漫画や小説が企画段階でボツになったときの話をまとめました。
1年くらい修正させられた挙句、途中で没になると1円ももらえない話
●編集部から提示されたネタで1年くらい修正させられた挙句、途中で没になると1円ももらえない商業漫画は狂気以上の何かだ…。(Togetter)
一年くらい何だかんだとネーム修正させられた挙句「作風が雑誌にあってない」という理由でボツになり一円も貰えない商業漫画は狂気以上の何かだ……。(しかも編集側から提示されたネタで!)
— 仏さんじょ@一日目A02b (@imusanjyo) 2017年6月28日
単行本を25冊出している仏さんじょ(いむさんじょ)さんのツイートをまとめたもので、内容はタイトルそのまんまです。
まとめの作成報告をして、作者さんからFavを頂いたるので了解の意と捉えています。
こういう話をまとめるのは、現状を知っておきたい・ログを残したい・議論を深めたいからなのですが、それで作家さんに迷惑かけたらシャレになりません。
わかつき先生が東京で担当編集に会ったとき、嫌味を言われたらしいし。嫌味だけなら人なので仕方ない話だし、内容的に炎上はしないと思うけど。
●東京に行ってきました。(わかつきひかるのブログ)
まとめを読んだ漫画家さんのコメント
RTなどで見かけたものをいくつか。
氷川へきるさん
『ぱにぽに』などが代表作の漫画家・氷川へきるさん。
僕も仏さんと同じパターンだ!w>RT この前100P近く3話分書いて没でした。作業時間もチェックに待たされた長い時間もですが何より自分には向いてない編集側から提示されたネタなのに目標にそぐわない内容だと捨て台詞まで吐かれたので残念ながらそこで手を引くことになりました。
— 氷川へきる/ぱにぽにだっしゅ!BDBOX (@hekky3) 2017年6月30日
新しいネームを作って旧ネームで懸念していた部分と新しい切り口を作れたけど、そうすることで最初に描いたネームの最初に描きたいと思ったテーマ性が浮き彫りになったのでやっぱり今提出しているネームで行きましょうという全く時間の無駄だった確認作業。でもこの苦労だけでも担当に伝えたいw
— 氷川へきる/ぱにぽにだっしゅ!BDBOX (@hekky3) 2017年6月30日
仏さんじょさんの件もですが、実績/キャリアがある漫画家を選び、自分が提示したネタで作家にネーム切らせていながら「作風が雑誌にあってない」「目標にそぐわない」て結論になるのはよくわからないなあ。編集者は何がしたいんだろう…?
(新人作家さんの場合は技術的な側面もあるので、また違うと思うんですが)
田中圭一さん
最近は『うつヌケ』がヒットし、『ペンと箸』も好評な田中圭一さん。
ネットで情報交換ができなかった時代にこんな発言したら一発で干されましたよね。人気作家でもない限り。
ネームが途中で没になると1円ももらえない商業漫画は狂気以上の何かだ…。 – Togetterまとめ https://t.co/ToNAoMPEiK @togetter_jpさんから— はぁとふる売国奴(田中圭一)日東ほ03a (@keiichisennsei) 2017年6月30日
「一発で干されましたよ」…で、ですよねー。現在がそうでないなら良いのですが…。
カヤマトシアキさん
イラストレーターの立場から。
漫画業界の内情はわからないけど「ネームボツでただ働き」は何度か聞いたこ事有ります
ネームが途中で没になると1円ももらえない商業漫画は狂気以上の何かだ…。 – Togetterまとめ https://t.co/GlZ00a8RoV @togetter_jpさんから
— タカヤマトシアキ@くそぶたダイエッター (@tata_takayama) 2017年6月30日
コンテンツを1から作る仕事と、コンテンツが出来てから(もう出来上がることが確定している)仕事とはまあ違うのかもしれませんが、いづれただ働きになっちゃうのは非常につらいですよね~
— タカヤマトシアキ@くそぶたダイエッター (@tata_takayama) 2017年6月30日
散々作りこんで思い入れもあるボツ漫画企画は他所の編集部に持ち込んじゃいけないのかしら?
