日本は招致の段階でこんな嘘をついている。東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会が発表した「立候補ファイル」のなかに記載のある「2020年東京大会の理想的な日程」の項目には〈この時期の天候は晴れる日が多く、且つ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である〉と書かれているのだ。
この文書にある〈温暖〉〈アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である〉が嘘なのは誰の目にも明らかだ。
しかし、競合都市に負けないため、日本の招致委員会は嘘をついた。国際オリンピック委員会(IOC)には、テレビ放映権料として莫大なお金を払っているアメリカの意向が強く影響しているが、彼らはコンテンツが少なくなる真夏の時期にオリンピックの放送を入れたがっている。そのことは招致委員会も熟知しており、招致を有利にするために前述のような嘘っぱちの資料をつくったのである。
その結果として起きているのが、現在のような体たらくである。
組織委員会の運営のお粗末さは、酷暑以外にも次々と指摘されている。現在、競技運営をチェックするためのテストイベントが各競技で行われているのだが、そこで深刻な問題が次々と明るみになっているのだ。
まずは、水泳だ。8月11日にお台場海浜公園で水泳(オープン・ウォーター・スイミング)のテスト大会が行われたのだが、そこで複数の選手から「トイレのような臭いがする」との指摘が出たという。コース周辺の水域を水中スクリーンで囲っていたが、汚れた水の問題は解決できていなかった。