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2018年12月22日(土)

深刻化する 不法滞在の外国人

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小郷
「来年(2019年)4月には、外国人材の受け入れを拡大するための法律が施行され、日本で暮らす外国人はさらに増えることが想定されますが、その一方で、不法滞在者の問題も深刻化しています。」

日本に残りたい… 不法滞在の外国人

今週、東京の入国管理局を訪ねてみると、外国人が列を作っていました。

彼らは、不法滞在者です。
日本に残りたいと、在留資格を求めています。

「ビザ(在留資格)を待っている状態。
ビザがでない。」

「ビザ(在留資格)ない。
入管ではもらえない。」

本来、不法滞在者が摘発されると、施設に収容され、強制送還の手続きが行われます。
しかし国は、人道的な見地から、特別な場合に限って、不法滞在者の在留資格を認めています。
その在留資格の許可件数が、この1、2年、著しく減っているのです。

不法滞在の外国人 在留資格の認定とは

小郷
「取材にあたった趙ディレクターです。
不法滞在者でも在留資格が認められるのは、どういう場合なのでしょうか?」

趙顯豎ディレクター(おはよう日本)
「不法滞在者と呼ばれる人の中には、本国に帰れない事情を抱えている人がいます。
例えば、『本国に帰れば命の危険にさらされる』『日本で結婚し子どもがいる』『重い病気にかかり療養が必要な人』などです。


こうした不法滞在者に対して、国はガイドラインを設け、人道上の特別な場合に限って、在留資格を認めてきました。
『日本人や、日本の永住権を持つ人と結婚している』『高校生までの子どもがいること』『日本での生活になじんでいるか』などが主な認定のポイントになります。」

新井
「国はこれまで、どのくらいの数の在留資格を認めてきたのでしょうか?」

趙ディレクター
「このグラフは、オレンジ色がこれまで認定された人数で、黄色は認定された割合です。

最も多い時期には、1万3,000人を超える人数が認められたり、7割以上が認められた年もありました。
ところが今はご覧のとおり、人数・割合ともに減少傾向にあることがわかります。
在留資格がなかなか認められない中、不安定な生活を強いられている人は少なくありません。」

在留資格を求めて11年 就労できず 移動制限も

在留資格を求めている、パキスタン出身のモハメド・サディクさん、55歳です。

サディクさんが日本に来たのは、31年前、24歳の時のことでした。
当時パキスタンは、軍部が大きな権力を握り、市民や学生を厳しく弾圧していました。

身の危険を感じたサディクさんは、15日間だけ滞在が許される「観光ビザ」で日本に入国しました。
しかし、その後も滞在を続け、20年近く建設現場や部品工場などで働いてきました。
その仕事ぶりは、社長や同僚からも評価されてきました。

勤務していた工場の社長
「本当によくやっていたね。
頼りになるなあっていう部分があったから、信頼して仕事を頼めた。」

サディクさんが在留資格を求め、国に申し出たのは11年前です。
しかしこの時点では、在留資格を認められませんでした。
その後も在留資格を求めて、裁判のやり直しを求めています。

モハメド・サディクさん
「やり直しをお願いします、認めてください。
そういう意味で再審情願を出す。」

この11年間、サディクさんは仕事をすることができていません。
不法滞在者として国の監視下に置かれ、県外への移動は制限され、就労も禁止されているからです。

サディクさんの暮らしを支えているのが、日本での永住資格を持つ中国人の妻、リュウ・ウエンジェさんです。
スーパーの総菜売り場で働き、毎月12万円でやりくりしています。

モハメド・サディクさん
「大根もらったんですよ。
わかってるから、生活が大変だって。」

サディクさんの結婚生活は9年目。
過去には、結婚生活4年の人が在留資格を認められた例もあります。

さらに今、サディクさんが日本在留を強く求める理由があります。
妻のリュウさんが、リンパがんを患っているのです。

妻 リュウ・ウエンジェさん
「何も望みはない。
一番の望みは、幸せで残りの人生、日本で2人一緒に生活したい。
本当に望み、本当にお願いする。」

モハメド・サディクさん
「自分の家族を守るためには、在留資格が欲しい。」

長期間、自由を制限された生活を送るサディクさん。
このような不法滞在者は、およそ3,000人に上るといいます。
こうした事態が続くことは、人権上の問題があると指摘する専門家もいます。

指宿昭一弁護士
「とてもストレスが大きいと思います。
人間らしい生活をすることができない。
在留資格がないというだけで、そういうところに人間を追いやっていいのかと、すごく感じます。」

長期間 自由を制限 “人権上問題”指摘も

小郷
「なかなか在留資格が認められないということですが、サディクさんは要件をいくつか満たしていますよね。
それなのになぜ、いまだに認められていないのですか?」

趙ディレクター
「この点について国に問い合わせたところ、『許可の判断は個々の事案ごとに総合的に考えている。あくまで判断の基準は一貫している』という回答でした。

しかし、ばらつきがあるように見えますよね。
専門家からは、在留の“認められやすさ”について、その時々の社会の情勢が影響しているのではないかという指摘もあります。」

慶應義塾大学 中島隆信教授
「ある意味、雇用の調整弁みたいな形になって、人が足りないときは多めに許可を出して、そうでないときは厳しくする、母国に帰すみたいな。
使い勝手のいい外国人を活用したという側面がある。」

新井
「となると、今は人手不足ですから、在留資格は認められやすいはずですよね?」

趙ディレクター
「国からすれば、来年から外国人の受け入れを拡大しようとする中で、これまでいた不法滞在者と整合性が取れなくなるということで、取り締まりや厳格化を行っているのではという指摘もあります。」

小郷
「確かに、不法滞在者の行動に一定の制限があるのは仕方ないとは思いますし、本当に悩ましい問題だとも思うのですが、国は何か対策を打とうとしているのでしょうか?」

趙ディレクター
「例えば、これまで厳格に行ってきた難民の認定基準を緩和し、不法滞在者自体の人数を減らす対策も検討しているようです。

外国人の問題は、今後ますます身近になってきます。
その上で私たちは、入国管理の問題とあわせて、人権の問題も考えていかなければならないと思いました。」

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