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「京アニ」 死亡した25人の名前公表 京都府警

「京アニ」 死亡した25人の名前公表 京都府警
「京都アニメーション」のスタジオが放火された事件で、京都府警察本部は27日、亡くなった35人のうち、新たに25人の名前を明らかにし、これで亡くなった全員の名前が公表されました。
先月18日、京都市伏見区にある「京都アニメーション」の第1スタジオが放火され、建物にいた社員70人のうち35人が死亡、34人が重軽傷を負いました。

この事件で京都府警察本部は27日午後3時半に亡くなった35人のうち、これまで見合わせていた25人の方の名前を公表しました。ほかの10人の方の名前はすでに公表されていて、これで亡くなった35人全員の名前が公表されました。

警察は、引き続き、遺族やけがをした被害者の支援にあたることにしています。

この事件で警察は35人を殺害したとして殺人や放火などの疑いで青葉真司容疑者(41)の逮捕状を取っています。

青葉容疑者は重いやけどをして入院し治療を受けていますが、依然、話が聴けない状態だということで、動機の解明には時間がかかるものとみられます。
今回の事件で亡くなった人のうち警察が27日に名前を公表したのは次の25人の方々です。
▽京都府宇治市の石田敦志(いしだ・あつし)さん(31)、
▽京都市伏見区の石田奈央美(いしだ・なおみ)さん(49)、石田さんが事件で亡くなったことはすでに両親が明らかにしています。
▽京都府宇治市の岩崎菜美(いわさき・なみ)さん(31)、
▽京都府宇治市の大當乃里衣(おおとう・のりえ)さん(26)、
▽京都府木津川市の大野萌(おおの・めぐむ)さん(21)、
▽京都市伏見区の兼尾結実(かねお・ゆうみ)さん(22)、
▽京都市伏見区の川口聖矢(かわぐち・せいや)さん(27)、
▽京都市伏見区の草野(くさの)すみれさん(32)、
▽京都市伏見区の佐藤綾(さとう・あや)さん(43)、
▽京都市左京区の佐藤宏太(さとう・こうた)さん(28)、
▽京都府宇治市の鈴木沙奈(すずき・さな)さん(30)、
▽京都府宇治市の高橋博行(たかはし・ひろゆき)さん(48)、
▽京都市左京区の武地美穂(たけち・みほ)さん(25)、
▽京都府宇治市の池田晶子(いけだ・しょうこ)さん(44)、本名、寺脇(てらわき)晶子さん、
▽京都市下京区の時盛友樺(ときもり・ともか)さん(22)、
▽京都府木津川市の西川麻衣子(にしかわ・まいこ)さん(29)、
▽京都市左京区の藤田貴久(ふじた・たかひさ)さん(27)、
▽京都市伏見区の松浦香奈(まつうら・かな)さん(24)、
▽京都府宇治市の松本康二朗(まつもと・こうじろう)さん(25)、
▽京都市東山区の丸子達就(まるこ・たつなり)さん(31)、
▽京都府宇治市の宮地篤史(みやじ・あつし)さん(32)、
▽大阪・茨木市の明見裕子(みょうけん・ゆうこ)さん(29)、
▽京都市伏見区の村山(むらやま)ちとせさん(49)、
▽京都市伏見区の森崎志保(もりさき・しほ)さん(27)、
▽奈良県橿原市の渡邊紗也加(わたなべ・さやか)さん(27)、
以上の25人です。

また事件で亡くなった35人のうち次の10人の方々については8月2日に警察が名前を公表しています。
▼京都府宇治市の宇田淳一(うだ・じゅんいち)さん(34)、
▼京都府宇治市の大村勇貴(おおむら・ゆうき)さん(23)、
▼京都市伏見区の笠間結花(かさま・ゆか)さん(22)、
▼京都市伏見区の木上益治(きがみ・よしじ)さん(61)、
▼京都市東山区の栗木亜美(くりき・あみ)さん(30)、
▼京都府宇治市の武本康弘(たけもと・やすひろ)さん(47)、
▼京都市伏見区の津田幸恵(つだ・さちえ)さん(41)、
▼京都府宇治市の西屋太志(にしや・ふとし)さん(37)、
▼京都市伏見区の横田圭佑(よこた・けいすけ)さん(34)、
▼京都府井手町の渡邊美希子(わたなべ・みきこ)さん(35)。

専門家「名前は基本的要素 公表必要」

表現の自由の問題などに詳しい早稲田大学の田島泰彦非常勤講師は「事件の被害者は匿名の記号で表すような対象ではなく、個人の尊厳の観点からも名前は基本的な要素だ。被害者がどういう人だったのかということも重要であるし、被害者の名前というものは事件において公的な性格も持つということを理解する必要がある。警察が遺族の意向を大切にすること自体は悪いことではないが、事件の重大性を考えると1か月以上たってから発表したことは時間がかかりすぎたと感じる」と話しています。

そのうえで、「被害者の名前が公表されたからといって、どんな取材や報道をしても良いということにはならず、遺族などに配慮して伝えていかなくてはならないのは当然で、メディア自らが世の中の人の共感を得られるように取材の方法を考えていなければならない。ただ、被害者の名前を公表するということと遺族などへの取材をどうするかはまったく別の問題であり、ぞれぞれについてきちんと考えていくことが重要だ」と話しています。
NHKは事件の重大性や命の重さを正確に伝え、社会の教訓とするため、被害者の方の実名を報道することが必要だと考えています。そのうえで、遺族の方の思いに十分配慮をして取材と放送にあたっていきます。

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