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(咲太郎)俺も けじめをつけることにした。(なつ)けじめ?
結婚することにしたんだ。
(坂場)結婚?誰と?
川村屋のマダムだ。
ええ~っ!
川村屋のマダムって あの?あの光子さんと!?
驚き過ぎだろ。そりゃ驚くでしょ!
僕は 何となくそうじゃないかなって気がしてたけど。
えっ どうして?いや 十勝の結婚式に2人で来てくれた時の雰囲気とかで。えっ…。
いつから そんなことになってたの?
まあ 俺が声優のプロダクションを始める辺りか…。
経営者になるなんて初めてだからさいろいろと あいつに相談に乗ってもらってたんだよ。
まあ そしたらまあ うん そういうことに…。
はあ… 信じられない。
お兄ちゃんとマダムが…そういうことに?
そういうことだよ。 まあ 結婚すれば母ちゃんだって 俺に安心するだろ。
安心して 俺に甘えてくれるだろ。
経済的な負担をかけても大丈夫だってそう思ってくれるんじゃないかな。
もしかして それが目的?
お金が目当て?バカ! 失礼なこと言うな!
俺は あいつの金なんて当てにしてないからな!
あいつはあいつ 俺は俺だ。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
♪~
じゃ これ よろしく。あっ はい。
お先です。(茜)うん お疲れさま。
お疲れさまでした。(一同)お疲れさまでした。
あっ もしもし 私 うん…。
あの これから ちょっと川村屋に寄ってから帰る。
うん… あっおかずは 帰りに買って帰るから。
はい。 じゃ。
♪~
(野上)いらっしゃいませ。あっ 野上さん こんにちは。 マダムは…?
お~ 涼しい…。
こっち こっち。お~ いた いた ハハハ…。
すごい…。フーテン族って呼ばれる若者たちですよ。
それが 新宿の街にあふれ出しとうとう 川村屋にまで…。
そういえば あなたも 若い頃あんな格好されてましたよね。
あなた 昔からフーテンだったんですね。
フーテンって 家があるのにわざわざ ないふりをして生きてる若者たちですよね?
私は 子どもの頃 本物の浮浪児でした。何の自慢ですか? それは。
川村屋で バターカリー食べててどこが フーテンですか。
はいはいはい… 分かりました。騒ぎは起こさないように。
マダム!(光子)なっちゃん…。
あの マダム! 昨日 私のお兄ちゃんから話を聞いたんですけど 本当ですか?
あっ うん まあ 多分…。
えっ… マダムと うちのお兄ちゃんが結婚なんて!
そんなことって 本当にあるんですか?あ… なっちゃん あのここでは なんだから奥に行きましょう… ね。
ちょっと マダム…。
マダム…。
それじゃ 本当なんですね?
そうよ。 本当に 私でいいのかしらってこっちが なっちゃんに聞きたいところよ。
私の方が咲ちゃんよりも ずっと年上だしもう40ですからね。
マダムも 40歳ですか…。
そうしみじみ言われても困っちゃうけど…。
そんなの関係ないじゃありませんか!
私にとっては 本当に夢のような話です!
本当? 喜んでくれるの?
はい もちろんです!
うれしいです… よかった…。
本当に よかった…。
あんな兄ですがどうか よろしくお願いします!
なっちゃん… こちらこそ よろしくね。
はい! ハハハ…。
マダム 話題の人がお見えになりました。
お兄ちゃん。なつが そろそろここに来てる頃かと思ってな。
なっちゃんから 今許しをもらったところよ。
そうか。
あっ 野上さん。 野上さんも よかったらしばらく ここにいて下さらない?
はい。
それで 結婚式はいつ…?
ああ そんなもんはしないよ。えっ?
今更 そういうことはしなくてもいいの。
ちょっと待って下さい。まあ そもそも 結婚自体野上さんに言われなければしなくてもよかったんだから。
はあ? それ どういうこと?
あっ…。いえ 私は 何も…。
ああ… そういうこと?
野上さんに言われたから言いだしたわけ?
いや それは まあ…きっかけというか たまたまだ。
何が たまたまよ!野上さんも 余計なこと言ってくれたわね。
申し訳ございません。野上さん 悪くないよ。
当たり前よ。 悪いのは あなたでしょ。はい…。
まあ そういうことなのよ なっちゃん。
もはや 腐れ縁ですな。
まあ… うん そういうことです。
それでね 野上さん 結婚したら 私川村屋の経営からは手を引こうと思ってるのよ。
えっ?ちょうど ここをビルに建て替える時だし後のことは 野上さんに任せたいの。マダム それは困ります!
