京都アニメーション放火殺人事件で、京都市伏見区の現場を訪れる海外からのファンには、インターネット上で違法に配信されたものではなく、正規配信の京アニ作品を視聴している人が目立つ。「お金を払って応援したい」との気持ちからだ。制作者に正当な対価が支払われることになり、海賊版にノーを突き付けるファンの意識を専門家は評価する。
東京の日本語学校に留学している中国人の梁瀚夫さん(18)は、10年ほど前までは違法にアップロードされた作品を見ることが多かった。日本アニメのファンになってからは中国の動画配信サイトの会員になり、合法的に京アニ作品を視聴。「制作者を応援したいからお金を払う」と話す。
中国ではアニメ人気の高まりで近年、動画配信業者が日本作品を扱う権利を得る動きが加速。筑波大大学院に通う中国人のかく沢函さん(26)は中国の大手動画配信サイト「bilibili(ビリビリ)」で京アニ作品を楽しんでおり、年間約3000円を支払っている。
英国人の女子大生ジョアナ・ヘニーさん(19)も「無料の違法動画を検索して見ることはしない」との立場だ。
アニメ産業に詳しいジャーナリスト数土直志さんは「正規に配信された動画の方が画質がきれいで、リアルタイムで最新作が視聴できる」とメリットを指摘。海賊版に背を向ける海外のファンがいることは「アニメ市場にとってよい流れだ」と話した。