【計算問題】細胞周期や分裂期の時間の計算方法をマスターしよう!

生物 2019.8.9

生物の試験で出てくる計算問題。

ここがとれたら、もっと点数が取れるのに…

と悔しい思いをする人も少なくありません。
中でも、細胞周期や分裂期の時間の計算問題は入試でもよく出てくる頻出問題で、マスターしておきたいところですよね。

この記事では、細胞周期分裂期の時間の計算方法について、例題をまじえつつ詳しく解説していきます。
実際に解いてから解説を読むとさらにわかりやすくなっています。

紙とペンを用意してから、読み進めてくださいね。



1.細胞周期とは?

細胞周期の図

細胞周期は、1つの細胞が2つの娘細胞を生み出すまでのサイクルのことです。大きく分けて、分裂期(M期)と間期の2つがあります。

分裂期はM期(Mitotic phaseの略)と呼ばれます。ここでは、染色体が分かれる有糸分裂(mitosis)と細胞質が分かれる細胞質分裂(cytokinesis)が起こります。多くの細胞は1時間程度で有糸分裂を終了すると言われていますが、細胞の種類や生物種によっては非常に速いものや5~6時間にわたる長いものまであります。

間期は、細胞周期と細胞周期の間の期間を意味します。分裂期はG1期S期G2期に分かれます。Gは間という意味の英語のGapから、Sは合成を意味するSynthesisからそれぞれ頭文字をとっています。G1期で分裂した細胞が大きくなり、S期でDNAが合成され、G2期でM期に備えた準備をしています。



2.細胞周期や分裂期での問題の傾向

さて、細胞周期についておさらいができたところで、問題の種類について解説していこうと思います。
細胞周期や分裂期の時間を求める頻出問題にはいくつかのパターンがあります。
大きく分けると

・細胞周期の時間を求める問題

・細胞周期の各時期の時間を求める問題

の2つに分かれ、さらに、計算型グラフ型の2パターンに分かれます。
特に入試問題などは、この2つを織り交ぜたような問題が出題されることもあるので、しっかりマスターしておきましょう!

次からは、実際に例題を使って解説していきます。



3.細胞周期の時間を求める問題の解き方

まずは、比較的簡単なものから始めましょう。

問1

ある生物から採取した細胞塊を培養したところ、表1のように細胞数が増えた。この細胞塊の細胞周期は何時間であるか。ただし、採取した細胞が細胞周期のどのステージにいるかはまばらであり、細胞周期は一定であるとする。

標準的解答時間は5分です。
入試直前までには、2分以内に解けることを目標に、何度も解いてみてください。

 

 

問1の解答と解説
解答:27時間

それでは、解説をしていきます。

まず、細胞が増えるとどうなるでしょうか?
1つの細胞が2つに増えていくとなると、細胞数は指数関数の2n(2の倍数)ずつ増えていきますよね。
数学は難しい!指数関数ってなんだ?
と思っている人もいるかもしれません。

指数関数については、以下のリンクで説明していますが、今回は数学を使わなくても計算だけで解けます。分からない人は後で確認してみてくださいね。

指数関数を解説!グラフの書き方もマスターしよう

さて、こんな表を用意してみました。

もし、1つしか細胞がなかったら、細胞分裂ごとに表2のように増えていくはずです。
2の倍数分だけ増えていきますよね。

じゃあ、もとの細胞が10個だったらどうでしょうか?

1度目の細胞分裂では20個、2度目は40個に、3度目はさらに倍の80個に増えているはずです。
同じように考えると、最初の細胞数が10×2.5だった場合、1度目の細胞分裂では10×5、2度目は10×10個に、3度目はさらに倍の10×20個に増えているはずです。
これを利用して、

2.5×2n=40

になるようなnを求めれば分裂回数が分かります。
移行すると、

2n=40÷2.5=16

したがって、

n=4

となり、分裂回数は4回であることが求められます。
ここで、かかった時間を回数で割ると一回当たりの細胞周期の時間が分かります。

108÷4=27

となり、答えは27時間となります。

ここでのポイントは、分裂の回数の求め方です。
細胞数は、細胞周期1サイクルが終わると、元あった個数の2nをかけた値だけ増えることを覚えておいてくださいね。
また、細胞周期にかかる時間を計算する場合、ただし書きがあることが多いことも特徴です。

