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第14回『カルメン』公演までの道のり その四〜練習中盤

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08 /10 2019
ブログ担当の眉毛男優です。第四幕に入ります。

その四〜練習中盤

練習中盤というのは私の感覚であって、コッラヴォーチェ全体としては追い込みに入ったのが6月。各幕のパートパートの練習から、幕ごとの流れを追う練習になった。もちろん、セリフ、歌詞は各人の中に入っていることが前提なのだが、悲しいかな、途中参加の私はまだそんな状況に達していない。「いままでの試験、レポート、営業実績だって直前になんとかしてきた。今回も最後の追い込みでなんとかなるさ」と楽観的な見込みを保つようにしてはいたものの、一方で、直前の追い込みが効かずに、痛い目を見たことも多々ある、という自覚もあり、全体練習前の個人レッスンは可能な限り全て入れたし、自宅で世間的には配偶者、私個人の感覚としては絶対君主の女房殿にメロディー練習をつけてもらっていた(註 偉大なる女房殿は元音楽教師。拙宅にはピアノがあり、伴奏を弾いてもらいながら、メロディーのお手本を示してもらうことができた。今回ほど彼女の「前職」をありがたく思ったことはない)。

私の心境はさておき、具体的な演技方針がどんどん決まっていき、実際の舞台での立ち位置や、出入りを意識した動きの指導や、実際の演技の指導が入ってきた。

私のキャストとしての出番は一幕と二幕が主で、そこでは主役のカルメンならびに相手役のドン・ホセと絡むシーンが多いし、私の歌から始まるシーンも少なからずある。セリフも多い。

ここで心がけなければいけないのは、劇全体の醸し出す世界をぶち壊さないということだ。例えば「ハッ、女に興味がないだと?信じられんな!!」というセリフがあるのだが、私に全権が与えられたとすると、このセリフの後には「お前はホモか?」というツッコミを100%入れてしまう。で、多分このセリフをいえば観客にもウケるだろう。しかし、そこで個人プレーに走ってはいけない。あくまで、作品の世界を壊さないよう、パーツの一つとして完璧でいなければならない。

おお、これはまさしくラグビーの「One for All,All for One」の精神ではないか!とビジネス本あたりでは悟ったようなことを書く著者が多いが、私は残念ながら、そこまで悟れなかった。

どこかで、絶対に自分を出して、その上でウケを取ってやる。ろくにセリフもメロディーも入っていないのに、先にそんなことを考えてしまうなど不遜もいいところだが、一人っ子は常に自分が目立っていないと悔しいのだ。雀百まで踊り忘れず、三つ子の魂百までもなどという言葉もある。50年そこそこで一人っ子という宿痾は消えないのだ(笑)。

で、一体どこで自分を出すか?ソロパートで一つ、密輸団の下っ端その3(註 三幕ではヒゲつけてその他大勢やってました)の時に一つ見つけた。

ソロパートについては二幕の「いないのか?入るぞ」と歌いながら舞台に登場するシーン。そこは、愛しいカルメンに会えるという喜びに満ち溢れていなければならない。ではその喜びをどう表現するのか?

密輸団の下っ端その3の時は、ミカエラの言葉に驚き呆れる様子を表すシーン。驚く仕草をどう表現するか?

結果、どのような演技になったかは、メンバーの皆さん及びご覧いただいた方々はわかっていると思いますので、割愛いたします(笑)。

このウケねらい演技はともかく、他の人に「どのように見えるか」ということを考えると、結局は自分が「こう感じた」というシーンを、今まで観た映画や演劇、ドラマさらには実生活で遭遇したシーンといったモノから引っ張ってこないといけない。よく言えばオマージュ、悪く言えばパクリだが、まなぶの語源はまねぶ、つまりマネすることだ。私は今までのインプットを総動員して、与えられた役「らしく見える」動作をひっぱり出すことに腐心した(註 やたらと高尚なオハナシになってしまいましたが、要は、過去の上司に人生の中で最高に嫌いってやつがいたので、そいつを参考にしたってことです)。

こんな状況の下でも時間だけは刻々と進んでいく…。

(次回に続く あ、次幕か)

第14回『カルメン』公演までの道のり その三〜練習参加

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08 /10 2019
ブログ担当の眉毛男優です。第三幕は練習に参加しはじめた頃のことを綴りたいと思います。とはいえ、五十の坂を越え、かつ、度重なるスクラムの影響で脳の機能が著しく低下している状態ですので、かなり記憶はあやふやです。前後の判断がつかなくなっているシーンも多々ありますので、ご承知おきください。

