セガサミーホールディングス取締役会に対する質問状と回答書
株主共同提案議案への合意嘆願に対し、大株主が拒否の姿勢を示した事を受け、2006年3月1日、同書面を元とした質問状を作成し、セガサミーホールディングス取締役会へと送付した。
以下が、その質問状の概要である。
1.質問の全体趣旨
現在、セガのアーケード、及び、コンシューマゲームは、コアユーザの間では「SSQ(それが・セガ・クオリティ)」と呼ばれて卑下されるほどにまでにゲームの質、及び、ユーザ/カスタマサポートの質が低下しております。
また、2005年4月15日には、東京ジョイポリスにおいて30歳の男性がアトラクション「ビバ!スカイダイビング」より転落して死亡すると言う事故も起き、セガのユーザ軽視の姿勢は一般ユーザに対しても知れる事となりました。
これらは、セガサミーホールディングスとしての会社のイメージを著しく損ないかねない状況であり、実際に、コアユーザのみではなく、一般ユーザからの信用も低下しつつあります。
そこで株主として、会社のユーザからの信用を回復すべく、セガブランドのプロダクトの質の向上、及び、ユーザ/カスタマサポートの質量共の向上を求めるべく質問を行い、ご回答内容によっては株主共同提案議案を提出したく思います。
なお、勝手ながら、ご回答は2006年3月末日までに必着で戴きたくお願い申し上げます。
2.ユーザの信用低下を招いた具体的要因例
(中略)
3.提案議案概案
(中略)
4.質問
a.業務の方向性についての質問
ここのところ、アーケード/コンシューマゲーム関連の利益は伸び悩み、ムシキング、ラブ&ベリー等といったプロダクトによって利益を上げており、また、テーマパークの開発等を手がけようとしているが、今後、この方向性を維持し、従来のユーザ、及び、アーケード/コンシューマゲーム関連業務は徐々に切り捨てていこうとしているのか? また、もし切り捨てる方向ではない場合は、従来からのユーザのセガのプロダクト/サポートに対する不満を汲み取り、解決する方法として、どういった手段を考えているか?
b.プロダクト/サポートにおける会社の体質についての質問
プロダクト/サポートにおいて、不具合を隠蔽し、あるいはユーザ側に責任転嫁するような行為が数多く見受けられる。このような体質は、短期的には保身には繋がるかもしれないが、長期的に見れば著しく会社の信用を損なうものであると思われるが、このような体質の改善、及び、そのための資金投入を考えているのか? また、考えているのならば、その具体的な方法としてどういった手段を考えているのか?
以上、回答をよろしくお願い致します。
資料1.ドリームキャスト版「ファンタシースターオンライン」関連サーバ等における、主な障害発生経過
(中略)
資料2.実際のユーザとセガカスタマサポートとのメールのやり取り(一部)
(後略)
これに対し、セガサミーホールディングスは、同3月30日に速達でその回答を送付した(同27日が株主権利確定日のため、このスケジュールでの回答になったと思われる)。
以下が、その回答書の全文である。
回答書
拝啓 時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。日頃より格別のご高配を賜りまことにありがとうございます。
貴殿よりご送付頂きました「セガサミーホールディングス取締役会に対する質問状」についてご回答申し上げます。
貴殿より頂戴している当社グループ会社である株式会社セガのカスタマーサポート部門での対応体質改善に関するご提案につきましては、貴重なご意見として承り、今後ともユーザー様にご満足の行く対応ができるよう鋭意努力してまいる所存です。
また、同様に貴殿より頂戴している事業や経営方針に関するご質問につきましては、個別に回答できる内容ではございません。
事業や経営方針に関する事項につきましては、必要に応じて公表してまいりますので、●●様におかれましてご確認頂き、ご承知いただきますようお願い申し上げます。
敬具
結局のところ、おざなりな回答書であり、実際の質問には何一つ答えている物ではなかった。また、文章の端々には見下した表現が見られ、いかにも「相手にしない感」が漂っている。
また実際には、事業や経営方針に関する事項についてもマメな公表は行われる事も無く、特に、不祥事に関する隠匿体質は何一つ変わっていない。
しかしながら、建前とは言え、会社として「貴重なご意見として承り、今後ともユーザー様にご満足の行く対応ができるよう鋭意努力してまいる所存です」という台詞を返してきたという点において、少なくとも、セガサミー側が指摘された点を認識したという客観的事実は明らかになった。
回答書の内容としては希薄ではあるが、少なくとも、ユーザ側がセガのカスタマーサポートの体質改善を要求している事を、セガサミー側が公式に認識しているという事実が残ったという点は重要である。