トロツキー主義は極左冒険主義ではなく「極右」である

 

 

 

 

　なぜかというに，トロツキーの理論※は，あきらかに実現不可能にして頓珍漢なお花畑式の革命理論を展開するだけでなく，主にマルクス・レーニン主義＝スターリン主義にたいする執拗な攻撃をくり返すものであるからだ。既存の社会主義国家を徹底的にまもらずして，どう共産主義を，世界革命を実現するというのだろうか！　とくに「反スターリン主義」なる理論を掲げるトロツキスト系の新左翼※は，反帝国主義と反スターリン主義を同時に（！）やるとうそぶいているが，そんな二正面作战に精を出していて帝国主義勢力を打倒できると思っているのだろうか。じつに滑稽だ。

　ある有名なトロツキスト系団体の主張をみると，そこには「中国共産党がどうなろうと，われわれの目的は変わらない。帝国主義勢力を打倒するとともに，中国の労仂者と団結してスターリン主義の反革命中国共産党をも打倒する」というような文章があった。笑わせてくれるじゃないか。中国共産党のなにが反革命だと言うのか！　反革命はお前らトロツキストではないか。結局，奴らのようなトロツキストは，スターリン主義を攻撃することだけが目的と化していて，帝国主義の打倒は頭からぬけ落ちているのだ。　中国共産党の功績は計り知れない。現代の中国を見るがいい。中国の女性はみなとても強く，自分の考えと価値観をしっかりと主張し，多くが結婚後も仕事をつづけ，男性と同じく社会でおおきな活躍をしているのが分かるだろう。中国の女性友人はみな言っているーー私たちは性別平等を享受している，と！ーー自分も中国の女性は強くてかっこいいと思っている，と！ーー確かな性別平等があるから，中国はすてきな国である，と！

　性別平等を実現するということは，たいへんに難しいことだ。まず既存の文化や悪習の多くをたち切って，そのうえ「悪い」宗教をも抑え込まねばならないのだ。イスラム国家を見たまえ。いまも女性は劣悪な環境におかれ，男の奴隷とされているではないか！　キリスト国家を見たまえ。先進国のキリスト国家ですら，女性の中絶を禁止せんと躍起な政治家がいるではないか！

　現代の中国社会はひじょうに優れたバランスの上に大きな発展をなし遂げているのだ。野蛮なカルト宗教は，既におおむね粛清されている。中学や高校でも「カルト宗教に気をつけろ」という教育がちゃんとされている。日本にそのような教育があるだろうか？　ないからこそ，統一教会やオウム真理教に騙され，人生を台無しにする人が続出するのではないか。そもそも，これら宗教が野放しにされていること事態がおかしいのだが。

　もういちどトロツキストに問う！　ほんとうに良いのか？　ほんとうに中国共産党を打倒するのか？　ほんとうにスターリン主義を悪者扱いするのか？　マルクス・レーニン主義はスターリン主義の同義語であり，毛沢東思想はマレ主義の中国版である。そして中国共産党は公式理念ににマレ主義と毛沢東思想をかかげ，いまもスターリンを功績７・誤り３ち評価（中国共産党による毛沢東評価と同じだ）しているから，中国は確かにスターリン主義である。その中国は，これほどの偉業を成し遂げているのだ。もちろん性別平等のみならず，古来よりつづく地主制度の廃絶など，功績は枚挙にいとまがない。ソ連やキューバ，朝鮮に於いても同じような進歩がある。スターリン主義は，大きな進歩的政策をもたらしたのだ。

　だがトロツキストはどうか！　四六時中スターリン主義の悪口と，既存社会主義国家の打倒をさけぶばかりで，何の功績もないではないか。なにが「中国の労仂者と手を結んでスターリン主義の中国共産党を打倒する」だ。ばかを言ってくれるな。中国革命がなし遂げた偉大な成果をぶち壊しにする気なのだろうか。中国の女性をふたたび男尊女卑の地獄に突き落とし，纏足でもやって社会から排除したいのか。おそらくそうなのだろうーー多くのトロツキストがソ連軍のアフガン解放をもうれつに批判したあげく，男尊女卑反革命の悪魔集団・タリバンを反米の斗志などと礼賛しているのだから！

