今回は、サントリーの白州蒸溜所限定のモルトウイスキーを飲んでみます。

白州蒸溜所の見学レポートはこちら

蒸溜所限定のウイスキーはこれだけ

hakushu20_2019年時点で、白州蒸溜所限定のウイスキーは今回のものだけです。しかも一人当たり一本限りとなっています。

2年前に山崎蒸溜所を訪れたときには、限定ウイスキーすらない惨憺たる状況だったのに比べればましではありますが、この辺にサントリーの窮状を見た様に思えます。

ちょうど角ハイボールがブームになったのが2008年、翌年から増産をしたとしても、12年ものが仕上がるのは2021年頃、やはり評価の高いウイスキーを作るとなると、長期熟成の原酒はどうしても必要ですので、潤沢になるにはまだ数年かかると思った方がいいでしょう。

今回は、レギュラーの白州との飲み比べをしていきます。

限定ゆえに抜かりない仕上がり

では、ストレートから。
グラスに注ぐと、色はレギュラーの白州と比べると少々アンバーに思えます。いずれも色は薄めです。
香りは青リンゴとマスカットが強めに感じます。レギュラーに比べると濃厚です。

口に含むと、青リンゴ、マスカットが先に訪れ、その後はトーストの香ばしさ、バニラ、ほのかにレモンも得られます。残り香にはピートのスモーキーさもほのかに感じられます。
味わいは、アルコールの辛みはそこそこあるものの、その後は酸味が主体となります。

レギュラーでは、ブドウの方が強めに感じられ、奥からはミントの様な爽やかさ、ライム、青リンゴが続きます。
味わいは、ビターが強めに訪れ、奥から酸味が追いかけてきます。

ロックにすると、白州蒸溜所ではレモンが先に揮発し、ミントの爽やかさも強まります。マスカットの香りもレーズンの様な濃厚さが強まった印象に変わります。
味わいは、ほろ苦さが先に来た後、果実の持つ酸味、甘みが舌全体を覆います。

一方でレギュラーでは、ミントの後に黒こしょうの様なスパイシーな香りが続き、奥から青リンゴの香りが覆っていく印象です。残り香にはバニラの甘い香りが見えてきます。
味わいは、酸味の度合いが薄くなり、ビターと甘みが絡み合う印象です。

最後にハイボールでは、白州蒸溜所の場合、ミントとピートの香りが先に訪れ、奥からのリンゴの香りは熟した雰囲気になり、ブドウもレーズンらしさが強くなります。その後にはバニラの甘い香りが続きます。
味わいは果物の様に酸味が表に、甘みが裏にあり、嫌気は感じられません。

一方でレギュラーは、ミントとシナモンのようなスパイシーな香りが先行し、奥から青リンゴの新鮮な香りが追いかけます。
味わいは、ビターはそれほど強くなく、甘みはあるものの酸味の方が勝っている印象です。

せっかく蒸溜所に来たのに、レギュラーと同じブレンドでは意味ないのは確かですが、さすがにそんな行為はなく、レギュラーよりもバラエティ豊かで濃厚な香り、味わいを楽しめるボトルになっています。

蒸溜所での試飲での記憶をたどれば、レギュラーに比べるとライトリーピーテッドモルトを多めに入れ、さらにシェリー樽原酒もプラスしている様に思えます。

300mL、アルコール度数43度、蒸溜所でのお値段は1600円ほどです。700mL換算なら3800円ほどですから、プレミアがついている現行の白州レギュラーと比べれば割安ですね。
酒屋さんで独自入手している場合もありますが、価格は1万円を軽く超えます。
もっとも、蒸溜所から遠く離れたところからだと、交通費を含めて買うにしても割高であることを考えれば、1万円オーバーでも割安になるでしょう。

<個人的評価>

  • 香り B: 青リンゴ、マスカットの後、トースト、バニラ、レモン、ピートが続く。
  • 味わい A: ストレートでもアルコールの辛みは少なく、加水が進むほど甘みが増す。全体的にはビターが先行、酸味が追いかける。
  • 総評 A: 蒸溜所のお土産としては上出来で、レギュラー以上に楽しめるボトル。