［大学サッカー］総理大臣杯きょう開幕　快進撃再び！拓大のキーマン・MF小宮

　第４３回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントは２９日に開幕する。京都府、大阪府、兵庫県内の全６会場で９月７日までの日程で熱戦が展開されるこの大会に、関東からは予選を兼ねた関東大学トーナメントで７位までに入ったチームが参加する。その中で注目されるのは第７代表の拓大。関東大学２部リーグの所属ながら、格上の１部勢２校を同大会で倒し、実に３７年ぶり２回目となる出場を遂げた。チームの中心は静岡学園高出身の２人、絶対的存在のセンターバックとして君臨する西山大輝主将（４年）と予選で殊勲のゴールをマークしたサイドハーフの小宮嶺（４年）だ。久々の本大会でどこまで勝ち上がれるのか？　両選手に大きな期待がかかる。　（関孝伸）

　ＭＦ小宮の右足が総理大臣杯への道を切り開いた。勝てば予選突破、負ければ敗退という大一番・中大戦（７月２１日）で、ＦＫを鮮やかにねじ込み、１－０の勝利をチームにもたらした。

　それまでの予選４試合では、チーム事情でスーパーサブ的な使われ方が続いていた。しかし、千金弾でヒーローになったその決戦ではスタメン起用。背番号１０を身にまとう本来のエースとして「期待されてスタートから出ることになったので、絶対に点を取りたいと思って臨みました」と気合を入れ、その通りに結果を残した。

　歓喜の立役者は試合後に涙を流した。度重なるけがで不完全燃焼に終わった、高３時の悔しさが思い起こされた。重要な試合でほとんどプレーできず、親を全国大会に連れていきたいとの願いがはかなく散っていた。だから、全国大会への思いは誰よりも強く、自らのゴールでそのチケットを得た今回「やっと自分の力で（全国大会に）行けると思いました。うれしかったです」と感極まった。

　ただし、感慨にいつまでも浸っていたわけではない。３７年ぶりの総理大臣杯出場で大学の歴史を塗り替えたが、それで満足することなどできないからだ。「（本大会で）すぐに負けたら、意味がありません。自分はスーパー負けず嫌いですし、優勝を狙います」と鼻息は荒い。

　豊富な運動量で駆け回り、サイドハーフの位置から積極的に中へと入り込んでくるプレースタイルは、マークしにくく、相手にとって厄介な存在になる。今大会で一躍脚光を浴びる可能性を秘めるといえそうだ。

　「総理大臣杯でも自分が点を決めることに強くこだわってやっていきます。本来はチャンスメークをするのが持ち味なので、点につながるアシストのようなプレーもしたいです。自分がいいプレーをすれば、チームとしての結果にもつながると思います」

　目標であるプロ入りに向けての試金石にもなる戦いの場へと、いざ出陣する。

　◆増えた帰省　埼玉県川越市の実家には２カ月に１回ほど帰っている。現在は東京都八王子市内で暮らすが、静岡県に住んでいた高校時代に比べて実家が近くなり、帰省する頻度が高くなった。家族仲がいいので、会う回数が増えたこの状況はとてもうれしい。

　◆試合前に神頼み　神社に興味があり、町中を歩いているときなどに鳥居を見つけると、ふらっと入り、お参りをする。試合前には拓大のキャンパス内にある拓殖招魂社という神社に赴き、神頼みをする。

＜小宮嶺（こみや・れい）＞　１９９８（平成１０）年１月２２日生まれ、埼玉県川越市出身の２１歳。１６５センチ、６３キロ。地元のあおば幼稚園年中組のときにあおばサッカークラブでプレーを始めた。川越福原サッカークラブからクマガヤサッカースポーツクラブに進み、中３時にＵ－１５日本代表候補入り。高校時代は静岡学園高に所属した。拓大では１年時から出番を得て、３年時途中からコンスタントに出場している。

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