怪談界のプリンス「ぁみ君」に「ドライブ中の恐怖体験」という自身の霊体験話がある。ある晩幽霊が出るので有名なトンネルへ男4人で行ったところ女の霊がたちまち現れ、そして追いかけられ、やがてトンネルを出てやっと一息ついたと思ったら友人の肩越しにニターッと笑う霊が現れた・・という話をブワーッ!ブチブチブチブチッ!という意味のない大声や大げさな抑揚をつけてスリリングに語った「ぁみ君」の代表作の一つだ。
霊が現れる、霊に襲撃される、霊に追い詰められる。この映画「エイリアン」の主人公のような世界こそ「ぁみ君」の典型的な怪談パターンで、これらの話を聞くと「ぁみ君」はどこに行っても霊に出会ってしまう宿命、常人離れした霊感の持ち主のように思えてくるのだが、しかし動画サイトにある「ありがとうぁみ総集編」を時系列的に聴いていただくと変な事に気が付くはずである。
例えば今から7年前「ぁみ君」が怪談を語り始めたばかりの頃の「記念写真に写る顔」である。これ十数年前の専門学校生時代の「ぁみ君」が級友の女の子から双子の女の霊を移されてしまう話なのだが、記念写真に紫色の顔をした霊が移るとか、授業中に旧友たちが「ぁみ君」の異変を見たり感じたりするのだけど、なんと「ぁみ君」本人は何も見えてないし感じてもないのだ。
さらに双子の女の霊は「ぁみ君」の車に取り憑いてしまうのだけど、その車で「ぁみ君」は2つも霊がいるのに別に何の支障もなく通学していて、しかし幼馴染で霊感のあるユカちゃんから諭されて除霊をしてもらったところ、なにもしてないのにボンネットがバカン!と空き(現在と違いバカン!は効果音風ではない)、そこから白い煙が立ち上るのだけが見えました・・で終わっているのである。
自分には霊が見えない。ワタクシメが知る限り初期の「ぁみ君」の話はこれなのである。彼女とドライブ中に突然「車を止めて!」と言われたが「ぁみ君」には何も見えない。それで気にせず放ったらかしにしていたら、2か月後に酔っ払いのオヤジから「チェック柄のオジサンがアンタのクルマの車輪に絡みついてるよ」と言われてしまい、彼女が言っていた意味が2か月もたってやっと分かりました・・なんて話が正にそうだ。
それと付き合っている彼女に電話を掛けたら「あんたの後ろにいる女は誰?」と言われてしまいハァ?となってしまう「テレビ電話の女」。実は自分の部屋には自分以外にもう一人女の霊が住み憑いていたのだが「ぁみ君」は最後の最後まで同居人を知覚できなかった!という話が示す通り数年前までの「ぁみ君」の怪談は見えない人間の設定になっているのである。
2か月間も霊に取り憑かれた車を毎日運転ながら全く気が付かなかった「ぁみ君」、何年も女の霊と同居していながら何も感じ取れなかった「ぁみ君」なのに、ここ最近は心霊スポットに行こうものならたちまち霊を目撃し、しかも現れるだけならともかく襲撃され、必死になって逃げるがどこまでもどこまでも・・という超人レベルまで霊感が上がりました!というのはどう考えても変じゃないだろうか。
しかもこの「見えないぁみ君」→「見えるぁみ君」への一大変化は30歳を過ぎてからとかの実年齢ではなく、その怪談を語った時期を境にしているフシがあるのだ。だからそのうちに「僕が専門学校に通っていた時、授業中に双子の霊がブワーッ!と現れてニターッ!と笑うんだけど、不思議なことに見えているのはボクだけで!」と前述の専門学校時代の別バージョンが出てくるに違いない!と楽しみにしておる次第です。
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