決勝も切り込みサイクル男の先制パンチだ! フリー打撃で汗を流した履正社の1番桃谷惟吹外野手(3年)は、ここまでの5試合すべてで1回先頭で出塁。本塁打、二塁打、中前打、二塁打、そして三塁打と“サイクル”だ。「意識していなかったけど、率直にうれしいです。(1打席目は)自分にとっても、チームにとっても大事。初球から振っていく」。
今春センバツでは奥川に3打数無安打2三振と完全に抑え込まれた。その後、速球に対応するため、足の上げ方を小さくするようにフォームを修正。夏の大会前の練習試合でも奥川と顔合わせしたが、桃谷は「センバツのときよりは対応できた打席もあった。奥川君でも甘い球はあると思う」と手応えを得た。
チームはセンバツで奥川の前に17三振を喫し、3安打で完封負け。「こういうピッチャーを打たないと甲子園では勝てないと、奥川君にチームを奮い立たせてもらった」と岡田龍生監督(58)。キーマンに挙げたのが桃谷。「先頭がああいう形で出てくれると士気が上がる。桃谷が出て、クリーンアップがどう返せるか。先制点を取りたい」と青写真を思い描いた。
打線は5試合連続2ケタ安打と好調。主砲の井上広大外野手(3年)は「ずっと打倒・奥川でやってきた。センバツでは追い込まれて簡単に三振していたが、うちのバッターは低めを振らなくなった」。近い距離からのフリー打撃で目慣らしもした。世代最強の奥川に先制パンチを浴びせて、令和最初の夏の集大成とする。 (小原栄二)