前回が半端なところで途切れえているので、今日はこちら。
とりあえずニグンさんの処理が終わるまで、本編進めるつもりです。
残る騎士の頭も一瞬で爆ぜ、あっさりと死亡する。
実は人間に擬態した別種族やアンデッド……でもない。
「どうやら、ユリとルプスレギナを連れて行ったようですね」
瞬時に騎士を始末したセバスは、姉妹らしき娘らに話しかけている。
その背後から、プレアデスの二人が姿を見せていた。
「ルプスレギナは回復役だったな?」
「そ、その……とおり、です」
ようやく形を取り戻しつつあるソリュシャンが頷き、同僚の信仰系魔法詠唱者としての能力を説明する。
シャルティアはこんな時でも、立ったモモンガを下から覗くのに忙しい。
「音声が聞こえないのは不便だな……〈
『ふゃっ!? は、はい、モモンガ様っ』
すぐに慌てたルプスレギナの声が聞こえる。
「セバスとユリに〈気功〉等のスキルは使わせるな。危機を感じなければ、基本能力で戦わせよ。ナザリック外にスキルが使えると教えるのも禁止だ」
『はっ、了解いたしました』
鏡の中では、セバスとユリが動きを止めている。
小声ゆえ、村娘らには聞こえまいが……二人には聞こえているのだろう。
至高の御方による、ルプスレギナへの通達を待っているようだ。
「それとお前の使用してよい魔法は第三位階までとし、許可があるまで使うな。これらはそこの娘らにも、教えてはならんぞ」
『第3……わかりました!』
「では、その娘はお前が回復してやれ。ひとまず切るぞ」
鏡の中で、ルプスレギナが第2位階魔法〈
モモンガは深く頷くとユリにも連絡し、己の名を出すことを許可した。
執事とメイドが現れたなら、主の存在を匂わさねば不自然だろう。
さらに騎士は逃げる者以外、殺してしまうよう命じる。
被害を抑えようとしてだろう……二人は既に村へと駆け始めていた。
「次は……〈
『ハッ、これはモモンガ様。パンドラズ・アクターが多数の
満足げに頷くモモンガ。
鏡の中では何の問題もなく騎士たちがセバスに一撃で殺されている。
指揮官が我先に逃げ出し、さらに他の騎士が続く。
士気もさほど高くはないようだ。
ユリは指示通り、村の救助に動いている。
「さすがだな、デミウルゴス。慢心なき配置だ。ここからは状況により、私自身が現場の者たちに連絡をつなぐ。お前の意図と食い違う場合、スクロールを使って私かアルベドに連絡をとれ」
『過分なお褒めの言葉、恐悦至極に存じます。邪魔せぬよう最大限の調整をいたしますゆえ、どうか御身の意のままに振舞いください』
大げさな言葉に、モモンガが苦笑した。
「ありがとう。お前こそ、働きづめだろう。これが終われば、少しは休みを取ってくれ。私にはお前が必要だ」
たしなめる言葉を送るが。
『そのお言葉に勝る恩賞はございません! モモンガ様の安寧がため、このデミウルゴス粉骨砕身働かせていただきます』
モモンガは部下を働かせ、己が享楽に耽るような主にはなりたくない。
ある程度の意識改革が必要かもしれないな、と考える。
「ふむ……そのあたりは、また後程に話をしよう」
少し疲れた溜息と共に、魔法を切る。
同時に、怒りも鎮まっていた。
〈絶望のオーラ〉も霧散する。
鏡の中でも騎士たちは全て逃げ出すか、落命していた。
「……お前たちの楽しみにも水を差してすまなかった。特にソリュシャンは、大丈夫だったか?」
やっと人の姿に戻ったソリュシャンの髪を撫で、謝罪する。
「いえ。御身の威光に耐えられず……お体を晒させ、申し訳ございません」
すっかり委縮した姿に、申し訳ないことをしたと感じる。
「……お前とシャルティアには、後ほど償いをしよう。どうか許してくれ」
冷め始めた体を湯に浸からせ、股間を見上げていたシャルティアも抱き寄せる。
もう一方の手は、アルベドの手を握ったままだ。
「も、もったいなきお言葉でありんす……」
「ああ……私のような身にそのような」
二人の表情が感動と期待で蕩け、緩んだ。
「無論、アルベドもだが……今は守護者統括たるお前の知恵を借りたい。セバス一人で騎士どもを退散させた様子だが。あの連中はこの近隣において、どの程度の戦力と考える?」
アルベドをじっと見つめ、真面目に問いかけた。
「平均よりやや上程度と愚行いたします、モモンガ様」
アルベドも、冷静に答える。
「同意見か……一応の根拠を言ってみよ」
村人から感謝を受けつつ、救助と治療にあたるセバスたちを横目に問う。
「あの連中は、ろくな斥候部隊も後衛も持たず、複数の村を襲い、殺戮しております。社会制度にもよりますが、村に戦闘能力を持った人間が皆無とは考えづらいかと」
