採用に臨む企業の人事部にとって、定員割れせずに、かといって過大な数にならないように学生を確保することは、大きな関心事の一つ。そのため、個々の学生が持つ内定辞退の可能性は、もちろんこれだけで採否を決めるわけではないとしても、「重要な付帯情報」だ。個々の学生の採否に影響しないといえるものではない。

 就職活動にリクナビを利用した学生は不安や不満を持っているに違いない。自分が就職活動の対象にした企業がデータを購入したか否かは重大な関心事であるはずだ。また、「採用に影響したか否か」の判断は、十分情報を与えて学生に判断かつ納得してもらうべき問題だ。

 今の時点でリクルートキャリアは、サービスの利用者である学生の側よりも、お金を支払うクライアントである企業の側についているといえよう。しかし、リクナビはそもそもユーザーである学生に信用されなければ存続できないサービスなのだから、この対応はビジネス的にも正しくあるまい。取引企業に違約金や賠償金を支払ってでも、データの販売先企業を公開すべきではないだろうか。

同様の個人データ利用は広範に行われている

 今回のリクナビに類似する個人データの利用は、違法・合法・グレーの各ゾーンにおいて、本人が知らないところで広く行われていると考えておく必要がある。

 学生の就職活動ではなく、中途採用を仲介するエージェントの担当者から聞いた話だが、この会社では、クライアントに紹介する候補者についてSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)をはじめとしたその他インターネット上の手掛かりになるデータを各所から集めて解析しているという。