どんな業種でもそうだが怪談ビジネス界にも裏方的な存在がいる。例えば稲川淳二だって自分でネットや古い雑誌から心霊話を調べてストーリー構想しているはずもなく、そうした作業に特化した人間を周りに配置しているし、それに今後の流行の助言からイベントや番組を立案企画する人間はちゃんと別にいるのである。

 例えば北野誠の「お前ら行くな」シリーズには中山一郎と西浦和也という超やり手の怪奇コレクターがいて、この二人の徹底した取材とそれに裏打ちされた心霊奇譚には全く脱帽してしまうのだが、さてここ２～３年の間にポスト中山・西浦和として登場してきた人物がこれから紹介する住倉カオスである。

 この男もともとはカメラマンらしいが雑誌記者として風俗からラーメン屋まで取材してきたらしく、ただ２０年近く前に心霊探偵小池壮彦と秩父の心霊スポット探しをしていたことがきっかけで怪談ビジネスにも関係するようになり、ホラー系DVDを制作したりニコニコ生放送のホラーチャンネルを立ち上げていたらしい。

 そして数年前にユーチューブで「百万人の怖い話」というサイトを立ち上げたことで一部の怪奇マニアの間で住倉カオスの名が知られるようになったのだが、その奇をてらわないシンプルさが却って斬新で、というか住倉カオス自身が語る怪談もシンプルながら目撃者の奇妙な反応なんかが込められていて、それがリアリティを醸し出しているのね。

 こういう心霊を目撃したけど調べたらその部屋で自殺があって・・なんて怪談は世の中に溢れているが、おいおい待てよ！お前さんは単なる一般人だし会社とかバイトで忙しいのに何でそんな難しい事を調べることが出来たんだ？というのが現実であって、だから「原因→結果」が完結している怪談はほとんどが作り話なのだが、住倉カオスはそうでは無いのだ。

 こういう霊が出たのでいろいろ探ってみたけれども結局は判らない。もしくは全然関係ないものが沢山出てくるとか、言い伝えとちょっと違うものが出てきてしまい戸惑った・・。住倉カオスの話にはこういうのが案外と多いのだが、これジャーナリズムの取材もマーケティング調査も同じで物事ってたいていの場合こういう形で帰結するものである。 

 中山市郎の「山の牧場」も西浦和也が最恐と太鼓判を押す「京都・太秦の幽霊マンション」もその物件をいくら調べてもそうなる原因が出て来ない。そういう奇妙な余韻とか安易に答えが出てこないからこそオカルトマニアは引き込まれるわけで、実際住倉カオスの膨大な取材データにはそういう話が沢山眠っているらしい。

 だからオレは住倉カオスにとても注目していたのだけれど、しかし大変残念なことだがこの男はこの自分の信念とは逆方向にいるチープな怪談師に雇われて今やプロデューサー的な立場になってしまったのだ。その男の正体は今までこのブログでさんざん批判してきた霊感商法の手先、吉本の落ちこぼれ芸人「ぁみ」である。

 元々能力的に劣っている「ぁみ」を神輿に担ぐにはよく出来た作り話を用意する必要がある訳で、そこに住倉カオスが積み上げてきた取材データが活用されたのだ。ここ最近「ぁみ」が怪談界のプリンスとして躍進したのは実はこの住倉カオスのリアリティあふれる取材データのおかげなのである。

 もちろん「ぁみ」はアタマが悪いから住倉カオスがこさえた恐怖小話の意味もよく理解できてないし、話の早い段階でどんな馬鹿でも理解できるように原因を示してしまうからオレのようなオカルトマニアにはカスにしか映らないが、しかし霊感商法の連中にはこの方が好都合なのだ。

 だって騙す相手はバカに限る訳で、心霊スポットに言ったら古い神社があって‥なんて話している最中に横から「その御祭神は誰でしたか？」と聞かれても、騙し屋たちはそんなこと考えたこともないから困るのである。だからアタマも下半身も緩そうな女の子たちだけが集まるように陳腐な怪談を住倉カオスに命じて作らせてるって訳なのだ。

 住倉カオスさんよ。オレはアンタは絶対に怪談界の重鎮になるって思ってたけど、あんたが「ぁみ」にくっついたのには正直失望したよ。せっかく第二の中岡俊哉になれる逸材だったのに霊感商法にからみとられちまうとはなぁ。まあ刑務所も最近は過ごしやすくなったそうだから、チンコに埋まった真珠いじりながらムショに巣食う霊の収集にはげんでくれや。

にほんブログ村

オカルトランキング