就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリア(東京・千代田)が就活生の同意を得ずに「内定辞退率」の予測を顧客企業に販売していた問題で、政府の個人情報保護委員会は26日、リクルートキャリアに是正を求める勧告を出したと発表した。情報の管理がずさんで、修正する体制がなかったと判断。個人情報を扱う企業に適切な体制整備を求めた。
リクルートキャリアは同日、同委の勧告を受けて都内で記者会見を開いた。内定辞退率の算出対象は7万4878人だったことを初めて明かした。小林大三社長は「学生の心情への配慮不足と経営のガバナンス不全が問題の根本」とし、自らの責任を認めて謝罪した。
勧告は26日付で、個人情報保護委が勧告を出すのは初めて。個人情報の取り扱い方法の改善に向け組織の見直しと再発防止策について9月30日までの報告を求めた。
26日に記者会見した同委の松本秀一参事官は「就職活動に関わる情報は学生の人生を左右しうるため取り扱う企業の責任は重い。同社は権利保護の認識が甘かった」と話した。
問題視されたのはリクルートキャリアが展開する「リクナビDMPフォロー」と呼ぶサービス。学生のリクナビ上での閲覧記録などを解析して「内定辞退率」を算出し、企業に提供していた。約8千人の利用者のデータを同意を得ずに第三者に提供したことなどが、個人情報保護法違反にあたると判断された。
個人情報保護委は、同意を得ずに顧客企業に個人情報を販売したことに加えて、委員会から7月に指摘を受けるまで状況を放置していた管理体制の不備を問題視した。8千人以外にもリクナビによる利用目的などの説明が不足していたとして「指導」の対象とした。
個人情報保護委は個人情報保護法を所管する独立機関で2016年1月に設置された。個人情報保護法に違反する不適切な事例を監視している。
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