「確かにその通りだ。にもかかわらず騎士たちは、手傷もろくに負わず一方的だった」
村人が5レベル以下の完全なモブだったのか。
とはいえ、これだけR18行為を重ね、雌の悦びを拷問並みに刻まれたモモンガだ。
この世界がゲームではないと、文字通り身をもって理解していた。
「ゆえに、不測の戦力に出会っても十分勝利可能な程度には強力かと。一方で、最精鋭と呼べるほどの戦力でもないはず」
「道理だ。我々自身、そんな仕事に100レベルの者は差し向けまい――〈
深く頷き、納得すると。モモンガは監視役たる
『こォれは、モモンガ様ッ! ちょうど逃げ出した騎士を全て回収したところでございますッ! ただいま〈
魔法ごしでも、カッと軍靴を響かせ敬礼した後、軍帽のひさしを下げて流し目したとわかる。
「ふふ、よくやったぞ。連中をさらに監視する者などはいなかったか?」
そんな彼を微笑ましく思いつつ褒め。
代わりに手元のシャルティアの頭を撫でた。
『例の
勢いよく答える声に淀みはない。警戒も十分行えていそうだ。
「よくやった。村の方は最低限の監視でよい。
やりとりの合間、浴槽の他の三人が何か話をしているが。
詳細を知る余裕はない。
『攻性防壁や、対監視妨害も可能では――問題が?』
即座にモモンガの意を汲んで、パンドラズ・アクターが答える。
「セバスは既に見せると決めた。あいつを怪しまれる可能性は、できる限り避けたい」
アルベドたちにも聞かせるように、言う。
『ハイッ、仰せのままにッ! 情報拡散に有効そうなら“放流”いたしましょうッ』
「よくぞ我が意を汲んでくれた。お前は本当に優秀だな」
その言葉に、シャルティアとソリュシャンが嫉妬を浮かべる。
『それと……勝手ながら末端騎士の脳をタブラ・スマラグディナ様のブレイン・イーターの能力にて吸収させていただきました。奴らの会話と総合するに、あれは“スレイン法国”なる国家ないし組織の精鋭と判ッ明、しておりますッ。目的は王国戦士長ガゼフ・ストロノーフなる人物――件の戦士集団の長の暗殺。騎士らは陽動であり、魔法詠唱者らが本隊とのこと』
「ほう! さすが、我が最高傑作! 見事な機転だ」
さらに褒めて通信を切り、アルベドとソリュシャンにもたれかかりながら。
三人にも情報を共有させる。
「その精鋭部隊と、戦士長なる男の力で、近隣の戦力を計れるかと」
アルベドが冷静に述べた。
「うむ。だが……たった一人を殺すため、弱者の殺戮を繰り返すか。毒を盛るなり、刺客を差し向けるならわかるが……民を殺す意味があるのか?」
「映像を見る限り、さしたる実力差とも見えませんでしたが」
「その通りだ。実力差があればわかる……あるいは種族自体が異なる場合もな」
憮然とした顔で、モモンガは湯に顔を半ば沈めた。
「もう一度……御身を包みなおしましょうか?」
ソリュシャンが、恐る恐る訊ねてくる。
「ああ……だが、手は出しておいてくれ。アルベドにも触れていたい……っ、ん♡」
死んだ村人の葬儀を手伝う様子を眺めつつ。
モモンガは再び、ソリュシャンの中に飲み込まれていく。
「今は悪戯を控えておけ……あとで、好きなだけさせてやるから……っ♡」
ソリュシャンの内に飲まれる感覚だけで、小さく震えてしまいながら。
モモンガはさらに細かく、各員に連絡を取り始める。
後で好きなだけ……と聞いて、シャルティアとソリュシャンが浮かべた笑みには、まるで気づかぬままに……。
一方でアルベドは、二人に心許し始めたモモンガに、少し安堵していた。
主が完全に、己だけに溺れたわけでないとわかったのだから。
このモモンガさんは、ゲームの中じゃないという確証をR-18行為を介してしか持ってません。
だってR-18行為しかしてないから……。
おかげでストレスは解消され、良くも悪くもNPCに何でも任せるようになってます。
ただし、感情抑制がないので、民衆視点でルサンチマンをたぎらせやすいです。
でもスライム姦には、さっそくハマり始めてます。
現状では国際情勢とか関係ない、あくまで情報収集&戦闘介入なのでギルマスとしての有能さが活きてます。政治や経済がわからないと自覚してるし無理するつもりないので、戦力的脅威以外は部下に任せるつもり。
このモモンガさんはNPCのアルベドとこんな関係になったため、NPCを個人と捉えてます。
彼らを身内と認め、各自の価値観や考えを推し量りつつ、尊重し配慮して会話。
現場との報連相を欠かしません(本人がまったく外に出ませんが)。