アルベドさん大勝利ぃ!   作:神谷涼

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 クレマンティーヌ×モモンガの、キマシタワー展開が見れるのはたぶん、ここだけ!



18:エロゲー・イズ・マイライフ!

「――って感じで、こんな風に歪んじゃったんだー」

 

 自嘲的に笑って、クレマンティーヌはモモンガの頬をふにふにと軽くつまむ。

 

「…………」

 

 モモンガとしては、家族にひどい扱いを受けた経験というものがない。

 それなりにエリートらしい彼女の境遇と、周囲の扱いは、どうにもよくわからなかった。

 どういえばいいかわからない、そんな空気を相手も感じたのだろう。

 

「モモンガちゃんは、アルベド様に大事にされてていいよねー」

 

「え……そそそそ、そうかっ?」

 

 少し妬ましげに、そう言われると。

 モモンガは飛び上がらんばかりに、喜ぶ。

 

「そうだよー。私なんて大事にされなかったせいで歪みきちゃったからねー。拷問大好き、殺すの大好きになっちゃったもーん。アルベド様が、モモンガちゃんに痛いことしちゃダメーってさんざん言ってなかったら…………」

 

 ぎろりと、威圧し。

 

「モモンガちゃんも、ズタズタにしちゃってたかもねーーー?」

 

 上からのしかかって、下劣で邪悪な笑みを見せるが。

 

「ひゃわっ! クレマンティーヌ様……」

 

 悲鳴をあげはしても。

 怯えるというより、期待するような目で見られる。

 

「こーの淫乱っ! なーに期待してるわけー?」

 

 調子が狂ったまま、合わせてしまう。

 なんだかんだと、だらだら甘い時間を過ごしてしまっていた。

 この閉ざされた部屋では、時間もわからない。

 クレマンティーヌの体は指輪によって、寝食不要疲労無効になっている。汗や汁にまみれれば、風呂に入って。気疲れすれば会話して……また、交わる。

 おかげで、二人とも互いの心身をかなり隅々まで知るのだった。

 

 

 

「もう三日でありんすよ? そろそろ、私も混ざっても……」

 

 初日以来、一時間に一度はぼやくシャルティアを、既にアルベドは無視していた。

 モモンガが自らアルベドを呼ばない限り、なるべく放置しておくことにしたのだ。

 

(そうすれば私も仕事ができるし……モモンガ様も、他の相手で満足できるでしょう)

 

「あんな泥棒猫にペットの座を奪われるなんて屈辱っす!」

 

 もっとも、ルプスレギナもシャルティアと共に不満を募らせている。

 

「私たちはメイドでしょうに……」

 

 ソリュシャンが毎回、溜息混じりに訂正するが。

 

「でも、私だってモモンガ様とあんな風にいちゃいちゃしたいっす!」

 

「それはそうだけど……」

 

 二人としても、側仕えの任に早く戻りたかった。

 

「それにしても、やっぱモモンガ様の体は魔性っすねー! この人間もどんどん上手くなってるっすよ!」

 

「あら……本当ね。動きっていうか……いろいろ別人みたい」

 

 その言葉に、アルベドがぴくりと反応した。

 机を離れ、鏡に映る室内を見る。

 

「これは……」

 

 戦士職を極めたアルベドの目にも、クレマンティーヌの動きは明らかに変わっていた。

 

 

 

「はぁ……はぁ……♡ モモンガちゃんの体って、ホーント全然あきないねー♡」

 

「んっ♡ クレマンティーヌ様も、どんどん上手になってきてる……♡」

 

 ベッドでして、お風呂でして、床でもして、べたついたベッドでまたして。

 休息の間も身を寄せ合い、頬ずりし、キスをし、髪を撫で。

 二人はずっと、肌を触れ合わせ続けていた。

 

「フツー、女淫魔(サキュバス)としたら、ドレインされて死んじゃうんじゃないのー? それもちょっと、覚悟してたんだけどなー。どっちかというと調子よくなってきてる気がするんだよねー。モモンガちゃんってば、ひょっとして何かしてるー?」

 

「え? 何もしてないけど……?」

 

 きょとんと首をかしげるモモンガを、クレマンティーヌは愛らしいと思う。

 むっちりとした肢体は明らかに年上の……母性すら感じさせるのに。

 眺めていると、いつものような殺意や苛立ちではない、奇妙な愛情を抱いてしまうのだ。

 

(魅了されちゃってるのかなー。何もされないから、別にいいけど……)

 

「そっかー……まあ、どっちでもいいんだけど」

 

「あっ♡」

 

 小休止は終わり。

 また抱き寄せて……という時。

 ノックをせずに、扉が開いた。

 

「え?」

 

「チッ!!」

 

 反応は、クレマンティーヌの方が速い。

 モモンガの前に立ちはだかり。

 突き立てられるナイフを、枕を盾に受け止める。

 襲撃者はナイフを手放し、瞬時に距離を取った。

 

「へぇ……確かにこれは……」

 

 襲撃者が興味深そうに、反応したクレマンティーヌを見る。

 

「どういうことだ……?」

 

 モモンガが、シーツで裸身を隠しつつ襲撃者を睨んだ。

 クレマンティーヌは即座に、枕に刺さったナイフを手に取り、構えている。

 こちらは裸体のままだが、機能美に満ちた肉体は研ぎ澄まされ。

 今までの、快楽に溺れた時間を感じさせない。

 

