ご無沙汰しております。元アカリセンターのHATTAです。
本日は、商品のご紹介の前に一つ皆様にお詫びとご報告がございます。
私、HATTAは昨年末を持ちまして株式会社カネデンを退職しております。何も言わずに辞めてしまったことをここにお詫び申し上げます。誠に申し訳ございませんでした。会社を辞めるにあたって様々な事情があり、簡単にここに書くことは出来ませんでした。私とて一人の会社員、個人の勝手で出来ないことはたくさんございます。そういった事情がありましたことを何卒ご理解ください。

これまで十数年間、フラッシュライトの販売に関わり、多くのライトを皆様にご紹介してきました。このブログをご覧いただき、「ライトに興味を持った」といったご意見頂くこともあり、それを励みに続けてまりました。
しかし、販売側に立ってライトを紹介することに疑問と違和感をここ数年ずっと感じておりました。ご承知のように、ネット通販の世界は大きく変わり始めております。どれだけ、魅力的なコンテンツ作りに励み、努力し続けても、「売れなければ」報われないのが商売の辛いところです。そういった競争に少々嫌気がさしたのも事実です。

そこで考えました。

売る側の立場から離れることで、もっと自由にライトの魅力を伝えたいと思うようになりました。今後は、こちらのブログをプラットホームとして利用し、よりユーザー目線に近い立場からライトの面白さや魅力をご紹介していきたいと思います。基本的な考え方は以前と何ら変わりはございません。お付き合いいただければ幸いです。どうぞ、よろしくお願い致します。

ということで、ライターHATTAがご紹介する最初の一本はこちらのNITECORE TUPでございます。

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NITECORE (ナイトコア) TUP 充電式 LED コンパクト ポケットライト

こちらのライトは、内蔵充電池式のコンパクトフラッシュライトになります。TIPシリーズやTINIなどに近いモデルになりますが、このTUPというモデルはそれらよりも一回り大きく、より進化した性能を搭載しております。機能、操作性、すべての要素がこの個性的な四角いボディに詰まっております。それでは、さっそくその特徴的な外観から見ていきましょう。

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まず目を引くのが、「モニターディスプレイ」の存在。これまでにもモニターを搭載したライトは数多くありました。特にNITECOREからは大型モデルを中心に、明るさや電圧、電池残量などが表示されるモデルはたくさんありました。しかし、このサイズでの搭載は初めてかも知れません。

全長約70mm 、ヘッドサイズは約30mm 重さは約53gです。サイズ的には一般的な単セルのCR123モデルとさほど変わりはありません。ただ、ボディが四角柱であることを除けば。ライトのボディは円柱でなければならないという決まりはありません。円柱であれば握りやすい、というメリットは確かにありますが、正直、このサイズのライトになりますとあまり関係が無いのかもしれません。また、内蔵充電池はボディ内部に四角いものが入っているらしく、その容量は1200mAhにもなります。これは、一般的な円柱型のリチウムイオン充電池16340形のおよそ二倍の容量です。
つまり、円柱型のライトの場合、バッテリースペースに入れる電池が円柱の為、ボディもそれに伴った形状になるわけですが、設計の段階から専用の充電池を使うことを想定しているのであれば、ボディの外観上の制約はなくなるわけです。よって、より大容量の充電池が入れられる形になった、と言うのがこの四角柱ボディの所以かと思います。

充電ポートはボディ側面にあり、ポートの形状はマイクロUSBタイプ。ポートを覆うダストカバーは後ろから前へ爪で少しこじってやるとずらしやすいです。ポートの開口部が広いので、ケーブルも刺しやすいと思います。

ボディ背面には、かなりしっかりとした鋼製のクリップが付いております。クリップはねじ止めされており、着脱が可能。このクリップはかなり丈夫。いや、、、硬いですね。このサイズ、重さのライトのクリップとしては超オーバースペック。少し厚みのあるベルトには刺さりません。比較的生地の薄いズボンのポケットや、リュックのストラップやモール、バックのインナーパーテーションならば刺しやすいかと思います。クリップの形状自体はとても優秀で握ったとき変に指に干渉することもなく、素直にライトを握ることが出来ます。

