@chablis777
シャブリ

---------------------------

----N----124-----------
----a-----------------------------
----t-----------------------
----u-Z-o-r-a--------------
-----------------------------------
-----------------------------------
---------------------------------------------------------------


(坂場)おかしいな…。
もう これ以上痛みの間隔が縮まらなくても病院に行った方がいいんじゃないか?
(なつ)どうしよう 陣痛じゃなかったら…。
とにかく病院に行こう。 な。
(ブザー)えっ? 誰だ こんな時に。
出て。いいよ…。早く出て!
あっ!(富士子)おはようございます。
母さん!あっ あの…。
なつ! どしたの?
母さん 助けて…!
(坂場)どうぞ…。
あっ 父さん… じいちゃんまで!
(泰樹)おう…。(剛男)なつ 大丈夫か?
何じゃ… 産まれそうなのか?
痛みは どう?
じいちゃん見たら…ますます母牛になった気分だわ。
あ?(鳴き声)
も~…。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
大丈夫 おなかが張ってるだけ。
赤ちゃんは 何ともないから体をよ~く温めて 楽にしてれば… どう?
うん… 何か痛くなくなってきたみたい。
多分 本当の陣痛じゃないんだわ。
私にも覚えがあるから。
陣痛の前に その兆しみたいに痛くなることがあるんだって。
体が お産に向けて準備してるんだわ。
そうなの?うん。
本当の陣痛は あんたこんなもんじゃないわ。
そうなんだ よかった…。
助かりました。
もう僕には 何が起きてるのか全く分からなくて…。
そりゃ しかたがないさ。男は こういう時 慌てるばかりだからな。
女でも経験してないことは慌てるばかりだわ。
お前は 何べんも子牛を産ませてるでねえか。
学校で習わんかったか?
勝農では陣痛の兆しまでは習わんかったわ。
牛にも そったらことがあんのかい?
うん? いや 知らん。
知らんのかい。ハハハ…。
おっ いいもん持ってきた。うん?
向こうを出る前に子牛を産んだ牛がいてなその初乳で作った。 ハハ… ほれ。牛乳豆腐じ

ゃ。うわ~!
牛乳豆腐?牧場でしか作れないもんだ。
滋養をつけるのは これが一番じゃ。
ありがとう じいちゃん…。
わざわざ それを届けに来てくれたのかいこったらとこまで。
子牛が生まれたからな ハハハ…。
どうしても 自分で持っていくって聞かないの。
そんなこと言ってねえべ。言ったしょや。
お前らだけで行くのかってさも不満そうに。
聞いただけだ。
もう80過ぎて汽車の長旅は疲れるだろうから飛行機にしますかって聞いたらそれだけは 絶

対に嫌だって。
飛行機怖いの?
ん? そんなことねえべ。
じいちゃん それでも会いたかったのよねなつに。
まあ これが最後になるかもしれんからな。
もう そったらこと言わんでよ。
でも じいちゃん…私も じいちゃんに会えて うれしい。
ありがとう。
こんな狭い部屋じゃね…。
心配するな。 父さんたちはどっか安い宿 探すから。したけど…。
あ… あの もし よかったらお義母さんだけでもここに泊まって頂けませんか?
そしたら なつも僕も安心しますから。
いいの?できたら そうして。 お願い 母さん。
分かった。ありがとう。
あっ ごはんを作ります。
なつも まだ何も食べてないので。
私も手伝うわ。(坂場)ああ…。
まあ 台所 きれいに使ってるんだね。ああ… いえ。
坂場さんが いつもごはん作ってくれてるの?
交代制でやってますけど僕の方が忙しくないので。
あっ そのノート。
いつも お世話になってます。本当かい?
適当な料理で驚いたしょ?はい。
うん?あ いえ…。
アッハハハハ…。
坂場君は 今でも家で仕事してるのか?
うん…。したら 子どもが生まれてもなつが働きに出て 坂場君がここで赤ん坊の世話をする

ってことかい?
うん… しばらくは。
しばらく?
1年後には イッキュウさんも仕事に出る予定なんだわ。
したら 子ども どうすんだ?
どこかに預けるしか…。
そういう保育園を探すしかないの。
1歳くらいになったら預かってくれる所もあるって聞くから。
(剛男)1歳の赤ん坊をかい…。
したけど… しかたないしょそったらこと言ったって…。
それも 覚悟して結婚したんだべ。
今更 弱音吐いてる場合でねえ。
うん… そうだね。 じいちゃん。
うん…。
ちょっと味を見て下さい。うん…。
あっ 私のより おいしいわ。
いやいや…お義母さんの味を作りたいんですよ。
なんも。坂場さんの味になればいいしょや。
はい…。
♪~
う~ん 懐かしい…。
イッキュウさんも食べてごらん。あ… はい。
♪~
うん… 豆腐というよりあっさりしたチーズですね。
それ 乳製品だからね 一応。
あっ そうだ!たんぽぽバターも持ってきたんだ!
本当?えっ 早く出さなきゃダメでしょや。
すぐ冷蔵庫入れないと。いや すまん。
牛乳豆腐で すっかり忘れてたわ。
ほら。わ~! ハハ…。
夕見子は今 農協じゃなくてこっちの工場に勤めてるんだよね?
うん。 そこで 牛乳も市場に出したいと思ってな夕見子は今 一生懸命紙のパックの開発

