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【埼玉】

知事選 大野さん激戦制す 投票率32・31% 16年ぶり30%超え

花束を受け取り、笑顔を見せる大野元裕さん=さいたま市で

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 二十五日に投開票された知事選は、上田清司知事や野党四党が支援した元参院議員の大野元裕さん(55)が、自民と公明が推薦したスポーツライターの青島健太さん(61)との事実上の一騎打ちを制した。四期務めた上田知事の不出馬で十六年ぶりの新人同士の対決となり、「上田県政の継承か転換か」が大きな争点になったが、有権者は継承を選んだ形だ。「与野党対決」の構図では自公に打撃となった。過去三回連続で20%台だった投票率は32・31%で、十六年ぶりに30%を超えた。 (知事選取材班)

 激戦を制して初当選した大野さんは「上田県政の継承と発展」を訴え続けた。「応援団長」に就任した上田知事の全面的な支援を受け、立憲民主、国民民主、社民の各県組織も支持。独自候補の擁立を見送った共産も自主支援し、事実上の野党統一候補となった。

 一方で、地元の川口市では商工会議所の推薦を受けるなど自民支持層も取り込んだ。陣営は保守票を意識し、「無所属県民党」を掲げて政党色を控えた選挙戦を展開した。

 当初は厳しい戦いとみられたが、告示直前に元参院議員の行田邦子さん(53)が出馬を取りやめると状況は一変。非自民の主要候補が一本化されたことで一気に追い上げた。県内を駆け回るのではなく、主要駅前に終日立ち続ける戦法で集中的に知名度向上を狙った。出産後の女性の就業支援や災害・テロ対策、東京都内とのアクセス向上などの公約を訴えて支持を広げた。

 中東の研究者や参院議員を経験してきた「政策通」もアピールし、政治経験のない青島さんとの差別化を図った。選挙戦の中盤以降は立民の枝野幸男、国民の玉木雄一郎の両代表も繰り返し応援に入って政党支持票を固めていった。

 二十四日のJR川口駅前での最後の訴えでは、自民の推薦候補に挑む形での出馬を「ドン・キホーテが風車に突っ込む気持ちだった」と振り返り、「ここまで来られたのは奇跡」と述べた。政党や会派の枠を超えた支持を積み重ね、大逆転での勝利につなげた。

◆開票結果

当852,028 大野元裕 無 新<1>

 796,777 青島健太 無 新 

  57,034 浜田聡 N 新 

  37,014 武田信弘 無 新 

  29,405 桜井志津江 無 新 

  開票91%

◆「自民幹部、連日応援も実らず 青島さん

知事選候補者のポスターが張られた掲示場=さいたま市で

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 接戦に敗れた青島さんは、上田知事と対立してきた自民県連に擁立される形で出馬。政治経験はなかったが、元プロ野球選手で小学校から大学まで野球部主将を務めたリーダーシップを武器に「みんなが輝く埼玉をつくる」と掲げた。

 自公の組織力と高い知名度を生かした選挙戦を展開。16年ぶりの県政奪還を目指す自民も党を挙げて支援した。7月の参院選では自民候補に連日同行させて顔を売り、知事選では菅義偉官房長官ら閣僚や党幹部が連日のように応援に入った。

 街頭演説では、子育てや教育への支援、防災や交通インフラの整備、スポーツを生かした高齢者の健康づくりなどを主張。国とのパイプも強調し、自公の応援弁士も上田県政を「国との連携が弱く、県が停滞した」と批判して与党系の知事の必要性を訴え続けたが、及ばなかった。

 

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