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【社会】

<つなぐ 戦後74年>きょう終戦の日 手放しで泣ける 幸せ

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 きょう十五日は、戦後七十四年の終戦の日です。本紙は読者の作品でつくる「平和の俳句」をお届けします。

 「平和の俳句」は戦後七十年の二〇一五年から一七年まで連載しました。今年も昨年に続き一日限定で復活です。

 今年の応募作品数は六千八十二句。その中から、作家のいとうせいこうさん、俳人の黒田杏子(ももこ)さん、夏井いつきさんの三人が選んだ三十句を紹介します。

 ◇ 

 「普通に過ごす毎日がありがたい。それが平和」。入選作を詠んだ学校司書の斉藤博恵さん(52)=千葉県市川市=は、こんな思いを句に込めた。

 「嫌なことがあっても、絶対に明日は来る。種まきや水やりをしなくても、毎年開く野の花に元気をもらう。津波にのまれた土地にも自然に草花が芽吹き、新しい命が生まれる」

 かつて戦争の狂気は、沖縄のガマ(洞窟)で、敵に見つかるからと赤ん坊の泣き声すら圧殺した。「電車や飛行機で赤ちゃんが泣いてると、もっと泣きなさいって思う。子どもが手放しで泣けるって、平和だからですよね。平和な世界に、力強い泣き声よ響けと」

 職場の小学校で「今日は戦争の話。本当にあった話だよ」と、空襲に備えて殺処分された動物園の生き物を描いた絵本「かわいそうなぞう」を読み聞かせる。

 「楽しい話を期待して集まった子どもたちがシーンと静まり、目をウルウルさせて…」。聞き終えると「かわいそう」「戦争ってやだね」と声が上がる。読み聞かせは「ささやかな平和運動かな」とも思う。「平和って、つくらないと。何もしないと、また戦争になっちゃうかも」。そんな思いがにじむ。

 (宇佐見昭彦、写真は木口慎子撮影)

 

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