。
「け、けど、そんな机の下に入らなくても……」
アルベドは別に感度が鈍いわけではない。
実際にはモモンガと大差ない、過敏な体なのだ。
「アルベド。さっきも言ったが……私は今まで、想いを抑え、お前のため耐え忍んできた」
それはどうかと……と、思うだけで口にできないアルベド。
至高の御方たるモモンガの言葉に、どうしてシモベの身で反論できようか。
「だから私は、伴侶として仕事中のお前にきちんと奉仕を続けるぞ。そして後で、きちんと腹を割って話し合おう」
にっこりと微笑み。
モモンガは再びそこに顔を埋めた。
それに専念する間、アルベドがどれほど声を抑え、絶頂をこらえているか気づかぬままに。
ヒルマの言葉に、目からウロコだったモモンガは……己を偽らず、言葉で全てを示そうとした。
だから自分からアルベドに〈
仕事中と聞けば、ルプスレギナに案内させて執務室にも来た。
そして、アルベドに何度も愛を告白した。
シャルティアとソリュシャンとルプスレギナと――ついでにデミウルゴスの目の前で。
退出しようとする彼らを、モモンガは留まらせ、見届け人とさせる。
彼らとしては、別に聞きたくなかったのだが……。
アルベドは、もちろん嬉しかった。
御方が愛の言葉を口に出し、熱心に訴えてくれるのは本当に嬉しい。
最初の一言で、嬉しくて涙が出た。
ただ、言葉は一言ではまったく終わらなかった。
元より理性の強いアルベドは、すぐに冷静になる。
そして……己の置かれた状況にも気づく。
できれば、同僚の目がない場所でしてほしかった。
最初はデミウルゴスの咳払い程度だったが。
次第に嫉妬が高まり、全員が殺意に溢れんばかり。
だが、それだけなら……まだよかった。
デミウルゴスは理解していたし、シャルティア達もうすうす感じてもいた愛情だ。
しかし。
「これ以上は仕事中では邪魔だろう。ナザリックの内務と外務において、私はアルベドやデミウルゴスのようにはこなせんからな。せめて、愛する妻には私なりに仕事中の手伝いをさせてくれ」
この言葉に頷いたのが、アルベドの運の尽きだったのだろう。
ぺロロンチーノから聞いたという“仕事中の奉仕”に、アルベドは顔を青くした。
シャルティアは知っていたが、至高の御方がすることではないと留め。
ルプスレギナは、モモンガが仕事してメイドである己たちがすべきでは……と言ってみたが。
モモンガの意志は、余計な時に固かった。
おかげで、アルベドは手伝いでもなんでもない、仕事中の奉仕を受けている。
シャルティアとルプスレギナは、怒りに肩を切って去った。
比較的冷静に秘書を務めてくれていたソリュシャンも、立ち去ってしまった。
デミウルゴスは、とうに仕事に出て行っている。
もちろん、アルベドとて嬉しくないわけがない。
プレイとしてなら、至高の御方が己に跪くのもいい。
だが、ここは職場である。
真面目に仕事する場所であり、アルベドにとって“切り替えるべき場所”なのだ。
遠回しに言ってみても、今日に限っては気遣いを放棄したように、ぐいぐい来る。
正直に邪魔だと言いたかったが……。
そうした扱いは、モモンガを後々なお問題ある状況にしそうで。
結局言えなかった。
集中すれば3時間程度で終わる仕事が、延びている。
その間、アルベドはどれだけ絶頂させられただろう。
途中からモモンガの手は、がっちりとアルベドの尻を掴んで離してくれていない。
快楽に溺れたかったが、目の前の書類、守護者統括の責任感が、それをゆるさない。
12時間後――アルベドの執務はまだ終わっていなかった。
労働と快楽の中間の生命体となり、永遠に視線をさまよわせるのだ。
そして放棄したいと思っても放棄できないので。
――そのうちアルベドは考えるのをやめた。
「……文句の一つも言ってやりたかったのだが、その様子では私もかける言葉がないね」
空ろな目で、時折びくびくっと震えるだけのアルベドの姿に。
デミウルゴスは深々と溜息をついた。
もっとも、嫉妬の念は変わらずだ。
パンドラズ・アクターにも伝えたところ、彼は大いに激昂していた。
おかげで王国での工作は前倒しとなり、書類の数も倍増している。
見れば、プレアデスやシャルティアによるものだろう。
本来ならば彼女らが処理すべき書類も大量に積み上げられていた。
「まあ、素晴らしい伴侶を得た代償だよ。がんばりたまえ」
一方的にそう言って。
デミウルゴスは持ってきた大量の書類を、執務机に積み上げるのだった。
72時間後……いくら何でも仕事が終わらなさすぎると、ようやく気付いたモモンガは。
アルベドの机に積み上げられた書類の山に呆然とし。
その仕事を分担させるべく、他の者らにも書類仕事をさせるようになる。
そして、アルベドのナザリックにおける立場は、さらに悪化するのだった……。
この後、腹を割って話あうことも忘れ、結局ベッドに向かいました。
そう簡単に、初対面の人の言葉で全ては変わらない。
サキュバスのピンク脳で考えた、精一杯のお手伝い。
実際、アレは真面目な仕事中にされても邪魔でしかなさそう。
アルベドさんの性経験値はモモンガさんと同じです。
転移初キス()の時、アルベドさんは童貞メンタルでしたし!
そして、実際趣味でやってるので、こんな理由でいろいろ前倒しされる王国!