魔法少女リリカルなのは DOUBLE STANDARD 作:トータス
高町家前
アリサお嬢様とお爺ちゃんと一緒!
すずか姉様となのは姉様も!
「では、お嬢様と、デュオをお願いいたします」
「はい、承りました」
そう言って引き渡された!
「じゃあ、こっちよ。いらっしゃい」
そう言って、桃子さんに抱き締められ、身動きが取れない様に固定された!(=チャイルド・シート)
その後、全員がそれぞれ車に乗り込んだ。
「さぁ、準備は完了! 行きましょうか!」
「「「「「おー!」」」」」
【何処ヘ!? 何処ヘ連レテ行カレルノ!?】
その疑問に応えてくれたのは、なのは姉様だった。
「これから温泉に行くんだよ? 温泉て、分かるかな?」
【温泉? エット、地脈デ温メラレタ水ガ、地表ニ出テキタモノ?】
「にゃ!? ど、何処でそんな専門的な事を!?」
【??? ・・・ジョーシキ?】
その一言に打ちのめされた様に、なのはは項垂れた。
その様子を見て、心配する二人。
「な、なのは? 如何したの?」
「なのはちゃん、大丈夫?」
「う、うん。ちょっと、びっくりした事が有って・・・」
「具合が悪いのなら、言いなさいよ?」
「窓側が良いかな?」
気遣う二人、気持ちが悪いのであれば、乗り物酔いするかと心配している。
「にゃはは、ありがと。
一寸休めばだいじょうぶだから・・・」
【エット・・・オ家、温泉有ッタ! 爺チャン掘ッタ!】
それを聞き、返事を返すユーノ。
【す、すごいお爺さんだね・・・】
「そ、そうなんだ。凄いね・・・」
【オー! オ家=秘密基地(アジト)? 作ッテタラ、掘リ当テタッテ!】
「にゃぁぁぁぁあぁ!」
頭を抱え、取り乱すなのは。だが、その様子を見ていた二人にはその声は聞こえない・・・
「なのは、思い詰めてるのかしら・・・」
「なのはちゃん、大丈夫かな?
疲れておかしくなんて、ならないよね?」
そんな心配をしていた・・・
傍目からは、独り言を言っているようにしか見えなかったり・・・
・・・ ・・・
男湯
【オオ! コレガ温泉!? オ外ニ、オ風呂!?】
その様子を見て、士郎さんはある程度その心中を察したらしい。
「はは! ビックリしたかい?
ココは露天風呂と言って、外や空を眺めながらお風呂に入る事が出来る場所なんだ」
目を丸くしているその様子を見て、その声を聞いてはいないが、士朗さんはそう説明してくれた。
「ま、驚くよな。
こんな風に風呂に入った事は無いと思うし・・・
良い経験になったんじゃないか?」
そう言う恭也は、隣が気になるのか、チラチラと垣根の方に目を向けている。
隣では、キャッキャ! ウフフ! と嬌声が響いている。
隣からはオッキイとか、・・・がキレイだとか・・・色々聞こえて来るが、そんなモノは自分には関係ない!
今は今を楽しむまで!
今はアソコ(=湯船)に跳び込むの!
そんな風に考え、思い切って走りだそうと・・・捕まった!
「ははは! 駄目だぞ?
まずは、掛け湯をして、体を洗って、それからゆっくりと入るもんだ」
そう言って、両脇から手を差しこまれ、持ち上げられた。
見透かされた様だ。
「父さん、良く分かったな」
「なぁに、経験は有ったからな。
お前もそうだったから・・・」
「な! そ、そんな事、したかな?」
「ははは! 覚えてはいないかもしれないが、しっかり跳び込んでいたぞ!」
「そ、そうだったかな? よく覚えて無いなぁ」
空と惚け、話を逸らそうと試みる恭也。
束縛からは逃れられないと観念し、大人しく洗われ、作法を教わるデュオ。
・・・ ・・・
・・・熱い。
・・・浸かってられない!
ザバッと立ち上がると、
「ん? 一寸熱かったかな?
少し上がって体を冷ますと良い。余り冷める様だったら、また浸かるんだよ?」
コク!
そう言って、湯船から上げて貰った。
涼しい所、風に当たれる所・・・有った!
そこは、隣の垣根との境に有る大岩。
そこをよじ登る。
それに気が付いたのか、
「あ! おい! 気を付けろ!」
そう言って、登るのを止めようと寄って行くが、そこへ引き止める声が掛った。
「恭也。お前がそっちに行くと、不味い事になるぞ」
「? 何でだよ」
「アッチ側に誰が居るかを考えろ」
「! ・・・分かった」
顔を赤く染めながら、お湯に沈んで行く。
大岩を登り切り、風に当たっていると、下から声を掛けられた。
「にゃ!? そこは危ないよ!」
「あー! そんな所に登って! 危ないでしょ!
こっちに来なさい!」
「あらあら、こっちに来たいの? じゃあ、いらっしゃいな」
「わ! すごーい!」
「へぇ、中々やるじゃない!
流石は男の子ね!
でも、そこは危ないから。こっちにいらっしゃい、洗って上げるから」
そんな事を言われながら、抱き上げられ、連れて行かれた!
【何? 何?】
「・・・なぁ、父さん」
「・・・言うな、恭也。羨ましくは無いぞ、決して」
・・・ ・・・
女湯
「あら? 大きな傷痕が・・・」
「あ! それは、見付かった時に有った傷ね」
右頬から額に掛けて、薄っすらとではあるが、違いが浮き出て来た。
血行が良くなり、傷痕がハッキリと浮き上がった。
「うわぁ。もう、痛くないの?」
コク!
