厚生労働省のデータによれば、妊娠経験のある女性のうち、なんと40%が過去に流産した経験があるのだそう。すべての妊娠のうち約10%は自然流産してしまうといわれていますから、流産は女性にとって身近な出来事といえます。
そんな流産について、実は驚くべき研究結果が出ています。
それは「高層階に住んでいる妊婦ほど、流産率が高くなる」というもの。
6階以上で原因不明の流産が8割
研究がなされたのは今から約20年前。1994年に神奈川県内に居住する1200人の母親(第一子のみ出産)を対象として、居住環境や生活習慣などさまざまな項目ごとに流産を誘因する影響因子が調査されました。
その結果、見えてきたのが「流産率と居住階数」の興味深い関係。なんと、居住階が上がるにつれて流産率が上昇したのです。
具体的な数字を見ていくと、流産の割合は、一戸建て住宅で8.2%、集合住宅の1、2階で6.8%、3〜5階で5.6%、6〜9階18.8%、10階以上で38.9%と明らかに増えていきました。さらに詳しく調べていくと、「高層階に2年以上住んでいる」「身近な相談相手がいない」「外出する機会が少ない」といったファクターも、流産率を高めてしまうという結果が。
また「原因不明」の流産も6階以上では8割に達していて、明らかに低層階よりも多いことがわかったそうです。
妊婦は4階以上に住んではいけない国も
一方、海外では「高層階に住むと、流産率が上がる」という調査結果は行政に受け入れられていて、すでに妊婦が高層階に住むことを規制している国もあるほど。
現にイギリスやアメリカの一部の州では、4階以上の物件に子どものいる家庭が居住することを法的に制限しています。それには、乳幼児に心理的不安感を与えるからという理由もあるようですが。
もちろん、流産は生活環境によって引き起こされるものばかりでなく、遺伝的要因による習慣流産などもありますから、一概に「高層階に住んだら、流産する」とは言えませんが、これから妊娠を考えている女性にとっては、ちょっと気になる研究結果と言えそうですね。
【出典】
平成6年度厚生省心身障害研究 生活環境が子どもの健康や心身の発達におよぼす影響に関する研究「居住環境の妊婦に及ぼす健康影響について」
(編集部)