Fate/stay night in Duo   作:トータス

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長らくお待たせいたしました。
そう大したものではありませんが、書けましたので挙げさせていただきます。


状況把握

 ランサーとの戦闘を終え、無事に朝を迎えた。

 

 朝、目を覚ますと知らない女性の顔があった。

 

「ン? おはようございます」

【お、おはよう】

 

 起き上がり、何となく危険は感じないが起きて直ぐ、見知らぬ人に見られていたら一寸怖い。

 

「初めまして、セイバーと申します」

 

 キチッとした正座で自己紹介された。

その対応を見て悪い人だとは思わないが、誰なのかが解らない。

 

【セイバー?】

「はい」

 

 隣で寝ていた士郎兄を揺すって起こしてみた。

 

「ふぁあ! 如何した? デュオ」

 

 起きて来たから相手を指差してみた。

 

「あ、ああ。夢じゃなかったのか・・・

えっと、デュオ。昨日は色々あり過ぎて混乱しているんだが。

こちらは・・・昨日の暴漢(ランサー)を追い払ってくれた人だ。

ええっと、《切継》爺さんの友人の友人の娘さんで、こっちに観光に来ているセイバー。

セイバー、こっちは俺の義弟で、デュオ。

ほら、挨拶して」

【えっと、助けてくれてありがとう。セイバー?】

 

 布団から体を起した状態で頭を下げた。

 

「いえ、こちらも大した事が出来ず、取り逃がしてしまいました」

 

 セイバーも頭を下げた。

 

「さて。デュオ、動けるか?」

 

 コク!

頷き、動こうとするが体が動かない!

 

【い、痛い】

「シロウ、どうやら体が痛くて動けない様ですが」

「そっかぁ、結構強く叩きつけられ・・・え?」

 

 咄嗟に何を言われたのかが分からなかった。

 

「? どうしましたか、シロウ」

「えっと、セイバー? デュオが何を言ってるのか、分かるのか?」

「? はい。伝わりますが?」

「そ、そうか・・・デュオ、何が食べたい?」

【お握り、梅干しじゃないの】

「シロウ、この子はお握りが良いそうです。それも梅干しナシのモノを所望しております」

「・・・そっか。分かった」

 

 その様子を不審に思ったセイバーは聞いてみる事にした。

 

「如何したのですか? 士郎」

「セイバーは、デュオの言う事が伝わるんだな?」

「はい?」

 

 何を言われたのか判らなかった様子で首を傾げるセイバー。

 

「デュオは、声が出ないんだ。だからいつもは筆談だったんだ」

「そうなのですか? こんなにハッキリと聞こえるのですが・・・」

 

 セイバーは不思議そうにこちらを見ている。

それを見て、士郎は気まずい思いに駆られたのか、視線を時計に逸らした。

 

「と、そろそろ朝飯の支度を・・・って! もうこんな時間か!」

 

 そこには、教師と後輩が既に来ていてもおかしくは無いだろう時間帯だった。

 

「や、ヤバイ! 壁もそうだけど、セイバーの事をどう説明したら・・・」

 

 そんな事を言いながらうろたえている。

その様子を見て、今目で何かを訴えても伝わらないから、

 

【・・・セイバー、起きるから手を貸して下さい】

 

 切実な事態に陥った為、丁寧にお願いする。

 

「ん? ああ、構わない」

 

 手を引かれ、何とか起き上がるも歩くには辛い。

 

「まだ、痛むのか」

【うん】

「では、連れて行こう」

【え?】

 

 その疑問を解消する前に、横抱きに抱き上げられた。

 

【ええ!?】

「では、参る」

 

 うろたえる士郎をそのままに、連れて行かれた。

 

【ど、何処に!?】

「起きて先ず行く所と言えば決まっている」

【そ、そうだけど・・・】

「なに、傷病者の看病は慣れているからな、気にする事は無い」

【や、トイレの前で降ろしてくれれば良いから!】

「そうか」

 

 そう言っている間にトイレへと辿り着いた。

 

【ありがとう】

「いえ、これ位は当り前ですから」

 

 取敢えず用をたし、流石にお腹が減ったので台所に。

そこには何時もの様にエプロンを掛け、調理しているサクラ姉。

 

