言って貰えたので、
早朝に急に思い立って、
片割れさんの住む街を目指した。
片割れさんの都合がどうか分からないし、
最近、私のiPhoneは充電がきれやすいので、
本当に会えるのか実感が湧かなかったけれど、
電車に乗り込んだ。
残り10パーセントの時に
片割れさんから返事がきて、
訪れたことのないその街で
待ち合わせすることに。
電車を降りて、
指定された場所を探していたら、
オープンスペースに設置してある
自由に弾けるピアノから、
ヴィレッジ・シンガーズの
亜麻色の髪の乙女が聴こえてきた。
初老の男性が弾く
ジャズアレンジがとても素敵で、
うっとりし、リラックスした。
演奏で癒されるのを
感じ、感謝を伝える。
祝福を受けたような気がして
うきうきしていたら
片割れさんが現れた。
「浮気の人に会うの?」
「不倫を笑顔で見送っていいものか。」
「向こうの奥さんはどう思っているのか。」
道中、夫からのメッセージが届く。
責められているように感じてしまう。
なぜ、浮気と思うのだろう。
私はわたし自身を
探し求めているだけなのに。
少なくとも片割れさんは
あなたのように、衝動を
私にぶつけたりはしない。
私は、
高校生の時に電車で受けた
性被害を、引きずっている。
それを自覚できていなかった。
自分の気持ちを押し殺す癖、
自分を責める癖がついている。
逃げられない恐怖と
従わなくてはいけない諦めと
応えられない罪悪感を抱いている。
もう20年以上前のこと。
でも、その体験は
その後の人生にも
影響が出ていて、
性行為は苦手なのに、
相手の顔色をみて、本音を隠し
相手に応えようとする
私がいる。
恐怖に従うしかない。
なぜか、辛い体験を
再確認しようとする
変な囚われからも
抜け出せていない。
それに対して
片割れさんは、エネルギー的な破片は
もうないよと言う。
あとは、私の頑固な囚われだけだと。
「リヨのオーラは、
以前にみた、あるデ◯ヘル嬢の子が
抱えていたそれに
よく似ている。
自分ではどうにもならないと
諦めてしまっているんだ。」
過去のつらい経験を
何度か夫に話してきたけれど、
話をしても、何も変わらない。
どうしたら、改善するのか
さっぱり分からない。
夫に理解して貰えているようにも
思えない。
夫婦生活が辛かったよ。
責められるのも
否定されるのも
悲しかったよ。
無かったことになんて
できないよ。
片割れさんは魔法をかけてくれる。
「もう大人だから誰にも責められないよ。
あなたの人生だよ。」
「誰も
リヨを責めないよ。」
その言葉を聞いて、
私は、
私を責めている私を
解放できるんじゃないかと
ふっと思えて、
心から安心できた。
素敵な演奏をありがとう
