旧門脇小震災遺構 石巻市 住民と意見交換 来月後半から一部解体へ
全体保存の声根強く
石巻市は8日、東日本大震災で被災した旧門脇小学校の遺構整備に関する住民との意見交換会を開き、被災本校舎の一部を解体して保存する計画を変えないことを伝えた。校舎全体の保存を望む住民の声は根強く、対話の継続を求める意見が出された。市は今月末にも解体改修工事の入札を行い、早ければ9月後半から現場作業が着手される。
意見交換会は旧門脇小近くの門脇東復興住宅集会所であり、住民ら約30人が参加。市側からは亀山紘市長と担当部の職員が出席した。亀山市長は「震災遺構として何をどのように伝えるのかという機能を重視したい」とあいさつし、市側が工事のスケジュールなどを報告。今後、震災伝承の展示内容を検証するにあたって、意見聴取への協力を呼び掛けた。
実際の意見交換は冒頭から「部分保存に合意していない」などとして、全体の保存を望む住民から再考を求める声が相次いだ。初めは解体の考えだった住民も「以前は生活が落ち着くのが一番で、門脇小のことを考えられなかった。少し立ち止まってよりよい形にしてほしい」と訴えた。
これらに対して亀山市長は、アンケートの結果や維持管理費、保存を望まない声を総合して部分保存を決定したことを述べ、「議会の承認を得て合意に達したと考えている。住民の意向も、ある時点で判断しないと永久に決められない」と説明。久保智光復興政策部長は「部分保存は決定事項」と強調した。
ただ、住民全員が全部保存というわけでなく、「部分保存でも十二分に伝えることができる」などの意見が複数あった。解体してほしい住民は「気持ちは変わらない」としながらも、継続的な地域との話し合いを望んだ。
地元門脇町内会の会長で、ありのままの保存を求めてきた本間英一さんは「世界に誇れる震災遺構にするためにも、住民と行政の溝を埋めることが大事だ。市長と直に話ができたのは良かった」と対話を続けたい考えだ。
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