文大統領は「分断を乗り越え、統一に向かう道は責任ある経済強国となる近道だ」「日本を越える道でもあり、日本を東アジア協力の秩序の中に導く道でもある」とも指摘した。文大統領は「平和経済」に対する疑問の声を意識したかのように「平和経済に我々が持つ全てのものを投入し、新しい韓半島のドアを切り開きたい」との意欲も示した。
文大統領のこの日の演説は、2017年7月に語った「新ベルリン構想」とはかなりの違いがある。当時、文大統領は南北関係と外交・安全保障政策の基本的な枠組みに言及しながら「北朝鮮の崩壊は望んでおらず、いかなる形の吸収統一や人為的統一も追求しない」「韓国政府が実現を目指すのはただ平和だけだ」などと語っていた。新ベルリン構想は、任期中の統一はもちろん自由民主主義市場経済を基盤とした積極的な統一よりも、南北双方の体制を尊重すると同時に平和に重点を置くものだった。
■統一の方式には言及せず「北体制を保証」
文大統領は統一の時期については提示したが、その方法論は語らず、ただ「互いの体制の安全を保障する」として北朝鮮の体制保証を強調した。韓国と北朝鮮は市場経済と閉鎖経済、民主主義と全体主義という国家体制の違いがあまりにも明確だ。文大統領はこれらの違いを維持しながら、どのようにして経済の統合や政治的統一を成し遂げるかには言及しなかった。与党・共に民主党などからは、一つの国が二つの体制を認める「一国二制度」や「連邦制統一」などを念頭に置いたのでは、などの見方も出ている。
しかし専門家らは「市場経済と閉鎖経済の勝敗はすでに明らかになった」とした上で「韓国政府が明確に推進すべき統一の方式は、自由と人権を尊重する民主主義市場経済と体制であるべき」と指摘する。峨山政策研究院安保統一センターのシン・ボムチョル所長は「金正恩氏は体制保証を文大統領ではなく米国に要求している」「文大統領が北朝鮮の体制保証について言及した背景が気になる」などと疑問を呈した。