7回まで福本陽生(はるお、3年)が守った星稜の2塁ベースは、8回から山本伊織(同)に渡った。東京と神奈川を隔てて流れる多摩川を挟んで、福本が東京側の世田谷区、山本が神奈川の高津区で育ち、小学時代は同じ世田谷タイガースで、ともに内野手として汗を流した仲だ。
地元の通学生が多い星稜は、国内留学組に運動部の寮がある。野球部の3年生は4人だけ。サッカー部の下級生と同居する。星稜はサッカー部も全国区の存在で「お互いに刺激し合ってます」と、2人は言う。
中学でチームは別々になったが「高校が決まったら連絡し合おうと約束していたら、2人とも星稜でびっくりした」と、福本。友情は続いて、この日は、ポジションまでバトンパスした。
山本は「守備のスペシャリスト」を自任する。9回、難しいセカンドライナーを横っ跳びで好捕すると、福本は「さすがです」と、自分のことのように喜んだ。
喜びに沸くロッカールームで、2人は声をそろえた。「あと2つ」。金沢に新天地を求めた2人に優勝の2文字がはっきり見える。 (スポーツジャーナリスト・満薗文博)