その三〜練習参加

前回の練習見学の際に、私がほぼ真っさらな状態なのに、他のみんなはすでに、きちんと歌えていることにショックを受けていたのだが、のちに雑談から、メンバーの皆さんはすでに曲目の決まった昨年末あたりから練習をしていたことを知った。それに、よくよく聴いていると、歌詞が飛んだり、メロディーが外れていて先生の指導を受けている人も散見されたので、最初ほどの緊張はなくなった。

とは言え、まだメロディーも歌詞も何にも頭に入っていない状況には変わりない。というわけで、全体練習の前にK先生の個人レッスンを受けることとなった(註 1回だけU先生の個人レッスンを受講。その際は第一幕のケンカのシーンの入りのソロのタイミングをそれこそ身につくまで教えていただきました。U先生ありがとうございました)。

私は音楽に関してはど素人で、楽譜が読めないので、音で聴いて覚えこむしかない。幸いなことに現代ではスマホに録音機能があり、一度レッスンを受けたメロディーは繰り返し復習することができる。毎回、レッスン時にはスマホに音源を記録させて、レッスン翌日からは繰り返しそれを聴いて覚えこむことに専念した。

ただし、今回は合唱のようにただその他大勢の一員として歌うだけではなく、ソロパートはあるし、歌劇ゆえ、演技の部分もある。音楽も演劇もど素人の私がなぜこんなことを始めてしまったのだろう、という後悔を感じたが後の祭。やると言った以上、今更逃げるわけにはいかない。にしても、復習をサボって、全然メロディーが入ってなくて、稽古に行きたくないと思ったことが何度かあった。なんとか、自分の気持ちをごまかして、風邪をひいた時と仕事が立て込んだ時の二回だけの休みでしのいだが。両親が公務員ゆえ、責任感は弱くはないのだが、一人息子ゆえに嫌なことからはすぐに逃げるという体質も染み付いており、天使と悪魔のささやき合いのように、練習のたびごとに私の心に葛藤をひきおこさせていたのだ。

なんとかソロのパートのフレーズが頭に入リ始めた頃、またひとつ私の心を凹ませる出来事があった。衣装の問題である。男性陣は全員、一度は兵士役として舞台に出るため、その際には軍服(らしく見えるもの)を着る必要がある。調整の結果、某アパレルメーカーのアーミーシャツにそれらしい飾りをつけることになったのだが、そのアーミーシャツ最大のサイズを以ってしても着られないのだ。正確に言うと、着られはするのだが、ボタン部分がパッチツンパッツンでちょっと動いたら飛んでしまいそうな状況だったのだ。言い忘れたが、私は身長170cm、体重120kg(練習開始当初)の超肥満体である。服は通常、デカイもの専門の店で買っている。巷のアパレルメーカーにはサイズがないのだ。

しかし、決まってしまった以上は仕方ない。減量するしかない!!

というわけで、稽古という重圧を抱えながら、同時に減量もしなければならないという状況に追い込まれた。

(次回に続く)

第14回『カルメン』公演までの道のり その二〜練習見学

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08 /09 2019
ブログ担当の眉毛男優です。
ほぼほぼ連投に近い形ですが、第二弾、いやオペラだけに第二幕か、いってみたいと思います。(一体第何幕まであるんだろう?)

その二〜練習見学

結局のところ、好奇心に逆らうことのできなかった私は、ファーストコンタクトを受けた次の練習日に見学に行くことにした。

練習会場は四谷保健センターの一室だった。公共の施設が場所を貸してるってことは、少なくとも犯罪には与してないよな、と一安心。もし、最初の練習場所が、HPに主な練習場として掲載されている早稲田のトロイカだったら、私は建物の入り口にたどり着く前の路地で踵を返していたことだろう。トロイカはイラン人が「シャチョーサン、イイクスリアルヨ」と言いながら出て来そうな、見るからに怪しい雰囲気のある場所にあるのだ。

とにもかくにも練習場にまでたどり着いて、反社会的勢力ではなさそうだと安心したのも束の間、今度は「本当に俺にオペラなんぞに参加する資格があるのだろうか」という不安が募って来た。カラオケは好きだけど、本格的なクラシックは前年の『第九』が初めてだった。その上、事前情報によると、担当するキャストのパートはバスらしい。『第九』にもファーストテナーで参加した私に、バスが務まるのだろうか?

