“分裂”したVTuberキズナアイに、視聴者は低評価60%の「NOサイン」
バーチャルYouTuberで最多の登録者数をもち、VTuber界の“親分“とも呼ばれる「キズナアイ(A.I.Channel)」(登録者数268万人)の新たな試みに、ファンからの低評価が殺到しています。
1人ではない“キズナアイ”
低評価の原因となったのは、キズナアイの“分裂”と呼ばれる新たな試みでした。
2019年5月25日、A.I.Channelは「キズナアイが4人いるって言ったら信じますか? #1」を投稿しました。
この動画では、「いつも一緒に動画を作っている仲間」として、編集やゲーム実況を担当する“キズナアイ”が登場。
これまでは1人しかいなかったはずが、声や姿(3Dモデル)は全く同じ“4人のキズナアイ”が同じ画面にいる、という不思議な現象が起こりました。
この動画をきっかけに、「#キズナアイな日々 」というタグがつけられた動画が10本投稿されました。
はじめは同じ声だった4人のキズナアイたちでしたが、「セクシーボイス対決!キズナアイ VS キズナアイ!? #9」では、同じ外見に別の声の“キズナアイ”が登場。
「もしもアイちゃんが幼馴染だったら? #10」では、さらに別の声をしたキズナアイが登場しました。
加えて6月30日、自身の3周年を記念して開催された「A.I. Party! 2019 〜 hello, how r u? 〜」では、中国語を話すキズナアイがお披露目されました。
これを機に同じ外見なのに別の声をしたキズナアイが動画で共演を始め、ファンは「キズナアイが分裂した」と表現しました。
新たなキズナアイ、視聴者の反応はさまざま
分裂した4人のキズナアイに、視聴者からの反応はさまざまでした。
新たに登場した別の声のキズナアイには、
「新しい声ちゃんも可愛い…!!!!!」
「でも今までのアイちゃんの声と性格が一番大好き!」
「セクシーボイスめっちゃ良き…」(動画コメント欄)
といったコメントが寄せられ、コメント欄は大きな盛り上がりを見せました。
一方で、なじめない視聴者からのコメントも多数寄せられました。
「国民的アニメの声優が交代になった時の最初の違和感と同じ現象が今自分に起きてる。」
「分裂は戻せないとしても、せめて色ぐらいは変えて、見分けつくようにしてよ」
「困惑しているキズナーは俺だけではないはず…」(動画コメント欄)
特に、同じ外見で見分けが付きづらく困るという視聴者が続出していました。
様々な反応があったキズナアイの分裂でしたが、「#キズナアイな日々」のタグがつけられた動画の高評価率はすべて90%を超えていました。
この時点では、バーチャルYouTuberとしての可能性に挑戦するキズナアイに対して、視聴者はおおむね好意的な反応を示していたと言えます。
共演動画、低評価が60%を超える
ところが、別の声のキズナアイが出演を繰り返すうちに、視聴者の反応に変化が現れました。
7月7日に投稿した「七夕の話を2人で考えたらありえない展開にwww」は、68,000回再生され、高評価2500、低評価110、低評価率4.2%。
7月24日に投稿した「ひたすら相づち打ってたら、イライラMAXで草www【ドッキリ】」は、98,000回再生され、高評価3500、低評価560、低評価率13.7%。
8月6日に投稿した「【ドッキリ】ゲーム中バレずにどれだけ変顔できるのか!?【検証】」は、140,000回再生、高評価3600、低評価7200、低評価率66.6%。(データはすべて8月13日時点)
別の声のキズナアイが出演を重ねるにつれ、低評価率が高くなっています。
オリジナルのキズナアイがおらず、別の声のキズナアイのみの動画は低評価率が60%突破。
これまでA.I.Channelでは、低評価率が10%を超えることもまれでしたので、60%以上の低評価率は極めて異常な事態といえます。
コメント欄でも
「Vチューバー人気な理由はビジュアルだけじゃないってほんとに分かる…」
「人格と個性に惹かれたから、見るようになった
それらが消えたら、見なくなったのも当然なことだと思う」
という失望の声が寄せられています。
キズナアイ1人の動画は高評価
一方で、これまでと同じくキズナアイが1人で行う活動に対しては、安定して高い評価がされています。
例えば、キズナアイが映画「アラジン」の主題歌をカバーした動画「A whole new world (English) /covered by キズナアイ【歌ってみた】」(8月10日)は、24万回再生され、高評価2.3万、低評価740、低評価率3.0%。
あくまで低評価が殺到しているのは、別の声のキズナアイが出演する動画のみ。
視聴者から、キズナアイの分裂に対して明確な「NOサイン」が出されていることが分かります。
混迷を極めるVTuber界隈
2017年の年末からの大ブームで、大量にVTuberが生まれ、すでに飽和状態とも言われるVTuber業界。
人気はトップを走るVTuberに集中し、VTuberの中でも格差が広がっています。
(参考記事:イケブクログ「【底辺の波】バーチャルYouTuberの90%は動画再生回数10万回以下!?」)
そんな中、VTuberグループ「ゲーム部プロジェクト」(登録者数36万人)は突然の声優変更で炎上しています。
(関連記事「ゲーム部プロジェクト、声優変更で炎上。半日で1万人以上登録解除」)
今回のキズナアイの新たな試みも、ファンに受け入れられず低評価が殺到しました。
迷走しているようにも見えるVTuber業界、今後は一体どうなるでしょうか。