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(なつ)赤ちゃん。
赤ちゃんが… できてた。
私は 仕事を辞めるわけにはいかないよ…。
辞めたくないよ…。
(坂場)たとえ 契約になったとしても仕事を続けたいなら好きなだけ続ければいい。
それで もし 会社がその後の君の仕事を認めれば次からは ほかの女性も働きやすくなるだろ?
子どもを育てながらアニメーターを続ければそういう戦いにもなるんだ。
君が その道を作るんだよ。
道を作る…。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
♪~
(下山)おっ なっちゃん 元気してた?
はい。
あ… 僕に 何か用?
うん… あっ 神っちも ちょっと。
(神地)えっ どうかしたの?
ちょっとだけ いい?
本当か!うん。 今 3か月だって。
なっちゃん!あ… ひょっとして イッキュウさんの子?
ひょっとしなくても そう!あ…。
おめでとう なっちゃん!ちょっと 声が大きいです。
会社には これから言うつもりだから。
ああ… で 何て言うの?
仕事を辞めるつもりはないからそれを言うつもり。
(神地)そうだよな。私は たとえ契約になっても仕事を続けるつもりだから そのことを先に 2人に言っておこうと思って。
イッキュウさんは 何て?
イッキュウさんも たとえ契約になっても続けていいと言ってくれてるから。
よし 一人で言いに行くことはないよ。
みんなに話そう!
ん? みんな?
ねえ ちょっと 神っち?
仲さん! ちょっといいですか?(仲)うん?
えっ ちょっと待って。どうしたの?
なっちゃんが できたそうです。
うん… 「魔法少女アニー」?
アニーのことじゃありません!子どもです!
えっ…。
あの… 子どもが できたんです。そうです!
赤ちゃん… 赤ちゃんか!
あの ちょっと 声が…。
それは おめでとう なっちゃん!ありがとうございます…。
お~い みんななっちゃんに 赤ちゃんができたぞ!
おめでとう!
(拍手と歓声)
ありがとうございます…。
それで なっちゃんは仕事を辞めるわけにいかないんです。
アニメーターを続けたいんです!
イッキュウさんは いまだ 定職には就いていませんから 大変なんですよ。
そうか…。
なっちゃんは 辞める気はないんだよね?はい。
なっちゃんは たとえ契約になってもいいと言っています。
うちの奥さんはそれで辞めましたけどもなっちゃんの場合はしかたなく契約でいいと言ってるんです。
それでいいんですか!? 仲さんは。(井戸原)おいおい おいおいおい…。何が言いたいんだよ?仲ちゃんに どうしろってんだい?
仲さんだけに どうこうしろと言ってるわけじゃありません。
これは アニメーター全体の存在価値が問われているんです!
なっちゃんが ここまで経験を積んでここで習得してきた技術はそう簡単に 代わりが見つかるものではないでしょう!そのなっちゃんを 社員じゃなく契約にするということは会社が 全くその価値を認めないということです!それで いいんですか!?
今 なっちゃんを守れるのは男でも女でもない俺たち アニメーターの仲間しかいないんですよ。
神っち…。
よく分かったよ。
なっちゃんが望むなら僕は いくらでも協力するよ。
仲さん…。
君の本心は どうなんだ?契約でいいのか?
嫌です。 できれば このまま続けたいです。
ほかの女性アニメーターにもそういう道を作りたいんです!
よし。 それじゃ それをみんなで言いに行こう。
そうこなくっちゃ!テレビ班にも声かけてきます。
どうやって交渉するんだ?
僕に考えがある。えっ…。
(ノック)
・(山川)はい。失礼いたします。
(山川)ちょっ… おい…何なんだ? 君たちは一体。
山川社長 作画課の奥原なつよりご報告があります。
何ですか?
私は この度 その… 子どもができました。
それは… おめでとうございます。
ありがとうございます。
分かりました。産休を取りたいということですね?
(神地)それだけじゃないんです!
その産休後に 契約に切り替えろなどと言わないでもらいたいんです!
うちの妻の時のように。
どうか お願いします!
君は 何なんだ?
これは 一体どういうつもりですか?
ほかの人を巻き込んでまるで 組合のデモじゃないですか!
(仲)そう思って頂いても差し支えありません。
仲さん 井戸原さん あなたたちまでいつから組合員になったんですか?
我々 アニメーターは 結束の固さを信条に仕事をしております。これは 組合を超えた我々一人一人 個人的な支援とお考え頂いて結構です。
我々は いちアニメーターとして奥原さんの意思を尊重したいと思います。
奥原なつを契約にするなら我々全員を契約にして下さい。
お願いします!お願いします!お願いします!
お願いします!お願いします!お願いします!
おい… ちょっと待ってくれ!
契約というのは なにも意地悪で持ちかけてるわけじゃないんだ。
働きやすいと思って提案してるだけなんだよ。
出勤時間が自由になるからですか?そうです。
赤ちゃんがいればどうしたって 長くは働けなくなる。
以前と同じ責任を背負えばどうしたって 周りに迷惑がかかるでしょ。
それこそ 結束を乱すことになるでしょ。
だから 契約にすれば自由に時間を使って働けてその方が楽でしょ。
私は 楽がしたいわけじゃありません。
お金が欲しいわけでもありません。
仕事でもっともっと成長していきたいんです。
いい作品を作りたいんです!
どうして それが 子どもができるとできないんでしょうか?
今までは当たり前だと思っていたことを会社から望まれなくなることが一番苦しいんです!
♪~
現実問題として 望んでも期待には応えられないでしょう。
ここまで来たら はっきり言うけど君には 次の作品で作画監督になってもらうつもりだったんだよ。
えっ…。テレビで作監を?
そう。 作画全体の責任を持ってもらい演出に近い責任を担うことになる。
奥原さんは その作画監督に女性としては初めて抜てきする予定だったんだ。だから 妊娠の話を聞いた時は正直 がっかりしたんだよ。いや おめでたい話だからねがっかりと言っちゃ失礼だけど。
やらせて下さい!
是非 やらせて下さい!
なっちゃん…。激務だよ 作画監督は。
本当に大丈夫? なっちゃん。
はい。 大丈夫です。
やります! やってみせます!
子どもを産んでも できると言うんだね?
はい… できます。
よし 分かった。
それなら 君の意思を尊重しよう。引き続き 社員として頑張ってくれたまえ。
(神地)やった~!
よ~し 頑張れ! ハハハハ…・。
(拍手)
♪~
℡
はい 坂場です。
もしもし 私。
ああ どうした?
会社に話したんだわ。
今までどおり産休明けも働けるようになったから。
そうか… それは すごいな。すごいことをやったな。
私じゃなくて みんなが…。
みんなが 私の背中を押してくれて…。
うん。℡それでね…。うん?
あ… いいわ。これは 帰って ゆっくり話す。
とりあえず 大丈夫だから。 うん。
じゃあね。
♪~
よし…。
母さん 頑張るぞ!
なつよ… 予測もできない未来が君を待っている。
恐れず 来週に続けよ。