米「韓国に懸念と失望」 軍事協定破棄巡り異例の表明

2019/8/23 14:59

米ポンペオ国務長官=20日、ニューヨークの国連本部(ゲッティ=共同)

米ポンペオ国務長官=20日、ニューヨークの国連本部(ゲッティ=共同)

韓国が日韓で防衛秘密を共有する日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄すると22日決めたことに、波紋が広がっている。ポンペオ米国務長官は「失望した」と異例の表明をし、日韓が対立を早期に解消するよう求めた。韓国内の反応は割れている。与党や政権を支持する革新系メディアは賛成する一方、野党や保守系メディアは安全保障の危機を憂慮する。韓国は協定破棄を23日午後に日本側に通告する予定だ。 

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【ワシントン=永沢毅】ポンペオ米国務長官は22日、訪問先のカナダでの記者会見で韓国がGSOMIAの破棄を決めたことについて「失望した」と表明した。米政府高官が同盟国に失望を表明するのは極めて異例だ。

ポンペオ氏は22日朝に韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相と電話協議したことも明かした。「日韓の共通利益が米国にとって重要なのは疑いがない」と強調し、対北朝鮮だけでなく「世界中の課題に対処するのに日韓両国との連携が重要だ」と訴えた。日韓が対立を早期に解消し、正常な関係に戻るよう重ねて期待を示した。

米国防総省も声明を出し、韓国の決定に「強い懸念と失望」を示した。「日韓関係で他の領域で摩擦があったとしても、私たちの相互防衛と安全保障の連携の一体性は続かなければいけないと強く信じている」と力説した。そのうえで今後も「可能な分野で日韓との2国間、3カ国の防衛協力を追求し続ける」との方針を示した。

これに関連し、米政府高官はフランスの主要7カ国首脳会議(G7サミット)にあわせて予定される日米首脳会談でこの問題が議題になる可能性について「経済、安保を含む幅広い事柄を議論するだろう」と述べるにとどめた。

【ソウル=恩地洋介】韓国外務省関係者は23日、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を同日午後に日本側に通告する予定だと明らかにした。ソウルの在韓日本大使館の関係者を外務省庁舎に呼び、公文書を手渡すとみられる。同協定の破棄を相手国に通告する期限は24日午前0時。通告した場合、協定は11月22日に失効する。

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