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「手詰まり感漂う日銀の金融政策」(ここに注目!)

神子田 章博  解説委員

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日銀の今後の政策を決める金融政策決定会合がきのうから二日間の日程で開かれていて、追加的な金融緩和に踏み切るのかどうか注目されています。

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Q1.金融政策の手詰まり感ってどういうことでしょうか?

A1.デフレ脱却をめざす日銀の黒田総裁は、企業が銀行からお金を借りやすくなるように、量的緩和やマイナス金利といった前例のない政策を打ち出してきました。経済活動が活発になって物価を上昇させることを狙ったものですが、日銀が目標としている2%の物価上昇率には、依然として遠く及ばず、政策の効果を疑問視する声もあがっています。こうした中、市場関係者の間では、ヘリコプターマネーという夢のような政策に期待する声が高まっています。

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Q2.ヘリコプターマネー、ってどういうものなんですか?

A2.非常に簡略化して言いますと、空飛ぶヘリコプターからお金がばらまかれるように、中央銀行が大量のお札を刷って政府にわたし、景気対策の資金源にあてるという政策です。通常常であれば、減税や給付金支給など景気対策の財源は、政府が借金をして調達します。しかし借金ですから、いつかは返さなければなりません。このため国民としては景気対策の結果一時的に使えるお金が増えても、将来国が借金を返すために増税するんじゃないかと思うと安心して使えない。しかしヘリコプターマネーは中央銀行が必要なお金を刷るだけのことですので、政府は将来借金を返済する必要はありません。国民も増税されるおそれはない。ということで、手にしたお金を安心して使えるという理屈です。

Q3.まさに夢のよう、いいことづくめに聞こえますが、本当にそんなことをしていいんでしょうか?

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A3.良くないんじゃないでしょうか。というのも、深刻な副作用が考えられます。まずお金の量が激しく増えるわけですから、物価のすさまじい上昇=ハイパーインフレを招く懸念があります。またたやすく財源を確保できるので財政規律も失われてしまうおそれもあります。いわば掟破りの政策といえ、黒田総裁も「中央銀行の独立性という観点から、実施はできない」としています。あくまで市場が一方的に期待しているにすぎませんが、外国為替市場では、期待先行から、ここ二週間ほど円安傾向が進んでいます。
こうした中、日銀が、市場をがっかりさせないような実効性のある政策を打ち出してくるのかどうか注目したいと思います。

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