 

問2

表3、表4は培養した細胞の増殖数を示したものです。この細胞の細胞周期は何時間であるか。

 

標準回答時間はそれぞれ5分ずつです。
慣れてくれば、1分以内に正解を導けるようになりますので、何度も問題を解いて、しっかり身に着けていきましょう。

 

 

問2の解答と解説
解答:表3:30時間、表4:20時間

どうでしたか?
では、解説していきます。

この問題では、グラフの縦軸と横軸の交点が、細胞数の変化の推移と交わっているところを2か所見つけられれば溶けたも同然です。

表3は
細胞数が、50、100、200と倍に増えていきます。
問1の問題で解説したように、

細胞数が倍になっている=細胞周期が1サイクル終わった

ということになります。

細胞数が50から100になるときの時間は20時間から50時間、
100から200になるときの時間は50時間から80時間、

つまり、1サイクルで30時間使っていることが分かります。

表4は交点をピックアップすると以下のようになります。

この中で、細胞数が、2倍になっている組み合わせは、30時間と50時間、50時間と70時間です。

したがって、1サイクルは20時間となります。

ここでのポイントは、細胞周期1サイクルで細胞数が2倍になることです。

さらに、難易度が高くなると2倍ではないところの交点2つから、計算して細胞周期1サイクルあたりの時間を求めることもあります。

くれぐれも、グラフの読み間違えには十分注意してくださいね。



4.細胞周期から各時期の時間を求める問題の解き方

次に、細胞周期から各時期の時間を求めましょう。

問3

ある増殖中の細胞集団から、10000個の細胞を採取して細胞1個あたりのDNA量を測定すると、表6のようになった。この時の細胞周期のそれぞれのステージにかかる時間は何時間か。なお、分裂期の細胞数は500個で、細胞周期は20時間とする。

標準解答時間は5分です。

 

 

問3の解答と解説
解答:G1期:10 時間、S期:4時間、G2期:5時間、M期:1時間

まず、細胞周期の各ステージでのDNA量をおさらいしましょう。それぞれのステージでの、DNA量は、以下の通りです。

G1期:DNA量2
S期:DNA量2〜4
G2期:DNA量4
M期:DNA量4

これに当てはめてグラフを見てみると

DNA量2:G1期
DNA量2〜4:S期
DNA量4:G2期、M期

です。

また、細胞周期は20時間であること、合計の細胞数が10000個であることが前提条件としてあることを確認しておいてくださいね。
ここで、DNA量2=G1期=5000個から、時間は割合の計算で求められます。

G1期の時間=20時間×(5000÷10000)=10時間

S期については、この問題では、千個以下のものばかりで、グラフから正確な数値が読み取れないので、今回は後に回しましょう。
DNA量4=G2期+M期=3000個とM期=500個から、

G2期=3000ー500=2500個

になります。

G2期の時間=20時間×(2500÷10000)=5時間
M期の時間=20時間×(500÷10000)=1時間

となります。最後に、S期の時間ですが、全体の時間から他のステージの時間の合計を引いて、

S期の時間=20ー(10+5+1)=20ー16=4時間

となります。

今回の例題は細胞数がわかっている場合の問題でしたが、比がわかっている場合もあります。
いずれの場合も、細胞周期のあるステージ(X期とする)は、

X期の時間=細胞周期1サイクルの時間×(X期の細胞の個数・比)÷(全ての細胞の個数・比)

で求められます。



5.まとめ

今回は、細胞周期や分裂期の時間の計算方法について、画像を使って徹底解説しました。

計算問題は、苦手意識をなくせば実はすんなり解けることもあります。とくに、この細胞周期や分裂期の時間については、いくつかのパターンがあるので、それを身につけてしまえば出ても怖くありません。

演習をしながら覚えていきましょう。


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この記事の執筆者

ニックネーム:受験のミカタ編集部

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