「それにしても、どうしてそんな大怪我をしたんだろうね?」
「それが・・・分かんないのよ。
近くでそんな事が有った形跡も無いし、行き成り現れたみたいだったし・・・」
「そうだよね。あの辺りは隈なく探したけど・・・
何も見つからなかったし・・・」
「ふうん。 でも、それじゃあ、何処から来たのかとかは?」
「あ、こっちの言ってる事は通じるんですよ。
言葉はそう違わないみたいで。でも、いろんな言葉で話しても、それぞれ理解出来てるみたいで、特定できないみたいですね」
そんな会話が頭を洗われている間中、聞こえて来た。
・・・ ・・・
さっぱり、スッキリした所で、先に休憩所とやらで待つ事に。
身支度に時間が掛るとか、退屈だろうから先に場所取りを任された!
責任重大!
あ、先客発見!
??? 見覚えが・・・腰まである赤い髪の女性。
「ん? あー! あん時の!」
【・・・アウフ?】
「・・・へぇ、覚えてるんだ。
そう言えば、名乗って無かったね。
私はアルフ、フェイトの使い魔だよ。
・・・所で、どうしてここへ?」
【温泉!】
「温泉? ジュエル・シードじゃなくて?」
【何? ソレ? ビー玉ガドウカシタ?】
その反応は予想していなかったが、頭を切り替えるアルフ。
それならそれで敵対する事も無いだろうし、協力して貰う事も可能かもしれないと考える。
「・・・ああ、知らないんだったら、いいんだ。忘れて。
そうそう! この間はありがとうね。
おかげで助かったよ!
・・・じゃあ、コレはお礼って事で!」
そう言って、フルーツ牛乳を差し出される。
【??? アリガトー!】
何故くれるのかは判らないが、知ってる人《?》だし、問題無い?
そうこうしていると、後ろの方から、ワイワイとした声が聞こえて来る。
「あ!」
「? なのは?」
「どうしたの? なのはちゃん」
その事を不審に思い、視線の先に目を遣る二人。
見知った顔が、知らない人から何かを貰い、ニコニコしている。
「ん? へぇ、こんな所で出会うとはね」
アルフは、物騒な言葉使いで、なのはに近寄り、凄味を込めて耳打ちした。
「ジュエル・シードから、手を引きな。
アレはウチ等が手に入れる」
「駄目! アレは危険なモノだから。
それに、ユーノ君が集めてるモノだから、そう簡単には渡せない!」
「・・・なら、競争だね。
アレは私らが集める。
管理局には渡さない、フェイトの為にも!」
それだけ言うと、アルフは外へと出て行った。
「・・・負けません!」
その場から離れて行く背に向かって、そう宣言するなのは。
「・・・ねぇ、何か有ったのかな?」
「さぁ、何がどうしたんだか」
話について行けず、置いてけぼりにされた二人。
そんな事は終ぞ気にせず、貰った牛乳を飲み干すデュオ。
一人と一匹は、次回こそはと意気軒高している。
・・・ ・・・
夜中、川遊びをしている夢を見ていたら、ユサユサと揺すられた。
なのは姉様とユーノに起こされた。
「・・・デュオ、デュオ」
ゆっくりと起き上がり、真っ暗な中、聞いて見た。
【・・・ナァニ? ナノハ姉様?】
「おトイレ、行こうか」
【?・・・オオ! トイレ!】
言われて見て、気が付いた!
「じゃぁ、こっちだよ」
そう言うと、そっと手を取って、立ち上がるのを手伝って貰う。
【ナノハ姉様ハ、如何シテ分カッタノ?】
「にゃはは、何と無くかな?
それより。その、なのは姉様って、そんなに丁寧じゃなくてもいいよ。
もっと普通に、なのはお姉ちゃんって呼んでも良いよ?」
【・・・ナノハ姉様ジャ、ダメ?】
「うーん、そう呼びたいなら、良いのかな?
所で、アリサちゃんやすずかちゃんは、なんて呼んでるの?」
【アリサ御嬢様ト、スズカ姉様!】
「そっか、でも、何で?」
【オ爺チャンガ、公私ノ区別ヲ付ケル為ニ、敬ウベキ相手ニハ、敬意ヲモッテ接スル様ニッテ!】
「・・・それって鮫島さんが?」
【ソー! ダカラ、ユーノハユーノ。
男ナノニ女湯ニ入ッテこーふんスル様ナノハ、敬ワナクテモ良イ?】
「え?」
【な、何を言ってるのかな!?
アレは不可抗力なんだ!
ダカラ、事故なんだ!】
【・・・ソーナノ?
前ニソンナ奴ハ、インジューダッテ聞イタヨ?】
【だ、誰に?】
【??? 誰ダッケ? ンーット、エーット、オォ! 悪人!】
【そ、それは、その人が悪いよ。
その人、悪人なんでしょ?
そうだよね、なのは!】
否定して貰いたい思いから、なのはに確認を取るユーノ。
「え? う、うん。そうだね。
悪い人の言う事は、聞いちゃ駄目だよ?」
その一言が、後々の騒動にも?
・・・ ・・・
なのは姉様は、トイレまでついて来てくれた。
トイレの前あたりで、ジュエル・シードの反応が有ったとかで、そっちへと行ってしまった。
トイレは間に有ったし、部屋も判るから、大丈夫かな?
でも、暗くてコアイ!
暫くしたら、士朗さんが捜しに来てくれた。
部屋までは視点が高く、楽チンだった! =肩車
でも、頭をブツケタ!
痛かった!
・・・ ・・・
思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・
次回 意外な友人? 急転する事態!