— タカヤマトシアキ@くそぶたダイエッター (@tata_takayama) 2017年6月30日
わかつきひかる先生は他に応募することを勧めていたような…(小説家です。ご本人もそうやってデビューしたみたい)。
編集者に預けたままにしないことも大切みたいです。預かったまま2年経ったりするらしいじょ…。
単行本化前提で原稿を書き直してもボツになることもある
まとめにも加えましたが、「小説家になろう」で人気だったジェームズ・リッチマンさんの体験談。
●書籍化の打診→一度ならぬ全面改稿・分量半減を含む度々の直し→50日放置→企画立ち消え、という悲劇とその後
「こちらで書籍化させてください!」って言われて、仮契約交わして、全体改稿して何度も手直しして、イラストレーター誰にするか話し合って、二巻目以降の話があったりしても「やっぱ無理」と言われることもあるので、なろう作家さんは本が店に並ぶまでは「書籍化しました」と言わないほうが良いです。
— ジェームズ・リッチマン (@Jms_richman) 2016年11月12日
「その後」の部分が微妙で。
作者さんのツイートを、なろう系情報まとめサイトがアップ。その際、レーベル名を匂わせたんですね。明言はしてませんが。
私が記事を読んだ感想で言えば、主婦の友社のヒーロー文庫だと示唆しているように感じました(個人の感想です)。
その記事を読んだ編集者から慌てて連絡が入った、みたいな。その後も色々交渉があったみたいです。
放置についてはわからない部分もありますが、1ヶ月連絡がない事自体は普通にあるようです…。それもどうかと思うけど…。
●1ヶ月連絡なしは出版業界では普通!? ラノベ作家の間ではよくあることらしい(まとレーベル)
その後も執筆活動は続けているようなので、その点は良かったです。
ボツになった原稿をネット公開して成功した例もある
『機械人形ナナミちゃん』は、1年間で600ページ描いたのにボツとなり、ネットで公開して注目を集めました。
複数の出版社からオファーがあり、現在は3巻まで単行本が出ています。
作者の木星在住さんは同人作家、アダルト系作家として漫画を描いていたようですが、当時は「新人漫画家」扱いでも良いように思います。
1巻のアマゾンレビューを軽く読みましたが「ボツになったのも納得」といった評価も多いです。
1話は悪くなかったと思うんだけど(私は話題になった時に1話だけ読んだ)、展開が急すぎて読者がついていけない、て意見が多い。
レビューでおまけ漫画への不快感を書く方が多いので読んでみましたが…。
●特別編「単行本紹介!!の巻」
専属契約じゃないと原稿料が出ないものなのか…。なるほどなあ。
これは引く人は引くだろうな…。特にこの漫画の読者層(高校生~20代の男性?)を考えると、戦略としてよくないと思う。作品が好きでも、作者が嫌いになったら本は買わないと思うよ…。
まとめ
いずれの件も、下請法の対象にはなると思うし、裁判をすれば勝てると思います。
でもそんなことは作家さんもわかっている話だとも思う。
出版社からの依頼が来なくても良いか、他の仕事に影響が出ないか。それを考えると対応が難しいですね…。
原稿料や印税以外の報酬を制度化する必要があるかもしれませんが、実現できそうか?はまた別の話ですしね。
それでは~
***
2018年1月追記:
Twitterでバズったマンガの描きおろし単行本で、似たようなことが起きたようです…。
●コミックエッセイの書籍化ブームに乗っかってド素人がワンチャン狙ったら、出版界の闇に呑まれた話
ようやく気持ちの整理がついたので。「コミックエッセイの書籍化ブームに乗っかってド素人がワンチャン狙ったら、出版界の闇にのまれて灰になった」という身も蓋もない話をぶっちゃけてみました。 #超初心者弁 https://t.co/U083p1md6M pic.twitter.com/R7shgxQv4n
— 小雪(かわどう こゆき)2/28お弁当マンガ発売 (@lgm_) 2018年1月17日
私の場合だと、育児漫画界隈で聞くのが「単行本にしませんか?と連絡が来たけど企画が通らなかった」とか「途中まで進めてたけどダメになった」といった話です。
仏さんじょさんの話みたく、料金の支払いもありませんので、仕事として受ける場合は心してかかりましょう…。