【芸能・社会】「傷だらけの天使」のショーケンを感じた ラジオ特番で吉沢悠2019年8月24日 紙面から
俳優吉沢悠(40)がナレーションを務めた文化放送の萩原健一さん追悼特別番組「傷だらけの天使ラジオ~天使のビルに集う人たち」(27日午後7時)のオンエア前に吉沢が取材に応じ、共演経験のある萩原さんとのエピソードなどをしみじみと語った。 「天使のビル」とは、萩原さんが主演したテレビドラマ「傷だらけの天使」(日本テレビ系、1974~75年放映)のロケが行われた東京・JR代々木駅前の“エンジェルビル”で知られる「代々木会館」のこと。番組では、現在解体作業が始まっているビルを訪ねた、当時ドラマを見た往年のファンや再放送、DVDで萩原さんの魅力にひかれた人たちのインタビューとドラマに絡む当時の音楽を通じて萩原さんが残したものを“再発見”する内容だ。 吉沢は「インタビューを受けた人たちが『あんなアンチヒーローはもう出てこない』『夢を見させてもらった』と話すように、番組では自分も萩原さんを思い起こす良い時間が過ごせた」と話す。 16年のNHKドラマ「鴨川食堂」ですし職人の後輩役で共演した。吉沢は「傷天」のドラマで権力を嫌い、弱者に寄り添う萩原さんのオサムの役柄でこんなエピソードを思い出した。 「20代のころ、新宿でホームレスの人が倒れ、誰も助けずに通り過ぎていく光景に出合った。自分は足を止めたものの何もできず、そのうちホストらしき若者が介抱し、119番し始めた。オサムならすぐに動いたはず。動けなかったのが恥ずかしい」。ファンがオサムに共鳴するのはそんな「カッコ悪いけど、そこがカッコいい」生き方かもしれない、という。 しかし、萩原さんと初対面の前には「会う前は怖い人で、殴られるんじゃないか。まずはあいさつをしっかりしなくては」と不安だった。「俳優仲間となれ合いで飲みに行ったりするのが好きじゃない、と聞いていたし、女優の後ろでニコニコしていたと思ったら、現場に入ると目が変わる。体調も万全ではなかったと思うが、『この人に向き合いたい』と思う一方で、現場のヒリヒリした感じは忘れられない」と明かした。 「どんな感じで芝居されるのですか」と尋ねたことがある。返ってきたのは「シーンによってジャズ、ロックとテンポを使い分けるんだ。テンポが悪いのはダメ。ミュージシャンのときは逆に演じるんだ」との言葉に感銘したそうだ。 番組では、幻に終わったが、「傷天」の続編構想に触れられる部分がある。もし、「傷天」出演のオファーがあったら…。「オサムやってみたいが、それとも(水谷豊が演じた)アキラかな」。(三橋正明)
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