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(なつ)ねえ 優ちゃん…!
ああ…!
(坂場)どうした?ねえ 優! どうして こんなことするの!
これは ママの大事なお仕事でしょ!
(優)優ちゃんママのお仕事 手伝いたかったの…。
えっ?
そしたら ママ 眠れるから。
優…。
ごめんなさい… ごめんなさい ママ…。
ごめんなさい ごめんなさい…。
いいの。 いいの こんなの 何でもない。
ママこそ ごめんね。
怒って ごめんね。
そっか 手伝おうとしてくれたのか…。
おい 何だ? これ。
うん?これは 君が描いたんじゃないよな?
え…。めくってみて。
♪~
ちょっと…。
ちゃんと動いてるだろ?
優は 君の仕事を見ていつの間にか覚えちゃったんだこんなこと…。
優!
あんた 天才だ!天才?
うん。うん。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
ね? どう? すごいでしょ?
(堀内)うん…偶然のような気もするけども。
偶然じゃないでしょ これは。
偶然だとしても4歳で これは すごいでしょ?
天才かもしれません!
奥原なつも ちゃんと親バカになるんだな。
そりゃ なりますよ。そうか…。
確かに 入ってきた時の奥原なつの画力に近いものはあるかもしれないな。
はあ?(中島)ハハハ… あ すいません。
で これ どうするの?消して描き直すの?
消しませんよ!もう大事に取っておきます。
一生の宝物です。
急いで 一から描き直します。
お疲れさま。完全に親バカですね。
・(佐藤)奥原さ~ん!はい。
(佐藤)奥原さん 奥原さん…。はい。
最終回の話は もう決まったんですか?
いえ… 演出家がまだ脚本に迷ってるみたいでなかなか絵コンテが上がってきませんね。
そう… 「キックジャガー」はどうなるんだろうね。
まあ キックジャガーはよく戦いましたよ。 ボロボロになるまで。
やっぱり 最後はジャガーのマスクを取って正体を明かす?
う~ん… 終わらせるにはそれしかないと思いますけど。
(茜)今日も ママ遅いから一緒に ごはん食べようね。
優ちゃんは 今日 何食べたいの?
えっとね… 茜さんのオムライス!
え~ またか…。
うん? 明子は 何食べたいの?
(明子)ギョーザがいい!ギョーザ?
えっ ギョーザか オムライスか?え~ どっちがいいかな…。
うん? どっちも食べたいの?
え~ どうしよう…。
う~ん…。
どう?
どうでしょう… キックジャガーは子どもたちのために戦ってきたのにテレビで 正体がばれた
らもう子どもたちには会わないんですか?
試合中に マスク取られたらもう会いに行かない方がいいだろう。
どうしてですか?
どうしてって…痛ましい姿は見せたくないでしょうよ。
キックジャガーは孤児たちのヒーローなんだから。
自分たちのために ボロボロになりながら戦ってくれた キックジャガーに子どもたちは 何も
言えないんですか?
黙って去る方が かっこいいと思うけどな。
男の美学ですよね。うん。
美学…。
♪~
ねえ ママ これ何だ?ん?
あっ ウサギ。そう!
うまい うまい…。優は 本当に絵がうまいわ。
ママみたいになれる?
なれるよ!ママより ず~っと うまくなれるよ。
ねえ 優。うん?
もし キックジャガーに会えたら何て言う?
キックジャガーに会えるの?いや もしもよ…。
もしも本物のキックジャガーに会ったら…。
ほら キックジャガーはいろんな敵と戦ってもう ボロボロに 痛い痛いになって疲れてるでし
ょ。
そのキックジャガーに何て言ってあげたい?
えっとね… もういいよって。
そうか… 優は優しいね。
「もういいよ」か…。
もういいよ…。
そうだよね… もう戦わなくていいよね!
うん。
そうだ…。
やっぱり 子どもたちに会いに行きましょう!
会いに行って どうするの?
素顔を明かして負けたことを子どもたちに謝るんです。
それで 子どもたちは?
子どもたちは キックジャガーに泣きながら こう言うんですよ。
もういいよ もう戦わなくていいよって。
そこで キックジャガーも初めて涙を流せるんです。
「もういいよ もう戦わなくていい」か…。
いいね! 泣けるね!
