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【社会】

トリエンナーレ混迷 「不自由展」中止 作家の離脱拡大

さまざまなポーズをしたピエロが人気を集めるウーゴ・ロンディノーネさん作「孤独のボキャブラリー」=名古屋市の愛知県美術館で

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 愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画「表現の不自由展・その後」が中止となった問題に抗議し、芸術祭メイン事業である国際現代美術展に出展中の海外作家九組が新たに、自作展示を中止するよう実行委員会に申し出た。

 既に米国の非営利報道機関であるCIR(調査報道センター)など、三組が展示を中止しており、辞退を表明した作家は、国際現代美術展に参加する国内外の六十六組のうち、二割近くの計十二組となった。実行委は九組と展示継続を目指し、協議中。しかし展示の目玉として紹介されている作品もあり、事業に大きな影を落としている。

 新たに辞退表明した九組のうち、ウーゴ・ロンディノーネさん(米国)は多様なポーズをしたピエロの彫刻四十五体を飾った「孤独のボキャブラリー」を出品。作品は公式ガイドマップの表紙になっている。ピア・カミルさん(メキシコ)は、開幕セレモニーを彩った布の作品「ステージの幕」の作者。モニカ・メイヤーさん(同)は、ジェンダーを題材にした来場者参加型作品で注目されている。

 作品は、愛知芸術文化センター(名古屋・栄)など、各会場内で大きなスペースが割かれており、撤去になれば混乱は必至。

 この九組は、既に展示を中止した韓国の作家パク・チャンキョンさんとイム・ミヌクさんの二人と、キュレーター(学芸員)のペドロ・レイエスさんとの連名で英文の声明を発表。脅迫を受けて中止された不自由展について、会期末まで継続されるべきだったと主張。再開まで自作を展示しないよう実行委に求めた。 (谷口大河)

性差別や性被害について書いた紙をつるしていくモニカ・メイヤーさんの来場者参加型作品「TheClothesline(ザ・クローズライン)」=名古屋市美術館で

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 ◆新たに辞退を申し出た他の作家は次の通り(敬称略、かっこ内は拠点)

 タニア・ブルゲラ(キューバ、米国)、ハビエル・テジェス(米国)、レジーナ・ホセ・ガリンド(グアテマラ)、クラウディア・マルティネス・ガライ(オランダ)、レニエール・レイバ・ノボ(キューバ)、ドラ・ガルシア(スペイン、ノルウェー)

 

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