ボディのテール部にあるランヤードホールは耐荷重約30kg。鍵束に付けることはもちろん、自動巻きのギアキーパーなどに付けても良いかもしれません。個人的には、そのままポケットに突っ込んじゃいますけどね(笑)。でも、ライトを落としたくないと思う方は、このようなアクセサリーの併用もご検討ください。
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次にスイッチ操作についてご紹介します。
スイッチボタンはボディ上面に二つあり、ヘッドを上とすると下スイッチがメインスイッチ、その上の四本線が入ったものがモード切替となります。ボタンのサイズはこれまでのモデルに比べ大きく押し易いと思います。
充電中は淡くブルーに光り、暗所でもその所在が確認できやすくなっております。なお、充電中でも点灯可能でした。アウトドアや緊急時にモバイルバッテリーなどに繋いで急場の照明として使うことも出来る仕様のようです。

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まず、ロックアウトの仕方をご紹介します。そもそもTUPにはロックアウトは二種類あります。ロックアウト1は、「ハーフロックアウト」と言い常時点灯は出来ませんが、モードボタンを押している時だけ1000ルーメンのターボモードが作動する仕様です。モードボタンを押した瞬間に点灯するのではなく、一拍子おいて作動する感じです。ポケット内での無為な誤点灯を防ぎつつも、とりあえず短時間でも点灯させたい時に使えるモードですね。
ロックアウト2は、「フルロックアウト」と言い完全にどのボタンを押しても作動しなくなります。ロックアウト1は、点灯もしくは消灯した状態からメインスイッチを長押しすると作動し、さらにロックアウト1が作動してからも長押しするとロックアウト2に入ります。慣れるまでちょっと戸惑いますが、レスポンスは良いのですぐ慣れると思います。

次にロックアウト解除の仕方ですが、少々癖があります。まず、メインスイッチをダブルタップ(極短く二回素早く押す)し、二回目のタップで長押しすると解除されます。ロックアウト1でも2の状態でも同じ動作で解除されます。ロックアウトが解除されるときは「キーマーク」の下にダウンロードバーみたいなアニメーションが表示されます。なかなかニクイ演出でカッコいいですよ。
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点灯後は、モニターに現在の点灯モードやランタイムなどのステータスが短時間表示されます。常時表示されません。恐らく省エネを狙ったものかと思います。なお、ロックアウト1の状態でもモードボタンをタップするとバッテリー残量が確認できます。「あと電池残量どれくらいだろう?」と使う前に悩むことがありますが、これなら出かける前に確認が出来てよいですね。EDC(EveryDayCarry)での利用を強く意識した機能だと思います。

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もう一つこのライトの運用上の性格をよく表しているのが「DEMOモード」のです。デモモードとは、点灯後しばらくすると勝手に消灯するモードです。「そんなの必要?」と最初は思いました。しかし、これがこのライトの肝です。どれだけ気軽に使えるか、そういったユーザーフレンドリーを提案する機能だと思います。つまり、極短時間の使用であればそもそも消灯の為にスイッチを押す必要はありませんし、「消し忘れ」や「無駄な常時点灯」を防ぐことにも貢献します。
ちなみに、明るく光る小型のライトほど他人に貸すのを躊躇しませんか?明るいモードでは短時間でボディが熱くなりますし、電池の消耗も激しいので「大丈夫だろうか?」と貸した後から心配になり、「これは、こう使うんだよ」とか説明してもライトを借りた相手は「?」とした表情を浮かべるばかりです。相手はただちょっとライトを使いたかっただけなのに、こいつ何言ってんだ?みたいなことです。まぁ、「勝手に消えた、これ壊れてる」などの文句は言われるかもしれませんが、怪我をされたり壊されたりするよりはマシですね(笑)