「あ、おはよう!」

 

 こちらに直ぐに気が付いたのか、何時もの挨拶。

こちらも何時もの様に、念話を用いて会話をしている。

魔術師としての話は内緒にしていてくれとのサクラ姉の要望から。

士郎は何も知らなかったり。

 

【おはよう!】

「先輩は?」

【うろたえてる】

「え?」

【壁が凄い事になって・・・】

 

 取敢えず、暴漢に襲われ、壁に叩きつけられた事を伝えて見た。

 

「・・・そっかぁ。それで、無事だったんだね?」

【まぁ、壁以外は体が痛い】

「それで済んだんだから、我慢我慢」

【あ、それでサク姉。女の人が一人増えた】

「・・・ふぅん?」

 

 何時もの佇まいなのに、その一言で凄味が増した!

 

「その女の人って、どんな人なのかな?」

【エットね、キレーだったよ?】

「先輩と一つ屋根の下、先輩と一つ屋根の下・・・」

【・・・サク姉? 鍋、吹きそうだよ?】

「ウン、ダイジョウブ。チョット、ウラヤマシイダケダカラ・・・」

 

 取敢えずは、そっちは無視して火を止めておいた。

 

【じゃあ、箸を並べてるから!】

 

 そう言って逃げ様と考えたが、

 

「一寸待ってね」

 

 むんずとばかりに肩を掴まれた。

こえーから逆手に持った出刃包丁は置いて欲しい。

 

「さ・く・ら、今日は何・・・・ゴメン」

 

 トラ姉が味見という大義名分の下、摘み食いにやって来たが、その様子を見て退散する事にしたらしい。

 

【トラ姉ェー! 助けて!】

 

 念話が通じない相手には効果は無かった。

 

 取敢えずは、どうしてそうなったのかを、覚えている範囲内で白状させられた。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 何時もの居間だった筈が、何故か恐ろしく感じられた士郎。

その中心と思われる所に声を掛けた。

 

「サ、サクラ、さん?」

 

 士郎は恐る恐ると言った感じに、敬語で尋ねた。

 

「はい? 先輩。どうかなさったんですか?」

 

 顔や声は何時も通りなのだが、纏っている雰囲気が怖かった。

 

「い、いや・・・その、どうして一つ多いのかと思って」

 

 そこには予備の茶碗と箸が用意されていた。

 

「え? だってお客さんがいらしているんですよね? 女性の」

 

 にっこりと笑っている筈が、何故か恐ろしく感じられた。

 

「あ、ああ。昨日、急に尋ねて来てさ。もう夜遅かったし、家に泊って貰ったんだ」

 

 それを黙って聞いていた担任。

 

「ん? って事は士郎!

言えない様な事をしたって事は無いわよね?」

「な、ナイナイ! 第一、デュオも一緒だったんだから! 何も無かったよなっ!」

 

 そう言って定位置の隣を見るが、そこには黙々と箸を進めるセイバー。

一寸サク姉が怖かった為、一時避難とばかりに更に隣の離れた場所に居た。

 

「デュオ! 何か言ってくれ!」

 

 そう言われたから、スケッチブックにデカデカと、【襲われた!】と書いてみた。

その後、弁解と事態の収拾に明け暮れた士郎がいたとか・・・

 

 取敢えずはかかり付けの藤村家御用達の病院に行き、診て貰った。

大事を取って学校にはお休みする事を伝え、家に帰って寝た。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 目が覚めたら天井は高く広く、シャンデリアが下がっていた。

柔らかなベッドに横になってるのは判るが、こんなモノは衛宮の家には無かった筈・・・

 

「あら、お目覚めになりましたか。主人を呼んでまいりますので、いましばらくお待ちください」

 

 直ぐ傍には、何やら見覚えのあるメイドさん。

士郎兄が学校へと出かけ、セイバーは隠れて護衛するとかで出て行った。

自分は取敢えずは大事を取って、学校を休む事になっていた筈で・・・

 

「あ! 気が付いた?」

 

 視線を向ければ、何時までも変わらない容姿の姉の姿があった。

 

【・・・イリヤ姉、どうして日本に?】

「どうしてって、聖杯を取りによ」

 