野上さんに 責任を押しつけようっていうんじゃないのよ。
もちろん 私もできるだけのことはします。
でも 野上さんには もうひとふんばり次の後継者を育ててほしいのよ。
後継者を?そう。
私が 先代のマダム そして父から受け継いだ この店を今度は 野上さんが 一つの会社組織としてつないでいってほしいの。
マダム…。
もう血縁者だけがのれんを守る時代でもないわ。
野上さんの信念で これからも 川村屋を大いに開拓してちょうだい。
咲ちゃんには 川村屋の財産は何一つ渡しませんから。
そんなもんこっちだって もらう気はねえよ。
野上さん これが私の結婚の決意です。
分かりました。
不肖 野上 この命尽きるまでこの川村屋の未来を守ってみせます。
つないでみせます!
ありがとう。
野上さん 頑張って。
(笑い声)
よし。 すっきりしたところで報告に行くか。どこに?
決まってるだろ。
(茂木)ママ 新しいお店のことなんだけど。(亜矢美)うん…。
(茂木)花園じゃ嫌だよね?
花園か…。今はさ ゴールデン街っていってるんだけどまあ いかがわしい所も残ってるけども文化人なんかがさ 集まる店も増えて友達の作家なんかは よく使ってるんだよ。
そっか そうだね今の新宿で 安く借りられるとしたらそんなとこかもね。
いらっしゃい… 何だ お帰り。
ただいま。こんばんは。
よっ なっちゃん!なっちゃん ハハハ…。
あれ マダムも。こんばんは。
ちょっといいか?大事な話があるんだけど。
大事な話?うん… もちろん いいよ どうぞ。
お邪魔します。
あっ お店閉めるね。いや いいんだよ そこまでしなくたって。
どうせ 茂木社長しかいないんだしいずれ 茂木社長にも分かることだから。
えっ 何?
まずは お掛け お掛け お掛けに…。
母ちゃん… 俺 今度彼女と結婚することにしたんだ。(茂木)ええっ!?
(光子)あっ すみませんあの お恥ずかしいんですけど。
いや うそでしょ マダム!茂木社長お気持ちは分かりますけど少しだけ 静かにしてて下さい。
いや うそでしょ なっちゃん!シ~。えっ?
今まで 隠しててごめん。
まあ そういうことなんだ。
何だ… 知ってたよ そんなことなら。えっ?
お前が 私に隠し事なんかできるわけないだろ。
知ってたのかよ?うん。
よかったじゃないの! おめでとう!なっちゃんが お嫁に行くまではってずっと待ってたんでしょ。
いや そんなことはないけど…。
(光子)あの 今度 川村屋をビルに建て替えることにしたんです。
それを機に 私は 経営からは手を引こうと思ってましてそれで これからは咲太郎さんの会社を大きくするために手伝うことにしたんです。そう。
まあ たまたま そういうタイミングに結婚でもしようかってなっただけだから。
たまたま… いいよ てれなくたって。
何にしたって おめでたいことじゃないの。
ね 乾杯しましょうよ。 さあ どうぞ。大丈夫ですか?
あ~ これで 私も一安心。
母ちゃん…。肩の荷が下りたわ。
はい 乾杯。あっ すいません。
はい 乾杯 乾杯 みんな グラス持って…。
ほら 社長!
茂木社長。本当なの?
ん~…。何それ。
ほら 社長 しっかりして… いくよ。
はい 咲太郎 マダム あっ… 光子さん結婚おめでとうございます!
おめでとう。
ありがとう。ありがとうございます。
かんぱ~い!乾杯!
あ~ おいしい!
光子さん 咲太郎のこと本当に よろしくお願いしますね。
はい。 こちらこそ。
(亜矢美)バカだから。おい。
(光子)知ってます。おい。
遅くなって ごめんね。
亜矢美さんは喜んでいたんだろ?
うん… すごく喜んでた。
それなら よかったじゃないか。
よかったけど… 亜矢美さんはこれから どうするんだろ。
住む所か?それも そうだけど一人になったら 寂しいよね…。
うん…。
あっ ありがとう。
卵2個いける?うん。ハハハ…。
はい。
あっ 来月 私の誕生日にお盆休みだから 風車でお祝いしようってことになったんだけどそれが 結婚式の代わりだって。風車でか。
一緒に行ける?もちろん。
頂きます。
もうすぐ風車も無くなっちゃうのか…。
♪~
母ちゃん 2人で飲み直そうよ。
おっ いいね。
♪~
はい。サンキュー。
あ~…。
お疲れ。お疲れ。