「お叱りは後でお受けします、モモンガ様。少々、興味深い事例を見つけましたので」

 

 煽情的な衣装のメイド――ソリュシャンが、淡々と答え。

 別のナイフを取り出し、構えた。

 かつてのクレマンティーヌなら飛び出し、交戦しただろうが。

 今は状況を知るべく警戒し、留まる。

 

「……模擬戦ということで、軽くいかがです?」

 

 ソリュシャンが冷たく笑い、挑発するが。

 クレマンティーヌは無視。

 

「聞いていたより慎重ですね。最初の防御が、まぐれか否か、しっかり吟味させていただきたかったのですが――」

 

 言いつつ、床をすべるようにメイドが迫る。

 しかし、対するクレマンティーヌに動揺は見られない。

 

「――〈超回避〉〈即応反射〉」

 

 体をひねり、切っ先をかわしつつ。

 体勢を戻す武技によって、己のナイフをメイドの喉に付きつける。

 

「お見事」

 

 追い詰められても、ソリュシャンは余裕ある笑みのまま。

 

「……満足したー? メイドちゃん」

 

 クレマンティーヌはつまらなさそうに言い、突き付けたナイフを離す。

 

 開かれた扉の向こう。

 廊下から、軽く拍手の音がした。

 

「アルベド!」

 

 現れた女性に、モモンガが嬉しそうな声をあげる。

 

(……なんだよ。守ってやったのに。先に私に礼くらい言えってーの)

 

 一方、クレマンティーヌは。

 アルベドへの恐怖より先に、なぜかモモンガへの苛立ちを感じていた。

 

 

 

 ソリュシャン、ルプスレギナにより、クレマンティーヌは連れて行かれた。

 モモンガは、丁重に扱うよう言ったが。

 二人は苦々しい顔をして見せ、クレマンティーヌは心細そうな顔を見せた。

 

(無理を言ってでも、部屋にいさせるべきだったかな……)

 

 少しだけ心配するが。

 目の前にアルベドがいる以上、モモンガの頭の中はすぐに情念で塗りつぶされる。

 

「やっと仕事が終わったのか、アルベド……様。こ、今度から仕事が溜まったらきちんと言ってくれ。伴侶として、お前が仕事の間を待つくらいはするし……少しは手伝うからっ」

 

「ありがとう……モモンガ」

 

 “様”と呼ばれて、目を見開くアルベドだが。

 下を向いて、その驚愕を主に見せまいとする。

 そして、シャルティアを連れて来なくてよかったと、安堵した。

 

「それで……その、私も汚れたままだし、よかったらいっしょにお風呂……」

 

 おずおずと、艶めいた顔で誘ってくる主に、アルベドとて応じたいが。

 

「その前に。モモンガ様、守護者統括として報告があります」

 

「あ、ああ……仕事のことか。地上で何かあったのか?」

 

 “モモンガ様”と呼ばれ、露骨に気を落とす。

 できれば、おおっぴらにアルベドの奴隷になりたいのだ(アルベドにそんな気はないが)、

 

「いえ、現状ではおよそ問題なく。いくつか気になる情報はありますが、詳細を調べて吟味の上で、モモンガ様に報告させていただきます」

 

「では、内部か? 維持コストに問題でも出ているのか?」

 

「いえ。まだユグドラシル金貨への換金率に優れた品は見当たりませんが……幾百年の余裕がある以上、慌てる状況ではないと考えております」

 

 アルベドは冷静に、すらすらと答える。

 

「では、他に何の問題があるのだ?」

 

 少し拗ねたような顔になる。

 モモンガとしては、早くアルベドにかわいがって欲しいのだ。

 

「モモンガ様と、あの人間の女です。今しがた、ソリュシャンに行わせたテストで、重要な問題が判明しました」

 

 沈痛な面持ちであった。

 

「どういうことだ」

 

 その真剣な様子に、モモンガも真面目な顔になる。

 

(クレマンティーヌ様に、変なバッドステータスでも与えていたのか? それで私とするのは問題あるからしばらく……エッチなのナシとかそういう!?)

 

 頭の中はまったく真面目ではなかったが。

 

「……モモンガ様と交わって、あの女は相当のレベルアップをしております。来た折は、30レベル前後でしたが……今の彼女は最低でも40レベル以上はあるかと」

 

 種族特性を使わぬソリュシャンと十分に渡り合ったなら、そういうことなのだ。

 かつてのクレマンティーヌなら、反応すらできなかったはずなのだから。

 

「え? なんで?」

 

 予想外の言葉に、モモンガは呆然と問い返す。 

 

「申し上げにくいのですが……御身を性的に屈させるごと、一定の経験値が得られるのではないかと……」

 

「はぁぁぁぁ!?」

 

 モモンガの頭の中で、いつか見たバードマンが飛び回った。

 




 トラップカード発動! 『エロゲーの法則』!
 多くのファンタジーエロ主人公が経験値稼ぎする方法で経験値稼がれてしまう系ボス(長い)だったモモンガさん。そう、モモンガさんの転移後人生こそ実はエロゲーだったのだ……(主人公側とは言ってない)。

 さすがに倒した扱いにはならず、一部経験点のみ。
 クレマンティーヌは100レベルに至ってませんが、かなり強化。
 ただ、方法が方法なのでエロ系クラスを獲得し、レベルアップさせてるだけです。
 戦士としては、ほぼ基本能力値底上げのみ。

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