◇16日 中日ーヤクルト
神宮の夜空にまたもやアーチを架けた。堂上がシーズン自己最多を更新する今季11号の2ラン。貴重な追加点を挙げて先発のロメロを援護した。
初回、大島の2ランで先制した直後だった。1死からビシエドが中前打で出塁。2死となり、迎えた打席だった。2―2から小川の7球目の133キロのフォークをとらえた。打球は中日ファンで埋まる左翼席に突き刺さると、悠々とダイヤモンドを一周してホームに帰ってきた。
「追い込まれていたのでなんとか食らい付いていこうと思っていました。ホームランになってよかったです」
球場の相性の良さは抜群だ。この試合前まで神宮では18打数6安打の打率3割3分3厘。今季放ってきた10本塁打中5本がこの球場での一発だった。「狭い」と評される球場ながら、圧巻の強さを示してきた。そんな好相性もあって、ヤクルト戦ではアーチ7本というキラーぶりだ。
チャンスを逃すわけにはいかない。三塁のレギュラーだった高橋が離脱した直後の7月17日の阪神戦(豊橋)で、堂上は三塁で先発出場。早速本塁打を放って結果を残すと、その後も12試合で三塁のスタメンに名を連ねてきた。
この日、離脱していた高橋が1カ月ぶりに1軍復帰。ベンチスタートで控えていた。規定打席にはわずかに届いていないが、打率3割1分9厘の打棒を誇る主将が戻ってきたことに危機感は強まっているに違いない。
試合前練習では、全てのメニューを終えてベンチ裏に引き揚げる前に内野フェンスに脚をあずけて逆立ち。「頭に血が上っていたので」と、有り余る気合をクールダウンさせるかのような行動を取っていた。そのまま試合に臨み、第1打席から結果を出した。
今季はプロ13年目で初めて開幕スタメンを勝ち取った。ドラフトでは、高橋と同様に3球団競合の末に1位で入団した男。今、野球人生の大きなチャンスを迎えていることは分かっている。何が何でもしがみつく。(谷大平)