東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 首都圏 > 記事一覧 > 8月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【首都圏】

鈴木昭典さん、非核訴え 遺作ドキュメンタリー 30日放送

写真

 一月に亡くなったテレビディレクター鈴木昭典さん=写真、享年(89)=が取材した南太平洋と日本の「ヒバクシャ(被爆者)」のドキュメンタリー番組「核の記憶 89歳ジャーナリスト 最後の問い」が三十日午後七時から、BS12トゥエルビで放送される。

 昨夏放送の改訂版で、昏睡(こんすい)状態に陥る直前の鈴木さんの病床での言葉が盛り込まれた。「しゃべりたい」と酸素マスクを外し、遺言として「人の痛みを伝えなければいかん」と訴えた。

 大阪府出身の鈴木さんは、朝日放送(現朝日放送テレビ)で昭和史を検証する番組を多く手がけた。一九八八年にドキュメンタリー工房(大阪市)を設立。連合国軍総司令部(GHQ)関係者らに取材を重ね、代表作「日本国憲法を生んだ密室の九日間」を制作。現役最高齢ディレクターと呼ばれた。

 遺作となった「核の記憶」では、がんと闘いながらニュージーランドや南太平洋、広島市の「ヒバクシャ」を訪ね歩いた。子や孫の代まで染色体異常やがんなど健康被害が続く現状を伝え、非核の重要性を訴えた。

 昨夏の放映後、鈴木さんは結核を発症し、入退院を繰り返した。正月は自宅で過ごしたものの、肺炎で再入院。スタッフに「自分を撮れ」と指示し、ジャーナリストとしての心構えをのこした。 (安藤美由紀)

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】