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【高校野球】

敗戦の後で笑みを浮かべた投手 甲子園コラム~光と影と~

2019年8月14日 22時50分

2番手で登板する鳴門・竹内

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敗れた鳴門のロッカールーム。泣き崩れる選手たちの中に、笑みを浮かべる選手が1人。9回、最後のマウンドに上がった竹内勇輝投手(3年)だ。背番号は10。

徳島大会から、甲子園の初戦までを、エース西野知輝(3年)が全て完投。この日も、8回までを投げた。「きっと出番は来る」。その間、ベンチとブルペンを行ったり来たりの竹内の夏だった。先発、リリーフのいずれも出来るが、関係者は「ただ、彼の出来にはムラがある」と言う。竹内本人も「信頼を得られていなかった」と認める。

西野は8回を投げると、ブルペンの竹内の元へ向かった。そして、声を掛ける。「点を取られてごめんな。勇輝、後は頼んだ。後悔のないように、楽しんで投げて来い」「分かった」。2人は3年1組のクラスメート。仲良しの西野から託されたマウンドを、竹内は「あこがれ続けたところ。投げやすかった」と、笑みを浮かべた。球速は自己最速の141キロをマーク。1四球を出したが0点で締めた。徳島大会から7試合。この日投じた1イニング24球が、竹内の夏の全てだった。(スポーツジャーナリスト・満薗文博)

 

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