でも 戦うんです。(佐藤)えっ?
キックジャガーは その言葉を聞いてもう一度リングに向かう決意をするんですよ。
今度は 素顔のまま 中神拳矢として一人の正統派キックボクサーとしてもう一度 リングに
復活するんです!
それが この物語のラストカットです。
いい!
それ いいよ!
敗者の美学だ!
すばらしい! それでいこう!
はい!
♪~
♪~(「キックジャガー」のテーマ曲)
(実況)「さあ 何をする気だ?キックジャガー。おっ マスクに手をかけた!どういうことだ!
?会場から悲鳴が上がる!なんと マスクを脱ぎ捨てた!」。
(子どもたち)「拳矢にいちゃんだ!拳矢にいちゃん!」。
(キックジャガー)「子どもたちよ 見ろ。俺は 戦うことをやめない」。「頑張れ!」。
(ゴング)「マスクを捨てて正々堂々と 君たちに戦う姿を見せる!」。
こうして完成した「キックジャガー」はお茶の間に 大きな感動を呼びました。
優ちゃん 今日 ママ 具合が悪いの。
言うこと聞いてちょうだい。
それは まだ ダメ!
あ~! ママ~!うん? どうしたの?
(明子)優ちゃんが蹴った!あ…。
優ちゃん 蹴っちゃダメじゃないの!
(明子)もう 優ちゃんとは一緒に遊ばない。
ママ 一緒に遊ぼう。
あ… もう 2人とも困ったな…。
あのね ママ 今日は 本当にちょっと具合が悪いのよ…。
(チャイム)あっ ほら 優ちゃんのママ帰ってきた。
ほら 玄関行こう。あ~ もう ちょっと2人とも… どうぞ!
遅くなって ごめんなさい。ママ お帰り。
優 ただいま。
ああ よかった…。
ちょっと ごめんなさい…。ママ 大丈夫!?
明ちゃん 大丈夫よ…。
(坂場)2人目?そう。
今日 病院に行ってはっきり分かったんだって。
ああ… そうか。
いや 下山さんは子ども好きだから喜ぶだろうな。
うん。 おめでたいよね。ああ。
だけど 優は もう預けられなくなるか…。
うん… 茜さんは 今3か月だから来年の春までは大丈夫だって言ってくれてるけど…。
今でも つわりは つらそうだから。うん…。
また考えないとな。
まあ やっと「キックジャガー」が終わったから次は なるべく早く帰れるように作画監督の仕
事は やめるようにする。
(坂場)うん… まあ それでも誰も当てにしないってわけにはいかないだろ 仕事を続ける以
上は。
そして 数日後。
こんにちは。あっ こんにちは。
イッキュウさんとも相談してなるべく早くほかの預け先を探すようにしますから。
あ そう… 悪いわね。いえ。
もう優ちゃんに会えなくなると思うと寂しいな…。
2人目が生まれたらもっと にぎやかになるじゃないですか。
でも もっと大変になるわ。
とうとう 親にも頼らないとやっていけないかも。
おめでたいことなんですから…。
さあ 優 帰ろう。
えっ?帰らない。
すいません…。どうして? 帰らないの?
あ… 分かった。今日は 明子のお誕生日だからよ。
あっ そうか。明ちゃん おめでとう。ありがとう。
優ちゃんも お誕生日する!
あ… そういうことか。
おじさんも 今日は早く帰ってくるって言ってたしね。
ねえ 優…それじゃ 邪魔しちゃ悪いでしょ。
ほら わがまま言わないで 早く帰ろう。
優!やだ!ダメよ!
優ちゃんは 一緒に 明子の誕生日を祝ってくれようとしてるんだよね。
そうなの? 優。
じゃあ そうしようか。いや だけど…。
いや もし いてくれたら 明子も喜ぶから。
もう明子と優ちゃんは本当の姉妹みたいなもんだもんね。
いや…。
ねえ ママは帰っちゃうよ?パパの夕食作らないと。
いいよ。 茜さんと一緒にいる。茜さんと一緒がいい。
♪~