初日を「良いGLAY」、2日目を 「悪いGLAY」と銘打って行われた今回のアニバーサリーライブ。「良いGLAY」では歴代のヒット曲を中心やファンのリクエストを反映したセットリストが組まれたが、2日目の 「悪いGLAY」ではファンの意表を突くような前代未聞のセットリストが用意された。この記事ではその2日目の公演の模様をレポートする。
オープニングでは初日と同じく、歴代のライブ写真や平成を象徴する映像が上映される。映像の最後にはTAKUROの公約である「今年こそは紅白」の文字が浮かび大きな拍手と歓声が沸き起こった。3万人の観客がスクリーンを見つめていると、前日に続きアリーナエリアに設けられたセンターステージに白いバルーンが登場する。そしてTERUの「OK! メットライフドーム、熱く行こうぜ!」という掛け声と共に白いバルーンが割れるが、そこにいたのはメンバーと同じ衣装を着た“偽GLAY”。その正体がわかった瞬間に観客はどよめき、それを察したダミーバンドの4人はそそくさと退場した。するとメインステージに黒を基調とした“本物のGLAY”が現れ、実質の1曲目である「FATSOUNDS」を火炎や特効の演出を交えて爆音で叩き込んだ。
曲の途中で4人は二手に分かれてトロッコに乗り込み、演奏をしながらアリーナエリアを1周。トロッコが半周したところで曲が終わり、TERUは「OK! メットライフドーム!」とコール&レスポンスを求め、ドーム内に一体感を作り出す。さらにTERUが「Next Song!」と高らかに叫ぶも、始まったのはまたもや「FATSOUNDS」。スクリーンに韓国語の字幕が入るものの、演出もほぼ同じという状況にファンは一瞬呆然とした表情に。しかしすぐさま状況を受け入れ、腕を振り上げて4人のパフォーマンスを楽しみ始めた。2回目の「FATSOUNDS」が終わったところで、HISASHI(G)が「GLAYの闇営業へようこそ。今日はいっぱい汗かいてギャラ飲みしようぜ。今日でGLAY最後かもしれないんで。最後に……だいたいオマエ気に入らねー!」とシャウト。それを機に今度はアラビア語の字幕入りバージョンの「FATSOUNDS」がスタート。4人の悪ノリを察した3万人のファンは笑いながらも、TERUがマイクを向けると大合唱を繰り広げた。流石に3回目の「FATSOUNDS」ということでメンバーも余裕の表情で、JIROがTERUの肩を抱きながら花道を駆けるなど、“悪いGLAY”を存分に堪能している様子だった。そして曲が終わった瞬間、TERUは「3回もやっちゃったよ」と呟いた。
しかし“悪いGLAY”の企みはこれだけで終わらず、今度はJIROが「暴れる時間だよ! HISASHI!」と呼びかけたのに続いて、HISASHIがJIROのパートを奏でたうえに、手慣れたように「SHUTTER SPEEDSのテーマ」を歌い出す。まさかのパートチェンジに観客も笑いながら大盛り上がり。さらに、TERU「お前も悪者にしてやろうか? 全員でバーストしようぜ!」と客席を指差し、激しいライティングに合わせて「BURST」を絶唱。その激しく情熱的な歌声にドーム内は熱気を帯びていった。
その後、TERUが花道を歩きながら「“悪いGLAY”だけど、ちょこちょこいいGLAYも出てきますんで。お前ら水分摂れバカヤロウ!」と水分補給を呼びかける。「こっからはみんなの声を借りながら、みんなの声でドームをいっぱいにしたいと思いますのでついてきて……いや、ついてこい!」と悪ぶってみせるも、「今日は来てくれてありがとうございます」と観客に感謝の思いを伝えるなど人のよさがにじみ出る瞬間も。「“悪いGLAY”、もっともっと行こうぜ!」というTERUの言葉に続いたのは「はじまりのうた」。“悪いGLAY”というよりは“良いGLAY”の一面を凝縮したナンバーが、ドームにさわやかな空気を送り込んだ。今の季節にふさわしい「サバイバル」を経て、TAKUROとHISASHIの弾く憂いたっぷりのイントロから「TWO BELL SILENCE」へ。観客には予想外の1曲だったようで大歓声が起き、その声と期待に応えるようにセンターステージの4人は渾身のプレイを展開した。
日が暮れ始めると4人は“悪いGLAY”を一時封印し、親子の愛を歌ったバラード「COLORS」や、メロディアスなサウンドや郷愁を誘う歌詞が印象的な「シキナ」を続けて演奏した。さらに、TERUの「皆さんに僕らの仲間を紹介したいと思います。日本のディーヴァ、MISIA!」の声から真っ白なドレスのMISIAがステージに姿を見せ、観客はびっくり。MISIAは「最高!」と会場の熱狂ぶりを絶賛。「白い衣装ですが、事務所通してませんから」と冗談を飛ばし、「(今日の“悪いGLAY”の)“BAD”って、カッコいいってことでしょ? みんなもそう思うでしょ?」と観客に同意を求めた。TERUはMISIAの言葉を受けて「闇MISIA来ました!」と笑い、彼女と一緒にセンターステージに移動し「YOUR SONG with MISIA」につなげた。サビではTERUとMISIAの朗らかなハーモニーが響き渡り、温かな空気がステージから広がっていった。