しかし、長時間使えないのは不便です。もちろん、コンスタントに使えるモードもあります。それがDAILY(デイリー)モードです。DAILYモードに切り替えるには、モードボタンとメインボタンを同時に長押しすると切り替わります。モードが切り替わる時は、極短時間ライトが光ります。モニターにも切り替わりが表示されるのでよく分かるかと思います。

続いて照射についてご紹介します。

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TUPは常時点灯できるモードは4モード。1ルーメン、15ルーメン、65ルーメン、200ルーメンです。絶妙ですね、この設定。どれも実用的かつよく考えられた明るさの設定です。トップが200ルーメンというのが素晴らしいです。TUPはデイリーユースを目的としたライトです。日常使用を謳ったコンパクトライトで、常時点灯で四桁に迫る明るさが出せるライトが存在しますが、どれも常時点灯できたものではありません。電池の消耗は激しく、LEDその他デバイスにかかる負荷は激しいものです。ライトは「使えなければ意味はない」と私は常に思います。このサイズのコンパクトライトであれば、最大200ルーメンは実に現実的かつ実用的な明るさ設定だと思います。
TUPに搭載れたLEDは、CREE社のXP-L HD V6 LED。コリメータレンズによりややスポットな配光となる為、ルーメン値以上に明るく感じるモードもあります。配光自体は極端にスポットというわけではなく、距離が延びるほど程よく拡散します。手元であれば65ルーメン以下で十分、暗い夜道であれば200ルーメンがベストといった感じです。200ルーメンで常時点灯させてもほとんど熱を持ちません。搭載LEDの性能の良さが伺えます。どんなに新鋭のLEDであってもフルドライブの明るさばかりをフューチャーするのではなく、実用的な明るさを見据えた設定をメーカー側がしていることに好感が持てます。

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ターボモードの1000ルーメンは確かに明るい!原っぱで撮影したときは生憎の雨でしたが、光軸の様子も見れたので面白かったです。こうしてみると周辺光も感じることが出来るので、極端にスポットな配光ではないことが分かるかと思います。1000ルーメンはモードボタンを長押ししているときだけ発動する正にターボな状態。消灯時もしくは他の点灯モードからも使えます。但し、ボディは一気に熱くなります。その点はご注意ください。

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TUPは箱型のデザインである都合上、円柱型のボディのライトに比べて握り難いのは確かです。しかし、ボディのあらゆる部分の角が取れており、スムースで不快な感じはありません。むしろスベスベとした触感が印象的。個人的には滑って落としそう、、、などと心配にはなりますが、ペンを握るように中指と親指でボディの脇を挟み、人差し指でボタンを操作するのが一番しっくりきました。親指で操作しようとすると、ちょっとボディが短すぎると感じるかもしれません。
テーブルに置いたときの「ナニコレ?」感が凄いです。USBメモリにしては分厚いし、モバイルバッテリーにしては小さ過ぎ?ボイスレコーダーか何かですか?と聞かれてしまうかもしれません。逆にその謎な感じがガジェット好きには堪らないデザインです。下手にキーライト的なデザインよりもユーモラスがあって良いと思います。

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付属品はリングのついたフックのみ。マイクロUSBケーブルも付きません。それくらい持っているでしょ?って感じでしょうか。実際、充電モデルのライトを買うとドンドン増えるUSBケーブルが増えちゃいますよね。

TUPというこのライト、TIPシリーズの延長線上にある製品かと思っておりましたがかなり異なるアイテムでした。モード設定、それに伴う操作性ともによく考えられたものだと思います。モニターの装備は雰囲気だけかな?と思っておりましたが、実に視認性がよく、表示内容も的確かと思いました。EDCを目的としたライトだとは思いますが、このユニークなスタイルは普段ライトを使わないユーザーにも興味を持ってもらえるかも知れません。もちろん、実用面でも高いスペックを有します。単純に明るさだけではなく、使い勝手を想像した仕様がとてもよかったと思います。

NITECORE (ナイトコア) TUP 充電式 LED コンパクト ポケットライト