松本が勝った。5月26日名古屋戦(豊田ス)以来、実に3カ月、11戦ぶりの勝ちどきを上げた。敵地の埼スタで歓喜の輪が咲く。反町監督は「かなり苦しい思いをしてきたが、(練習の成果が)少しずつ実となって現れたのはうれしい」と静かに喜びをかみ締めた。
前半19分、浦和にあっけなく先制されながら、「後半20分までは我慢しよう」(同監督)と“死んだふり”だった。粘って耐え、狙い通り、後半20分に町田、同37分に宮阪を投入した。一気にギアを入れ、攻勢に打って出る作戦が見事に奏功した。
同30分、元浦和の29歳FW阪野のヘッドで追いついた。苦労人が挙げたJ1初得点。「浦和は育ててもらったクラブ、悔しい思いをしたクラブ。いい相手に決められた」。チームが勢いづくと、後半38分にはDF高橋が右ボレーをゴール右上に突き刺した。今季24戦目で、初の逆転勝利だった。
残留争いへ、松本にとっては貴重な一歩。殊勲の阪野は「来年もJ1で戦えなければ意味はない。この勝ちで、流れも雰囲気も変わると思う」と笑みが絶えなかった。(松岡祐司)