【サッカー】鳥栖・Fトーレス、現役生活に終止符 J1神戸戦で最後の勇姿2019年8月24日 紙面から
◇J1第24節 神戸6-1鳥栖元スペイン代表FWフェルナンドトーレス(35)の現役引退試合だった鳥栖-神戸戦は鳥栖が1-6で大敗、花道を飾れなかった。鹿島は2-2でG大阪と引き分けた。鹿島は1-1の後半13分にFW伊藤翔(31)のゴールで勝ち越したが、同28分、G大阪のFWパトリック(31)にPKを決められ、試合を振りだしに戻された。勝てば、首位・FC東京に勝ち点1差と肉薄できるところだったが、かなわなかった。浦和は1-2で松本に逆転負けした。 現役最後のピッチを一歩一歩踏みしめた。フェルナンドトーレスはスタジアムに響き渡るチャント(応援歌)に耳を澄ましながら、ホーム・駅スタ史上2番目、今季最多の2万3055人の観衆に手を振った。「好きなことで仕事ができて恵まれた人生だと思っている」。チームメートの手で背番号と同じ9度宙に舞い、吹っ切れたような笑顔を見せた。 1-6の惨敗だったラストゲーム。スペイン代表で2010年W杯初優勝をともに経験した盟友イニエスタ、ビジャと、これまでの思いを伝えるように抱き合った。「GRACIAS TORRES(スペイン語で『ありがとう。トーレス』)」の人文字に迎えられた引退セレモニー。あいさつの最後に日本語で「アリガトウゴザイマス」と感謝の気持ちを伝えた。 昨年7月に来日し、鳥栖で約1年1カ月プレー。けがもあってリーグ戦2シーズンで5得点と不本意な成績だった。「自分のベストのレベルに到達できていないという疑問点があった」と6月に引退を発表。発表後も最後まで勝利への執念を伝えた。この日も後半に2度決定機を外したものの、劣勢で懸命に好機を探り、リーグ戦16試合ぶりのフル出場だ。 チーム最年長の35歳は若手に積極的に声を掛けてきた。ラストゲームでともに先発した18歳の松岡には「びびらず楽しくサッカーをやろう」「ミスの数だけ成長できる」と助言した。 その松岡は「優しく話し掛けてくれた。チャレンジできるようになった」と世界的ストライカーに感謝。フェルナンドトーレスは今後鳥栖のアドバイザーとして下部組織などの育成などに携わる。子どもたちに「何よりも重要なのは夢を持つこと。困難な(もの)ほどいい」とメッセージを送った。 引退セレモニーでは「いつの日かこの街にチャンピオンのクラブを持つことができるように働きかけていく」と誓った。18年間のプロ生活を九州、佐賀の鳥栖で終えたフェルナンドトーレスは、愛する地のために汗をかき続ける。 (広田亜貴子)
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