 そう、胸を張って答えてくれた。

 

【・・・聖杯?】

「そう、聖杯! それが獲れれば一緒に暮らせるわ!」

【それって、サーバントがどうとかの?】

「え、知ってるの? それと、サーバントじゃなくて、サーヴァントね」

【うん、士郎兄が何だかセイバーとか言うのを召喚したとか・・・】

「ふぅん、士郎が・・・」

 

 そう言って何やら考え込んでいる様子だが、気にせず後を続けた。

 

【あ、あと、ランサーとアーチャー? その二人も見掛けたよ】

「へぇー。じゃあ、ランサーのマスターは、見た?」

【見てないよ。ランサーだけが襲って来てた】

「そう・・・。それで、ランサーについて知っている事は?」

【え? えーっと、げいぼるぐ(=虫取り網)を見て怒り狂ってたかな?】

 

 名付け親=イリヤ姉

 

【その後は、投げ飛ばされたから分かんない】

「!・・・そう。だとしたら、ケルト系かな?

マスターに関しては、こっちに来てからの足取りが途絶えてるし・・・」

 

 イリヤは今得た情報を整理しつつ、何やら呟いている。

 

「・・・そっかぁ、後はキャスターとアサシンの二人か・・・」

 

 その呟きは小さく、聴き取れなかった。

 

【イリヤ姉。一寸調べモノしたいから、端末借りても良い?】

「良いわよ。私は一寸情報を整理したいから、静かにしていてね。

セラ、デュオに端末を使わせてあげて」

「かしこまりました。では、こちらへ」

 

 案内され、パソコンがある部屋へと案内された。

 

「では、ごゆっくりどうぞ」

【うん、ありがとう】

 

 さて、取敢えずは何処で調べるべきか・・・

魔術系の話になるか、師匠の所は端末使ってなかったし・・・

だとすると、先生の所かな? 今は、居るのかな?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 慣れた様子であるWebサイトにアクセスし、ログインしてみる。

その数ある名前から見付けた。

 

【先生、質問!】

 

 とメッセージを送った。即座に返信が届く。

 

「何だ! 今は忙しいんだ! 手短に!」

 

そう言う割には画面狭しとユニットが縦横無尽に動き回っている。

 

【聖杯について知りたい】

「聖杯? 冬木の聖杯か? アレがまた活動しているのか!? 《マッケンジー》爺さん達は!?」

 

 そう驚きはしているが、ユニットは止まる事無く動き続けている。

 

【えっと、今、アインツベルンの城の中だから、どうしてるかは判んない】

「・・・何故、お前がアインツベルンに!?」

【気が付いたらココに居た。イリヤ姉に連れて来られた見たい】

「・・・イリヤスフィール・フォン・アインツベルンか・・・

そ、そうか・・・。兎に角、聖杯には近付くな。

アレは何か願いを叶えるとは言っても、歪めた願いしか叶えない、壊れた代物だ!

もし、アレが出現したのなら、全力で逃げろ! 爺さん達を連れて!」

【えー? じゃあ、もう関わってたら?】

 

 それを伝えると、しばしの沈黙の後。

 

「・・・逃げ回れ! 命が惜しいのなら、逃げ切って見せろ! 勝てる時以外は逃げ回っていろ!」

【・・・分かった。兎に角、逃げ回ってやり過ごす分には問題無いんだ?】

「まぁ、誰かと手を組むなりするんだな。気休めにもならんが、利害の一致を見る間は大丈夫だろう。

早々都合の良い相手は見つからんだろうが・・・

どちらにしても、早々にやられはしないと思ってはいるが、用心に越した事は無い。

手を組むなら、何時裏切られても、裏切っても大丈夫な様に弱みに付け込め。

元気に生きてさえいれば、後は如何にか出来るからな」

【分かりました、先生。頑張って生き残ってみます】

「ああ・・・生き残れ! と、こっちは生き残れるか!?」

 

 こちらとの会話で気が逸れたのか、一気に形勢が悪くなっていた。

 

「す、済まない! それどころじゃなくなった!」

【じゃ、何か有ったらまた質問します!】

 

 それだけ伝え、通信を修了した。

 

 さて、これからどうするべきか?




またお待たせする事になるかと思われます。

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