【高校野球】星稜・林監督「よく戦った」 サイン盗み騒動で2カ月指導禁止、高校野球の素晴らしさ再認識2019年8月22日 21時22分 ◇22日決勝 星稜3-5履正社
日本一まで、あと一歩。だが、その一歩が遠かった。9回1死一、二塁。一発が出れば逆転サヨナラ優勝の場面で、星稜の知田が二ゴロ併殺に倒れた。「13安打したが、つながりを欠いた。ただ、最後までチャンスをつくって、よく戦ってくれた」。悲願の初優勝はならなかったが、林和成監督(44)は誇らしげに選手をたたえた。 2回に岡田の適時二塁打で先制。3回に奥川が3ランを浴びて逆転されても、7回に意地を見せた。1死二塁から主将・山瀬の左中間への適時二塁打で1点差に迫ると、2死一、二塁で知田が右前へ同点打。黄色く染まった三塁側アルプスが大きく揺れた。 だが、その押せ押せムードで勝ち越せなかったことが響いた。「選手は責められない。うーん、何でしょう…」。敗因を問われた林監督は、答えに窮した。 今春センバツの習志野戦でサイン盗み疑惑を指摘した一連の騒動で、林監督は学校から2カ月間の指導禁止を言い渡された。「初めて2カ月間も離れて、高校野球の素晴らしさを改めて感じた。生徒に会いたい、という思いだった」。その間、チームは春の県大会と北信越大会で優勝。整理整頓、環境整備など足元から見つめ直し、図らずも、チームは自立した集団に成長した。 林監督自身は、介護施設でのボランティアなどで自身を見つめ直した。「これまでで一番の重圧だった」と振り返る石川大会を勝ち抜き、たどり着いた甲子園。箕島との延長18回の死闘も、松井秀喜さんへの5打席連続敬遠も、伝説となった名勝負で全て敗者に回ってきたチームが、今大会は3回戦で智弁和歌山との延長14回の熱闘を制した。初優勝こそ逃したが、ファンの心を打つ、24年ぶりの準優勝になった。 林監督は「全国の頂点は簡単ではないと思った。また、この舞台に立てるように頑張っていきたい」と前を向いた。知田と今大会2本塁打の内山は2年生。2試合に先発した荻原や大型右腕の寺西も残る。来年こそ、の思いを胸に、金沢で再出発する。(麻生和男)
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