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富山新聞

閉館が迫った金沢みなと会館=無量寺町

みなと会館、9月2日閉館 新ターミナル建設 住民ら別れ惜しむ

2019/08/28 01:51

 金沢港戸水埠頭の金沢みなと会館が9月2日に閉館する。金沢港の大改修に合わせてオープンから47年でその歴史の幕を閉じ、来春、クルーズターミナルに生まれ変わる。会館には現在の天皇陛下も高校時代に足を運ばれており、客船の観覧スポットなどとしても利用してきた地元住民らは別れを惜しみ、金沢の海の玄関口にできる新たな「顔」の建設に期待を寄せている。

 

 金沢みなと会館は1972年11月、木材運搬船や石油タンカーの乗り入れ増加を受け、船員の休憩、宿泊のための施設としてオープンした。

 

 75年には、学習院高等科に在学中だった浩宮さまが、所属する地理研究会の夏季研修で来県された際、会館内の展示や展望台からの景色を見て回った。当時の北國新聞は紙面で「いかにも初めての日本海らしさをご自分の目でたしかめたいというごようすだった」と伝えている。

 

 会議室やレストランの利用があったほか、近年は増加するクルーズ船を近くから見ることができる場所としても多くの人が訪れている。25日にはイタリアの客船「コスタ・ネオロマンチカ」(5万6769トン、定員1578人)が寄港し、会館屋上の展望台にはカメラや双眼鏡を持った人の姿があった。

 

 クルーズ船が入港する日には必ず立ち寄るという会社員の坂井正嗣さん(63)=西金沢3丁目=は「インパクトのある大きな船が手軽に見られる。元気をもらえる場所」と話す。

 

 金沢みなと会館として受け入れるのは9月2日に寄港する日本最大級の豪華客船「飛鳥Ⅱ」が最後になるという。その後は解体工事が順次進められる見通しだ。

 

 現会館の横では展望デッキや観光案内所、レストラン、学習・体験ルームなどを備えた新たなターミナルの建設されている。

 

 小学生の頃から船を見るために会館を訪れていたという吉田洋さん(64)=白山市長竹町=は「なくなるのは寂しいが、新たにできるきれいな展望デッキで船を眺めたい」と笑顔を見せた。