10分の休憩とファン参加企画「GLAY DEMOCRACY Photo 3D」の撮影会を挟んだのち、TAKUROが「メットライフドームで聴きたい曲」の中からランキングワースト3をランキング形式で披露することをシリアスな口調でアナウンスする。果たしてワースト3位に選ばれたのは、アルバム「JUSTICE」収録の「SMILE」だった。TERUは「悲しみで涙が止まりません……でもみんなで声を合わせて、1位のような『SMILE』にしていきましょう」と言いながら、メンバーの笑顔を集めたオフショットやライブ映像を流しながらパフォーマンスをスタート。TERUの歌声に合わせて徐々に合唱が広がり、ドーム内にピースフルなムードが漂った。続いてワースト2位として紹介されたのは「Time for Christmas」だった。JIROはサンタ帽子を着用して、雪を模した紙吹雪が散る中で真顔で淡々とベースをプレイし、TERUは季節外れのクリスマスソングをマイクを握りしめながら切々と歌い上げた。曲が終わるとTAKUROは「あのJIROが……TERUが買ってきたサンタ帽を何年も何年も被らなかったJIROが今日は被ってくれました! GLAYのカレンダーにJIROがサンタ帽を被った日として記録したいと思います」と喜んだのち、「投票結果を見たとき、TERUは『新曲?』って言ってました」とワースト1位に選ばれた「WHY DON'T WE MAKE YOU HAPPY」を紹介した。投票結果をスクリーンの右上に映しながら、4人は最下位に選ばれたナンバーを丁寧に演奏。曲の終わりと同時にスクリーンで「WHY DON'T WE MAKE YOU HAPPY」の投票数が1票しか入っていなかったことが明かされるとあちこちから笑い声が上がった。
遊び心たっぷりのコーナーを終えると、TERUが「まだまだ“悪いGLAY”は続きますんで、この曲でもっともっと皆さんの悪い部分を引き出していきたいと思います!」と述べ最新曲「JUST FINE」がスタート。さらに4人は初日にも披露した「ピーク果てしなく ソウル限りなく」「彼女の”Modern...”」といった新旧のライブの定番曲に加え、HISASHIがドライブ感あるギターをかき鳴らすロックチューン「coyote, colored darkness」をプレイ。この曲では無数のレーザーが飛び交い、火炎が上がるなど刺激的な演出が曲の魅力を一段と引き出していた。
爽快な余韻を残した「XYZ」で本編終了後も、“悪いGLAY”のステージは終わらずアンコールへ。まずは屋台がステージに設営され、酒を酌み交わすメンバーの姿がスクリーンに映し出される。続いて哀愁たっぷりのBGMに乗せてギターケースを持ったTERUがステージに登場。ニヤニヤしながらTERUを見やるTAKURO、HISASHI、JIROを横に、TERUはアコースティックギターを抱えGLAYの代表曲である「HOWEVER」を弾き語り始めた。柔らかな空気が漂う中、HISASHIが歌詞を口ずさんだり、JIROが声援を送ったり、気ままな雰囲気でライブは進行。途中で屋台の店員に扮したTOSHI(Dr)やJIROがギターケースにおひねりを入れると、TERUは「あざまっす!」と低姿勢でお礼を口にした。
その後のMCコーナーでは、JIROは「みんなにも楽しんでもらうけど、俺たちのほうが楽しんでいるんじゃないかという新しいスタイルのライブができたかなと思います。俺たちは最高に楽しかったです!」と笑顔を弾けさせ、“悪いGLAY”の首謀者と言えるHISASHIは「すいませんでした!」といきなり謝罪。そして「ありがとうございました!」と叫んですぐさまマイクの前を離れた。TAKUROはTERUが弾き語った「HOWEVER」について触れ、「あれはTERUさんが酔っ払うと、ウチでやってくれるやつなんですよ」「皆さんは“安EVER”の目撃者というか……おめでとうございます。あと、今日のほとんどのチケット代はほとんどMISIA代です!」と冗談を飛ばす。しかし、最後は「25周年の旅の途中でこんな素敵な時間をいただきありがとうございます。ここからアルバムのリリース、『HOTEL GLAY』と待ってますので、よろしくお願いします」とリーダーらしい言葉を口にした。またTERUは「皆さんの声と笑顔があれば、5年、10年、20年とやっていけるのでこれからもよろしくお願いします」とファンとの“未来”を約束した。
しかし、メンバーのトークが作り出したほのぼのとした空気は「誘惑」で激しさを帯びたものに一変。そして2日間のラストナンバーとして届けられたのは、GLAYが常日頃から口にしている「夢を見ることの大切さ」を歌った「BEAUTIFUL DREAMER」。TERUの「これから一緒に夢見ていこうぜ。みんなが夢を見てくれることが俺たちGLAYの夢だ!」という宣言を合図に、ステージ上のメンバーは全力のパフォーマンスを届けた。2時間半のライブを終えた後もメンバーはトロッコに乗り込み、会場をくまなく回り、ファンに別れを告げる。メインステージに戻ったあとにTERUは「次のアリーナツアーに向けて体力つけていこうぜ」「待ってるからな! みんなの街に行くその日まで行ってきます!」とシャウト。その言葉にファンは「行ってらっしゃい!」と返し、2日間のライブは終わりを告げた。