様々な不安がよぎる中、周りが知らない人ばかりということもあり少々緊張しながら練習を見学。確かその日は第二幕を稽古したと思う。

「みんなちゃんと歌えてんじゃん!しかも楽譜を持たずに歌っている人もいる。ヤベェ、本格的に場違いな場所に来ちゃったかもしれない。『第九』の時なんか、最後の最後まで楽譜持ってた人もいたくらいなのに…。」

その日の指導はM先生だったが、結構鋭い指摘も入ってたし、指摘が入るたびに皆の顔が引き締まって行くのを感じて、いよいよヤバイよヤバイよ状態になった。それも出川哲朗がギャグでやるそれではなくシリアスなヤバさだった。

しかしながら、すでにこの時点で、参加を辞退する気はなくなっていた。なぜなら、皆が実に楽しそうだったからだ。文字通り面白そうなのだ。面白いとは、興味を引かれる事象に出会ったときに、パッと表情が開いて顔が輝くように白く見えるということが語源だという。(註 この場合はあくまでの語源通りの意味です。決して女性陣の化粧が濃かったという意味ではありません 笑)この面白そうな雰囲気に早くも飲み込まれてしまったのだ。

一旦心が決まってしまえば、結論は早い。早速参加を決定した。ボールを持ったらとにかく突っ走るのが信条のラガーマンでもある私の心が定まった瞬間だった(註 突っ走ることで随分痛い目にもあって来ましたが…)。


(次回に続く)

第14回『カルメン』公演までの道のり その一〜参加前夜

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08 /09 2019
今回よりしばらくの間ブログを担当することになりました、眉毛男優です。

さて、本来このブログは、公演までの練習について綴るものでしたが、今年はすでに8/4に公演は終了しておりますので、今年初参加だった私の、ごく私的な視点から眺めた、公演までの時間について書き綴ってみたいと思います。

というわけで

その一〜参加前夜

今年の春まだ浅き4月のことだ。私は通っていたボーカルスクールの待合室で一人の女性から声をかけられた。

「私、’コッラヴォーチェ’という集まりでオペラをやっています。今回の公演でキャストが一人足りていないので、興味があれば是非」

今思うと、彼女は笑顔だったが、その目は笑っていなかったように思う。のちにその真剣な眼差しはキャストが足りないことを真剣に憂いていたことによるものだったと知るのだが、その瞬間の私には初対面の彼女の心中を推し測る術などない。

「下手についていくと、どこかの密室に押し込まれて、羽毛布団とか、英語の教材なんかを買わされるんじゃないか?」というのが最初に湧き上がった感情。何しろ彼女の「素性」を担保するのはボーカルスクールの信頼性、もっと言えば彼女と私を共に教えているインストラクターの人柄だけなのだ。

そもそも私はこのスクールにはJPOPの類を習いに来ていたのだ。20代の頃には出せていた高音域が出せなくなったのを取り戻すというのが目的だった。前年に「第九」を歌う機会が二度ほどあり、その対策のために、一時的にクラシックのインストラクターについたら、そのインストラクターからのつながりで、いきなりオペラに誘われてしまったのだ。

帰り道で彼女から渡されたパンフを見てはみたものの、この時点での私の心境としては、「面白そうだ」が40%、「俺にオペラなんぞ出来るわけねーじゃん」という気持ちが40%、マルチ商法その他への恐怖が20%といったところだった。

(次回に続く)

2018年度 終了!

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09 /22 2018
ブログ担当てんまりです。

公演が終わって1カ月、ずいぶん昔のように思いますが、公演終了後に残されたその期の行事は、ビデオ上映会と総会。

上映会は本番の舞台の映像を皆で鑑賞。あ〜こうなってたんだあ〜と、美味しい食事とお酒を飲みながら、客観的に見れて楽しかったです。失敗も経験のうち。次回への課題につながります。

総会は、会計報告から始まり、今期の反省、各役割担当から&次回作品について、約3時間、まだ話足りませんでしたが、みっちり話しました。時間ってあっという間にたちますね。皆いろんなこと考えてるのだなあと思いました。普段は皆で話する時間って取れないので、貴重な時間だったと思います。

こうして2018年度終了しました。皆様お疲れ様でした!
来期はお休み、という団員もいますが、来期に向けて、頑張りましょう☆

CollaVoce

コッラ・ヴォーチェはオペラやオペレッタの公演を行っているアマチュアのグループです。
東京都新宿区を中心に毎週火曜日夜に練習をしています。