それだけではない。トロツキストはきまって「スターリンは世界革命を捨て一国社会主義に閉じこもった裏切り者なのだ！」というが，これこそ無知の極みなのである。まずスターリンは一国社会主義を訴えはしたものの，同時に理念としての世界革命は堅持することが決定されているのだが，トロツキストはそれすらも知らないのだろうか。

　またトロツキーは当初から出来もしない方法による世界革命を主張していたのである。たとえば，トロツキーはドイツに於けるナチズムの発生をみて，これは危険であるからいますぐ革命軍を送り込んでナチ党を排除せよと。そしてドイツ共産党による革命を直接たすけよと要求していたが，当時の状況をみれば不可能なたわ言にすぎない。国際帝国主義は当初，ナチスを利用してソ聯を倒そうとしていたわけであるし，またソ聯国内も産業や軍備が未発達であって，もしそんなことをすればナチスのみならず国際帝国主義の軍事攻撃を四方八方から受ける形になってソ聯は消滅していたであろう。そうなれば誰もナチスを抑え込むことができず，世界は荒廃の地獄と化していたのは明らかだ。

　当時スターリンはソ聯の後進国的状況をよく理解しており，一刻もはやい工業化の必要性を痛感していたのだが，社会主義国の近代化に投資する国外資本家などいようはずもなく，ソ聯は安価な穀物や石油を国際帝国主義諸国に売りさばき，その金で技術や設備を買うしか近代化の手段はなかった。だが考えてみてほしい。これから世界革命をやるぞと言っている国に対して，どこの帝国主義国が技術や設備を売り渡すというのだろうか！？　そんな生やさしい帝国主義国はない。であるからには，一国社会主義論を発表することによってソ聯は世界革命をあきらめたのであると，右傾化したのであると，国際帝国主義諸国に「思い込ませ，安心させる」必要があったのだ。この偽装はみごと功を奏し，ソ聯は米国にも並ぶ重工業化と軍事力に強化をなし遂げ，ついにドイツ同盟軍３００万を打ち破ることによって，世界をナチズムの恐怖から解放したのみならず，東欧諸国や中国，朝鮮北半部にまで革命を広めるたのである。これこそ世界革命の一環ではないか！　もしもトロツキー方式であったなら，東欧や東アジアの解放もなかったであろう。

　もはやトロツキストにつける薬はない。多くの新右翼（いわゆるネトウヨ系）はただ中国を批判したいだけでロクな知識や頭脳もない愚か者の集まりだが，トロツキストもまたただ中国や朝鮮，旧ソ聯やキューバやなど，スターリン主義にもとづく社会主義国家を批判したいだけで，そのためにはタリバンやアルカイダをも礼賛し，世界の進歩を内部からつぶす反革命集団であり，出来もしないことを騒ぐ夢想家集団であり，もはや「左」ですらない極右・分裂主義者なのである。世界革命を実現するにあたって，真の革新派・進歩主義者は，必ずやトロツキー主義を殲滅するのでなければならない。

 

 

 

 

※スパルタシスト及び第四インター「かけはし」を除くトロツキスト系の新左翼は，みずからを「トロツキー主義をも超克した新思想にもちづく革命的左翼」と定義するが，いくら本人がそう言ったところで，実際の主張をみればトロツキー主義そのものであり，机関紙等に於いてもスターリンを罵倒し，トロツキーを救世主のごとく祭り上げている以上は，正真正銘のトロツキストである。

 

※ここでいう「トロツキーの理論」とはトロツキー主義のことであり，トロツキーがくたばるまでの，奴の発想や理論，実践の総体を指す。