に乗り出してるさ。
ああ 牛乳の紙パックか…。
本格的に たんぽぽ牛乳に向けてやってるんだね。うん。
いつか こっちでも買えるようになればいいのに。
あっ しまってくる。ありがとう。
したけど 夕見子もこれからどうなるか…。
どしたの?
実はね… できたの 夕見子にも。ん?
赤ちゃんが生まれるの。うそ!
それが本当なんだ。うん。
つい最近 分かったばかりなんだわ。
なして すぐ教えてくれないの!
だから なつには東京行って知らせるべって。えっ…。
で いつ生まれるの?
今年の秋だって。なつが春で 夕見子が秋。
へえ~ したら 同い年でないの!そうだわ。
まるで あんたら2人と おんなじだわ。うれしいわ!
おめでとうございます。あっ ありがとう。
したら 雪次郎君も大喜びでしょ。
それが大変みたい。えっ 大変?
(とよ)あんたね 仕事仕事ってうちの跡取りに何かあったらどうすんの!
(夕見子)はあ?誰が 跡取りって決めたんですか?
私は 跡取りを産むつもりはありません!
産むつもりはなくても生まれてきたらそりゃ もう立派な跡取りなんだわ!男でも女でもね!
(雪次郎)ばあちゃん やめてくれや! 俺が仕事に行っていいって言ってるんだも。
(雪之助)雪次郎 これは もうお前だけで 決めていいことじゃねえべや。
(妙子)夕見子さん どうしても仕事を続けたいって言うなら私を殺してからにしてちょうだい!
そったら問題でもねえべ!いい覚悟だ。
継がせる気がないなら この店潰してから行けばいいべ!(雪次郎)勝手に潰すな!
はあ~?諦めれ 雪次郎。
これは もうな 男には止められんわ。
おやじ… おやじ!
嫌~!(雪次郎)おやじ!嫌~!
夕見 大丈夫?ハハ 大丈夫さ。
まあ そうだね。 みんな うれしいんだね。うん。
それだけじゃねえんだ。
照男にも できたんじゃ。えっ… 子どもが?
実は そうなんだ。まさか 照男兄ちゃんにもできたの!?
まさか!照男じゃなくて 砂良さんにだわ。
そんなことは分かってるよ 母さん。えっ? あ… そうね。
えっ 2人目?そうじゃ。 来年の1月に生まれる。
あ… したら冬かい? すご~い!
本当に 不思議なこともあるもね。
ちょっとした ベビーブームですね。
まあ 牛には よくあることじゃ。
いや 牛舎の話ではないですから。ハハハハ…。
じいちゃん 牧場はどう?
牧場は もう照男のもんじゃ。
菊介も砂良さんもおる。わしのやることは もうない。
じいちゃん…。
照男が立派に わしの夢を継いでくれた。
ハハハ…。
(ブザー)誰か来た。
今度は誰だろ。
は~い。
(咲太郎)よっ!(光子)こんにちは。あっ お義兄さん 光子さん。
あら。(坂場)あ… どうぞ。
あれれ これはまた 皆さん おそろいで!
咲太郎君 どうも。こちらこそ ご無沙汰してます。
北海道から出ていらしたんですか?今朝 着いたばかりで…。
あっ ご結婚おめでとうございます。
あ… また たくさんのジャガイモ送ってもらって ありがとうございます。
本当にすみません。本当においしいですね。
北海道のジャガイモは きっと世界一です。
牛乳も。あ… はい。 牛乳も。
(剛男)そんなことしか できなくて。何よりも うれしいですよ。
ちょっと あなたいつまで手に持って話してるの。
あっ そうだ なついろいろ買ってきたぞ ほら。
え~!(一同)おお~。
ベビーベッドも 明日届くからな。
お兄ちゃん 光子さん ありがとう!すみません。
まあ こんなことしかできないけどな 俺も。
まるで 咲太郎に孫でも生まれたみたいだな。
ヤキモチ焼かなくてもいいしょや。
なんも焼いてねえべや!
(笑い声)
まあ とりあえず…。ありがとうございます。
それじゃ 宿なんて言わずにうちに泊まって下さいよ。
部屋なら余ってますから。
あ… といっても俺の家じゃなくて 彼女の家ですけど。
どうぞ いらして下さい。いいんですか?
もちろんです。何日でも いて下さいよ。
お兄ちゃん ありがとう。
こうやって みんなお前のそばについてるんだ。
安心して産めよ なつ。
うん…。
♪~
ううっ… ああっ…。
なつ! なつ!
母さん 痛い…!
大丈夫 大丈夫… イッキュウさん!
ううっ…。イッキュウさん!
はい?陣痛が来たみたい。えっ!
ううっ… 痛い… この前と全然違う!
なつよ いよいよ生まれるのか?
私の孫が…。


via Twishort Web App

Made by @trknov